工場の"緑化" 悩むあなたへ

工場緑化の "今"
「工場緑化」は、敷地内に“計画的に植物や緑地を配置し、環境負荷を減らしつつ安全性・快適性・企業価値を高める取り組み”と、世間一般的には言われている。 だがしかし、樹木群が成熟するに従い、直面している課題は、「これらの樹々をどうしたらいいの❓」「全部切るしか無いのでは❓」と、途方に暮れる、もしくは安い伐採屋さんを探すのが関の山では無いだろうか。
直面する課題 Best 5

1位:維持管理コストの増大
• 管理業者の単価上昇(人件費・燃料費・資材費)
• 剪定・除草の回数を減らしたいが、景観・安全基準は維持しなければならない
• 省コスト管理型樹種への転換が進まない(既存樹木が大きくなりすぎている)
2位:人材不足・技術継承の断絶
• 造園・緑地管理の担い手が全国的に不足
• 工場側も緑地管理の専門知識を持つ担当者が減少
• 危険木の判断が遅れる
• 外注依存が高まりコストがさらに上がる
• 樹木医や専門家の確保が難しい
3位:樹木の枯損・病害虫・倒木リスク
• ナラ枯れ・松枯れ等の拡大
• 強風・台風での倒木リスク増加
• 倒木 → 設備損壊
• 落枝 → 従業員の安全問題

4位:法令対応・安全管理の複雑化
• 緑地面積の維持義務(工場立地法)
• ISO14001・環境監査での緑地管理の厳格化
• 外来種対策・生物多様性配慮の要求増
5位:植栽計画の老朽化・更新の遅れ
• 1970〜90年代に植えた樹木が一斉に高木化
• しかし更新には• 伐採費、植栽費や工場稼働との調整が必要で、先送りされることがしばしば。
工場緑地の点検チェックリスト
工場の緑地管理の本質は、 「安全・リスク管理」 です。 景観は、管理が行き届いていれば自ずと改善して行きます。
しかし現場では、
• どこを見ればいいのか
• 何を優先すべきか
• ISO監査で何を聞かれるのか
が分かりにくいまま、担当者が一人で抱え込んでしまうケースが多くあります。
1. 工場緑地で最優先のリスク
• 設備損壊
• 停電・操業停止
• 従業員の負傷
• 近隣への被害
• ISO監査での指摘
これらはすべて、危険木の放置が原因で発生します。 まずは「危険木の兆候」を見逃さないことが最重要です。
2. 危険木チェックリスト
● 幹・枝の状態
• □ 幹に大きな亀裂・裂け目がある
• □ 幹が空洞化している、キノコが生えている
• □ 大枝が枯れている、葉が出ていない
• □ 幹が極端に傾いている(以前より傾斜が増している)
● 根元・地際の状態
• □ 根元の土が盛り上がっている(根返りの兆候)
• □ 根元に腐朽・白い菌糸・虫害の跡がある
• □ 地際に大きな空洞がある
● 樹勢(元気さ)
• □ 葉が極端に少ない、変色している
• □ 毎年の成長量が明らかに減っている
上記のリストは、まず見るべきものを列記してますが、実はこれだけでは足りないのです。
そこでお伝えしたいのは、
VTA (Visual Tree Assessment)という技法です。
これは、樹木の外見診断の方法です。
より正確に診断する事は、経験が多く必要でありますが、下のリンクに少し踏み込んだものを書いてあります。
3. 外来種チェックリスト
外来害虫
• □ クビアカツヤカミキリ(サクラ・ウメを加害)

• □ カシノナガキクイムシ(ナラ枯れ)

4. ISO14001監査で聞かれやすい“緑地管理の質問”
ISO監査では、緑地管理が「環境側面」として扱われるため、以下の質問がよく出ます。
よくある質問
• □ 緑地管理の目的と環境側面の関連を説明できますか?
• □ 危険木の判断基準はありますか?
• □ 外来種の管理方針はありますか?
• □ 年間管理計画は文書化されていますか?
• □ 外部委託業者の力量確認はどうしていますか?
• □ 剪定・伐採の根拠を記録していますか?
5. 年間管理の流れ(春・夏・秋・冬)
🌸 春(3〜5月)
• 新芽の状態で樹勢(元気さ)を確認
• 危険木の一次点検 VTAの実施
☀️ 夏(6〜8月)
• 草刈り・除草のピーク
• 害虫被害の確認 樹皮に穿孔の有無
• 台風前の危険木チェック
🍁 秋(9〜11月)
• 台風後の倒木・傾きチェック
• 冬に向けた剪定計画
❄️ 冬(12〜2月)
• 予算都合に合わせた剪定・伐採の最適時期
• 年間管理計画の見直し
• ISO監査用の記録整理
6. 樹木管理業者に依頼するときの“確認すべき5点”
• □ VTAをはじめとする危険木を見極める技法を使い、明確な説明ができるかどうか
• □ 作業後の報告書に上記の事等から「根拠」が書かれているか
• □ 害虫による被害の予防を含めた管理に対応できるか
• □ 年間管理計画の作成に協力的か
これからは、「ただ安い業者」ではなく、
“正しい知見をもとに、樹木点検を行い、また説明できる樹木管理業者” を選ぶことが重要です。
まとめ 安全・環境・コストを同時に守る。
アーボリカルチャー(Arboriculture)という選択
アーボリカルチャー(Arboriculture )は、聞き慣れない言葉かもしれません。
ざっくり言うと、樹木に携わる人間の営み・文化の総称を表します。
もう少し詳しくですと、
「practice and study of the care of trees and other woody plants in the landscape」
(Glossary of Arboriculture Terms 2020 ISA発行
以下これを注1と表す。)
日本語だと、「景観における樹木やその他の木本植物の管理に関する実践と研究」 となります。
樹木に携わる生業、林業Forestry や造園業Landscapingと比べると、アーボリカルチャーArboricultureは、目的や技術も根本的に異なる性格を持ちます。
分野 ー 主目的 ー 木との向き合い方
林業 ー 木材生産・伐採 ー 森林単位で管理、木は資源
造園業 ー 庭園管理・景観造形 ー 樹形や景観を整える
アーボリカルチャー ー 樹木安全管理 ー 樹木ごとに診断と
その対処
アーボリカルチャーは、樹木学・樹木生理学・リスク評価・高所安全技術・都市樹木管理を統合した専門分野になります。
技術の差異
● 林業
主に森林での伐採・搬出
重機中心
木材としての価値が基準
● 造園業
庭木の剪定
伝統的な刈込・樹形づくり
地上作業が中心
● アーボリカルチャー
クライミングロープやリギングロープ等を使った樹上作業(ツリークライミング®︎技術)
樹木と周辺環境リスク評価
樹木生理学に基づく剪定・治療
倒木リスクの診断と予防
工場緑地の”今”に必要なコト・ヒトを
普段から工場の”緑化”、とりわけ高木樹木の維持管理を、
樹護士アーボリスト®としてお仕事させて頂いている経験から、
今、タイムリーにこの問題に直面している方々に少しでもプラスになれればと思い、綴りました。 お役立てていただければと思います。
JUN TREE SERVICE株式会社 根立 龍斗
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