失敗こそ大成功!2️⃣
第二章 卒業試験
その日は、空が高く、よく晴れていました。
魔法学校の校庭には、保護者や町の人たちがたくさん集まっています。アルビーのお父さんとお母さんも、最前列で見守っていました。
一人ずつ、生徒たちが前に出て、自分の魔法を披露していきます。クラスメイトが小さな花火を打ち上げると、みんなが「わあっ」と歓声を上げました。別の子が空に小鳥の群れを描くと、拍手が起こりました。もう1人は、校庭を色とりどりの花でうめつくしました。大きな拍手が校庭いっぱいに広がりました。
(次は、僕だ)
アルビーの胸は、ドキドキと早く鳴っていました。
「アルビー・ドジソン君、どうぞ」
試験官の声に呼ばれて、アルビーは前に出ました。お父さんとお母さんの顔が見えます。二人とも、にっこりと笑って、こちらを見ています。
(大丈夫。練習通りにやれば、絶対大丈夫)
アルビーは深く息を吸って、ステッキを構えました。今日の課題は「氷の矢」。鋭く、まっすぐに、目標を射抜く魔法です。
「凍てつく氷の精霊よ、我が力に応えよ!」
「……アイシクル✽アロー✽シュート!」
ステッキの先が、青く光りました。
しかし、その先から放たれたのは、氷の矢ではありませんでした。
ピシャーッ!ピュピュー!!
温かく、甘い香りのする、チョコレートの噴水が、勢いよく試験官に向かって吹き出したのです。
「うわっ!」
試験官が頭からチョコレートを被り、子供たちは、思わず顔を見合わせました。
アルビーは、その場に立ったまま、凍りついたように動けませんでした。お父さんとお母さんの顔を見る勇気がありませんでした。
試験官は、苦笑いを浮かべながら、チョコレートを手で拭いました。そして、静かに言いました。
「ドジソン君。残念だが、今回は不合格だ」
その一言が、校庭の空気よりも、もっと重く、アルビーの胸に落ちてきました。
帰り道、お父さんとお母さんは何も言いませんでした。
ただ、お母さんがそっとそして、ギュッとアルビーの手を握ってくれました。それが、かえって辛かった。
(僕は、もう……魔法使いにはなれないんだ)
その晩、アルビーは部屋でひとり、ステッキを見つめていました。
(こんなステッキ、もういらない。僕には、魔法の才能なんて、ないんだ)
涙がこぼれました。
気がつくと、アルビーは家を飛び出していました。月の光だけを頼りに、町の外れの森へと向かって、ただ、走り続けたのです。
