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名前を取り戻す | 24年目の夫婦愛

💍結婚9年目で失った名前

私と夫は、2002年に結婚した。
同じ年に私の母が亡くなったので、式は挙げず入籍のみ。

子供ができるまでには8年かかった。(第一子を出産したのは9年目)
娘と息子、立て続けに子宝に恵まれたのは嬉しかったが、
怒涛の育児と私の大病による入退院で、夫婦二人で歩んできた8年間も、
あっという間に過去のものになっていた。

お互いの呼び名は子が生まれた瞬間から「パパ」「ママ」になり、
夫に自分の名を呼ばれることはなくなったし、私も夫の名を呼ばなくなった。
「いかに自分の方が大変な思いをしているか」を火種に、言い争うことも増えた。
離婚を考えたことも、心の中で呪ったことも、一度や二度ではなかった。

💍十数年ぶりに再訪した『二人だけの時間』

そんな修羅場や危機を乗り越えて、
長女が高校生、長男も中学二年生になった。
二人ともまだ一人前ではないが、親があれこれ構ってやる年頃でもない。
どこへ行くにも子連れだった日々は、あっという間に終わってしまった。
一日中「お父さん、お母さん」でいる必要がなくなった私たちは、
数年ぶりに二人だけで映画を見に行ったり、食事に出かけるようになった。

その夜も夫と二人で出かけ、何を話すでもなく私の運転で自宅に戻った。
エンジンを切ろうとした時にふと、これまでちゃんと話題にしたことがなかったことを「ねぇ」と切り出してみた。


💍自分が先に死んでも

「ねぇ」と、私は後部座席に座っていた夫に話しかけた。
「もし、私が先に死んだら、あなたは再婚とかする?」
「うん、いい人がいればね」と、夫はあっさり即答した。
自分で聞いておいて、このあまりの即答ぶりに急に寂しくなってしまい、
思わず「えーー!!」と声を上げた。
夫は驚いた様子で「え?!なんでだよ!死んだら終わり。いなくなるんだよ?残された者の人生は続くんだから」

「それはそうだけど…じゃあ、あなたが先に死んだら、私も恋愛したり再婚していいんだね?」
「もちろんだよ!お前のオヤジさんだってそうだろ?お母さんが亡くなった後に、新しい人を見つけて幸せに暮らしてるじゃないか」
「私が他の男のものになるってことだよ?あなたじゃない、他の男が私を愛するんだよ?」
「それでいいんだよ!変な男に騙されるのは嫌だけど…過去に縛られなくていい。生きてることがすべてだよ」

「でもあなたが、誰かとあんなことやこんなことをすると思うとちょっと嫌なんですけど」
「その時に、あんなことやこんなことをする『元気』が残っていればね」

「アハハハ」と最後は笑って終わりにしたが、この会話以降、私の中で「夫」という存在が、子供達の父親である前に一人の男性として、
そのありのままの輪郭がはっきり見えた気がした。

昨夜、今までに無い不気味なほどの素直さで、
夫に「支えてくれたことに感謝してるよ」とさりげなく伝えたら
「その言葉を聞けてよかったよ」と、彼は穏やかな声で言った。
「んでさぁ、もうすぐどっちか死んじゃうんかね?こんな話ばかりして(笑)」

もしそうなっても、二人は交わすべき言葉を交わした。後悔はないと思う。
子供達が自立していたら、心おきなく恋愛なり再婚なりしちゃいましょう。

ちなみに今は、お互いを「パパ、ママ」ではなく何と呼ぶか迷走中です。

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