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lilysoma0813
[ショートショート]踏切オーディション
「踏切写真コンテスト」というポスターに「これだ!」と思った。撮り鉄と言われる俺、これで賞を取って会社の奴らを見返してやる。遅刻が多い、仕事が遅いなどと文句ばかり言いやがって。下らない奴らだ。
賞を取るには技術だけではダメだ。俺は国内の踏切を調べ上げ、吟味し、写真を撮られたことのない「廃村」の踏切を選んだ。繁忙期の有給申請に周りは嫌な顔をしていたが、知ったこっちゃない。
車を途中で停め、後の山道は歩いて進む。簡易テントで一泊し、やっと目的地だ。やがて定刻で1両編成の列車が来て、俺は夢中でシャッターを切る。が、車両は中途半端に古臭く、風景はただの山の中。
「なんか映えねえな」
ガッカリした時、何故かまた踏切が鳴り出した。次は2時間後の筈だが、近づく列車の音に顔を上げる。
「あれは!?」
見たことのない虹色に輝く列車に、俺は夢中でシャッターを切った。と、踏切の真ん中で列車が止まり、静かにドアが開く。甘い香りが漂ってきて……そうだ、行かなきゃ。
俺はカメラも荷物も捨て、フラフラと列車に乗り込む。捨てたカメラには古臭い車両しか写っていなかったことなど、知る由もなかった。
(完・483字)
こんにちは。字数オーバーですが、久々に参加させていただきます。
田原さん、お手数かけますがよろしくお願いいたします。
読んでくださった方、ありがとうございました。
