アナグマのいる風景|岡村バカンス#32
週末の午後、何度か通っている田舎道。
岡村正義は妻とドライブ。
右に左にハンドルを切る。
小さな丘を登り、少し下り始めると、海が見える。
そんな素敵な道路。
『鹿がいた』
妻の嬉しそうな声。
『どこにいたの?』
『道路わきの森の奥』
残念ながら、わき見運転は危ない。
『あれ、アナグマじゃない?』
妻が少し身を乗り出す。
道路脇に茶色くてかわいい動物がいる。
妻がスマホで確認したらしい。
岡村は車を止めて、確認に行く。
アナグマは、熱心に道路脇を掘っている。
『こんなところにいるんだ』
妻と二人しばらく穴掘りを見ている。
何か思いついたのか、穴から外れゆっくりと道路を歩き出した。
『ついて行ってみようか?』
妻と二人、アナグマの後ろを、車でゆっくりと走る。
『どこまで行くんだろうね?』
妻の小さな声は、優しい。
岡村は、しばらくアナグマの後ろを走った後、ゆっくりと追い越した。
