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【遠野の一軒】遠野食肉センター遠野本店|柳田国男が愛した里で、魂に響くジンギスカンを食べた



岩手県遠野市。
『遠野物語』の舞台として知られるこの町は、どこか時間の流れが違う。

カッパが潜む淵、座敷童が宿る旧家、馬と人がともに生きてきた里山の記憶。
柳田国男がこの土地に分け入り、人々の語りを書き留めた理由も、実際に来てみると少しわかる気がする。
遠野には、観光地のにぎわいとは別の、もっと深い層の空気がある。

そんな旅の途中で思った。
せっかく遠野まで来たなら、この土地に根づいたものを食べたい。
そうして向かったのが、遠野食肉センター遠野本店だった。

遠野のソウルフードは、ジンギスカンだった

遠野といえばジンギスカン。
この土地を調べていると、その言葉に何度も出会う。

ジンギスカンといえば北海道を思い浮かべる人が多いかもしれない。
でも遠野にも、遠野ならではの歴史がある。
かつてこの地域では養羊が盛んで、戦中・戦後の食を支える存在として羊が暮らしの中にいた。
その流れの中で羊肉が食文化として根づき、今では遠野を代表する味のひとつになっている。

そして、その流れを語るうえで外せないのが遠野食肉センターだ。

1967年創業。遠野の食文化を支えてきた老舗

店はバイパス沿いにあり、駐車場も広い。
建物には「じんぎすかんハウス」の文字。
派手すぎないけれど、地元で長く親しまれてきた店らしい落ち着きがある。

創業は1967年
精肉店直営の強みを活かしながら、半世紀以上にわたって遠野のジンギスカン文化を支えてきた老舗だ。

中に入ると、木のぬくもりを感じる店内に、テーブル席、座敷、サンルーム席が広がっている。
家族連れ、地元のお客さん、旅の途中で立ち寄った人。
いろんな人が同じ焼き台を囲んでいて、その混ざり方がすごく自然だった。

観光客向けに作り込まれた店というより、
地元の人がふだんから来ている店に、旅人も混ざらせてもらう
そんな感じがよかった。

遠野で「生ラム」が特別な意味を持つ理由

かつて遠野のジンギスカンは、マトンが中心だったらしい。
そこに早い段階で生ラムを取り入れ、冷蔵流通を整えて広めていったのが遠野食肉センターだという。

その積み重ねがあって、今では
「遠野でジンギスカンといえば生ラム」
という印象を持つ人も多い。
この店は、そういう変化の中心にいた存在でもある。

実際に食べたのは、札付きで並ぶラムの盛り合わせだった

今回食べたのは、ラムの盛り合わせ

大皿にいろんな部位のラムが並び、さらに小皿でも何品か出ている。
赤身の美しさが分かる肉、脂ののった部位、味付きで出ているもの。
見た瞬間に、
「これは食べ比べが楽しそうだな」
と思う内容だった。

焼き台の上で肉が音を立てはじめると、空気が一気に変わる。
ラム特有の香りが立ち上がって、食欲が一気に引っ張られる。

ラムの印象が変わるやわらかさだった

実際に食べてまず感じたのは、やわらかさだった。
くさみが前に出る感じがなくて、むしろほのかな甘みがある。
部位によって食感や脂の出方も違うから、食べていて飽きない。

焼き野菜と合わせてもいいし、タレにくぐらせるとまた表情が変わる。
ジンギスカンって、勢いで食べる料理でもあるけれど、この店では
部位ごとの違いをちゃんと楽しめる感じがあった。

旅先で食べる肉って、時々その土地の印象そのものになることがある。
遠野食肉センターのラムは、まさにそういう味だった。

遠野冷麺まで含めて、一連の流れがよかった

肉をしっかり食べたあと、締めに遠野冷麺を合わせる流れもいい。
さっぱりしたスープに、しっかりコシのある麺。
ジンギスカンのあとに食べると、最後の着地としてすごく気持ちいい。

地元の人が自然にそれを頼む理由も、食べるとよくわかる。

食もまた、その土地の記憶なんだと思う

柳田国男は、遠野の人々の語りに耳を傾け、この土地の記憶を書き留めた。
それを思うと、食もまたその土地の記憶の一部なんだと思う。

養羊の歴史。
戦後の食を支えた文化。
精肉店が守ってきた流通と品質。
それを今も当たり前のように出してくれる店の存在。
そういうものが積み重なって、目の前のジンギスカンになっている。

口に入るのは肉とタレだけじゃなくて、
その土地が続けてきた時間そのものなのかもしれない。
遠野の帰り道、そんなことをぼんやり考えた。

店舗情報

遠野食肉センター 遠野本店(じんぎすかんハウス)
住所:岩手県遠野市松崎町白岩20-13-1
電話:0198-62-2242
営業時間:11:00〜21:00(変動あり。来店前に確認がおすすめ)
定休日:月曜日(不定休の場合あり)
駐車場:あり
支払い:カード可、交通系電子マネー可

最後に

遠野の旅は、物語と食が混ざり合う、不思議な時間だった。
民話の里を歩いて、その土地に根づいたジンギスカンを食べる。
それだけで旅の輪郭が少し濃くなる。

遠野食肉センター遠野本店は、
ただ有名なジンギスカン店というだけじゃなく、
遠野という土地の食の記憶に触れられる場所だった。

もし遠野を訪れることがあれば、
この一皿もぜひ旅の予定に入れてほしい。
きっと、遠野の印象が少し深くなる。

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