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【ショートショート】正体

桃太郎が悪い鬼を退治してから100年。平和になった鬼ヶ島で、鬼の幽霊が出るという噂が広まった。
「鬼にとっては桃太郎こそ残虐な侵略者。恨みは消えない」と。
この噂に桃太郎の子孫、李(すもも)太郎は憤った。
「俺の祖先をバカにするな!俺が鬼ヶ島に行って、噂の正体を暴いてやる」
と、お供を募ったが、来たのは狐と狸だけ。まあ何もいないよりはマシと、一人と二匹は島を目指した。
島に着くと、鬼の子孫は大歓迎。
「さあ、バーベキューで親睦を深めましょう。狐様、火をお願いします」
狐は、狸と鬼と目配せをして火をつけた。が、李太郎は何も気付かない。
やがて良い匂いがしてきた。鬼が用意した肉はとても美味く、しかも食べるごとに力が湧く。李太郎は夢中になって食べ続けた。

一時間後。李太郎の肌は赤くなり、頭には二本の角、口には牙。もう李太郎は自分が人間だったことも忘れ、肉を貪っている。
「いい食べっぷりですねえ」
出迎えた鬼たちも、尻尾が九本に割れた狐も、背中に火傷の跡がある狸も、ゲラゲラ笑う。『日本一』のハチマキを締めた赤鬼も、何故か嬉しくて笑った。
(完・459字)


こんばんは。文字数オーバーですが、こちらに参加させていただきます。

たらはさん、お手数かけますがよろしくお願いいたします。
読んでくださった方、ありがとうございました。

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