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bantya_teitoku
〔ショートショート〕恋花粉
「やった!ついに見付けたぞ!」
ジャングルを探し歩き、博士はやっと幻の巨大花に出会った。古い文献で知り、それ以来憧れ続けていた花。「夢物語だ」と笑っていた奴らにすぐ見せてやりたいが、電波が届かない。残念だ。
巨大な花弁は七色に輝き、辺りには甘い香りが漂う。そして花の中央には、真っ赤な雄しべが2本、上下対になって揺れていた。
「確か、この赤い花粉は恋花粉。浴びれば恋に落ちるとか」
博士がそっと近付こうとすると、突然その雄しべは激しく揺れ、赤い花粉を博士に浴びせた。
「うわっ。恋花粉が!でも特に変わりは……うん?」
よく見ると、その雄しべは魅力的な女性の唇のように見える。妖しく濡れ、誰もその引力に逆らえないような……。
博士はフラフラと花に近付き、その雄しべに唇を重ねた。と、巨大な花弁がしっかりと博士を抱え込み、やがて博士はズブズブと花に飲み込まれていく。
「ああ……夢のようだ……」
博士はうっとりと、身も心も溶けていった
(完・409字)
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