【遠野の一軒】じんぎすかん あんべ|遠野ジンギスカン文化を味わう、行列してでも食べたい名店
岩手県遠野市と聞くと、まず思い浮かぶのは『遠野物語』や河童、座敷わらしのような民話の世界かもしれない。
でも、遠野にはもうひとつ、土地に深く根づいた食文化がある。
それが、ジンギスカンだ。
遠野は「ジンギスカンの街」として知られている。
その文化を語る上で外せない店が、じんぎすかん あんべ。
遠野ジンギスカン文化発祥の店とも言われる、遠野を代表する名店だ。
自分が訪れたのはお昼。
ただ、さすがの人気店。
かなり待った。
それでも、待ってよかったと思える味だった。
遠野ジンギスカン文化を広めた店
あんべの歴史は、昭和22年までさかのぼる。
初代の安部梅吉さんが、戦時中に旧満州で食べた羊肉料理の味を忘れられず、遠野で精肉店兼食堂を始めたのが原点とされている。
今でこそ遠野はジンギスカンの街として知られているけれど、当時は羊肉を食べる文化が一般的だったわけではない。
羊は毛を採るための動物という認識も強かったという。
そこから羊肉の食べ方を工夫し、タレを作り、遠野の人たちに広めていった。
一軒の店から、街の食文化が育っていく。
その背景を知ると、あんべで食べるジンギスカンは、ただの焼肉ではなく、遠野の歴史を味わう時間にも思えてくる。
凄い人気で、お昼から待つ
この日、お昼にあんべへ向かった。
遠野に来たからには、やっぱりジンギスカンを食べたい。
それも、発祥の店と言われるあんべで食べたい。
そう思って訪れたのだけど、やはり人気店。
すぐに入れる感じではなく、しばらく待つことになった。
でも、待っている時間も少し期待が高まる。
店に入る前から、ここが遠野ジンギスカンの中心にある店なんだという空気がある。
観光客だけでなく、地元の人らしき姿もある。
その感じがまたいい。
ジンギスカンのセットをいただく
この日いただいたのは、ジンギスカンのセット。

焼き台の上で肉を焼いていくと、香ばしい匂いが広がる。
羊肉の脂が落ち、タレの香りが立ち、目の前の食欲が一気に動き出す。
あんべのジンギスカンは、肉そのものの旨みがしっかりある。
そして、タレがいい。
羊肉の風味を受け止めながら、重くなりすぎず、ご飯がどんどん進む。
ひと口食べて、ご飯。
また肉を焼いて、ご飯。
この流れが止まらない。
ジンギスカンというと、ビールのイメージもあるけれど、あんべのジンギスカンは白ご飯との相性もかなりいい。
昼に食べても満足感があるし、夜ならビールが欲しくなる味だと思った。
豚ホルモンの味噌味もご飯が進む
ジンギスカンと一緒にいただいたのが、豚ホルモンの味噌味。
これもよかった。
味噌のコクがホルモンに絡み、焼くことで香ばしさが出る。
ジンギスカンとはまた違う方向で、しっかりご飯を呼ぶ味だった。
ホルモンの食感、味噌の甘みと塩気、焼けた香り。
これを食べると、自然とご飯に手が伸びる。
そして、これもビールとの相性は抜群だと思う。
昼だったので食事として楽しんだけれど、夜に来てビールと一緒に食べたら、かなりいい時間になるはずだ。
手切りの肉と秘伝のタレ
あんべの肉が支持されている理由のひとつに、職人による手切りがあるという。
肉の繊維や筋を見ながら、一枚ずつ切っていく。
その手間が、焼いた時の食感やタレの絡みに出るのだと思う。
ジンギスカンはシンプルな料理に見える。
でも、肉の切り方、厚み、タレ、焼き方で印象が変わる。
あんべのジンギスカンには、長く続いてきた店の積み重ねがある。
食べていると、その理由が少しわかる気がした。
遠野名物、バケツジンギスカン
遠野ジンギスカンを語る上で外せないのが、バケツジンギスカン。
ブリキのバケツに七輪を入れ、その上でジンギスカンを焼く遠野独自のスタイルだ。
花見や祭り、屋外イベントでもジンギスカンを楽しめるように考えられたものだという。
このバケツ文化を広めたのも、あんべと深く関わりがあるとされている。
屋外でバケツを囲みながらジンギスカンを食べる。
それは、単なる食事ではなく、遠野の人たちの暮らしに根づいた楽しみ方なのだと思う。
店で食べるジンギスカンもいい。
でも、いつか遠野でバケツジンギスカンも体験してみたい。
お酒と合わせても楽しみたい
自分が行ったのはお昼だったので、今回は食事としてジンギスカンを楽しんだ。
ただ、食べながら何度も思った。
これはビールに合う。
ジンギスカンの脂とタレ。
豚ホルモン味噌味の香ばしさ。
焼き上がった肉を口に入れて、そこにビールを流し込む。
想像しただけで、かなりいい。
調べると、あんべではビールだけでなく、地元遠野産の食材を使ったカクテルなど、ドリンクメニューも用意されているようだ。
遠野らしい飲み方まで楽しめるなら、次は夜に来てみたい。
昼はご飯でしっかり楽しむ。
夜はお酒と一緒に楽しむ。
あんべは、どちらの使い方でも満足できそうな店だと思う。
リニューアルした店内と、今のあんべ
あんべは、長い歴史を持つ老舗でありながら、現在の店舗はリニューアルされていて、清潔感のある落ち着いた雰囲気になっている。
昔ながらのジンギスカン文化を受け継ぎながら、今の人たちが入りやすい店になっているのもいい。
レストランだけでなく、ショップやテイクアウト、オンライン販売などもあり、遠野で食べた味を持ち帰ったり、家で楽しんだりもできる。
遠野ジンギスカンの入り口として、かなり頼れる店だと思う。
店舗情報
じんぎすかん あんべ
住所:岩手県遠野市早瀬町2丁目4-12
電話:0198-62-1333
アクセス:遠野ICから車で約5分/JR遠野駅から徒歩約15分
営業時間:平日 11:00〜15:00、17:00〜20:00/土日祝 11:00〜20:00
定休日:木曜日
主なメニュー:ジンギスカン定食、ラム、マトン、豚ホルモン味噌味、豚ホルモンねぎ塩など
備考:ショップ、テイクアウト、パティスリー併設。予約は前日まで対応の場合あり
※営業時間や予約条件は変更になる場合があるため、訪問前の確認がおすすめ。
最後に
遠野のあんべは、ジンギスカンを食べるだけの店ではなかった。
遠野に羊肉文化を広めた歴史。
バケツジンギスカンという独自の楽しみ方。
職人による手切りの肉。
秘伝のタレ。
そして、昼から行列ができる人気ぶり。
自分がいただいたジンギスカンのセットと豚ホルモンの味噌味は、どちらもご飯が進む味だった。
そして、ビールとの相性も間違いなくいいと思う。
遠野に行くなら、民話の世界だけで終わらせるのは惜しい。
あんべでジンギスカンを食べる時間まで含めて、遠野の旅になる。
次に行くなら、昼ご飯としてだけでなく、夜にお酒と一緒に味わってみたい。
遠野ジンギスカン文化を体で感じられる一軒だった。
