防災は「起きてから」では遅い
今、自治体が“すでに使える”制度の話
近年、豪雨・台風・地震などの自然災害は、
もはや「想定外」ではなく、日常的なリスクになっています。
災害が起きるたびに、
「想定を超えていた」「仕方がなかった」という言葉が繰り返されますが、
本当にそうなのでしょうか。
実は今、
「起きる前に備えるための制度」は、すでに動いています。
実はもう始まっている、国の防災・減災投資
国は現在、
• 緊急防災・減災事業費:5,000億円
• 緊急自然災害防止対策事業費:4,000億円
あわせて 9,000億円規模の予算を使い、
災害を未然に防ぐための事業を全国で進めています。
これは「新しい制度」ではありません。
すでに実施されている、現行制度です。
この制度、何がそんなに重要なのか
この制度の最大の特徴は、
自治体が非常に使いやすい財政設計にあります。
• 事業費は 地方債で100%まかなえる
• その返済の 70%は、後から交付税で国が補填
つまり、
自治体は
初期の持ち出しを抑えながら、
実質3割程度の負担で防災事業を進めることができる
という仕組みです。
「お金がないから防災ができない」
という状況を、制度として乗り越えようとしているわけです。
それでも防災が進まない理由
制度があっても、
現場ではこんな声をよく聞きます。
• どこから手を付けていいか分からない
• 大規模事業でないと対象にならないのでは
• 小さな集落や中山間地は後回しになりがち
結果として、
本当は危ない場所ほど、対策が遅れる
という状況が生まれてしまいます。
これから必要なのは「小規模・分散」という考え方
避難所や防災拠点は、
大きければ良い、というものではありません。
• 高齢者が遠くまで避難できない
• 一箇所に人が集中しすぎる
• 平常時は使われず、維持だけが残る
こうした課題を踏まえると、
小規模で、地域に分散した防災拠点
という選択肢は、もっと議論されてよいはずです。
制度の中で、こういう使い方もできる
たとえば、
• 小さな防災拠点を複数配置する
• 災害時だけでなく、平常時も使える施設にする
• 要配慮者(高齢者・障がい者・子ども)を想定する
こうした考え方も、
現在の防災・減災制度の枠内で整理することが可能です。
私自身は、
3Dプリンター建築による小規模・常設型防災拠点
「VILLA NAVIA」という構想にも関わっていますが、
これはあくまで 一つの具体例にすぎません。
大切なのは、
「何を採用するか」ではなく、
制度をどう使いこなすかです。
誰かを責めたいわけではない
この話は、
• 特定の自治体を批判するものでもなく
• 何かを強制するものでもなく
• 新しい予算を求めるものでもありません
すでにある制度を、どう活かすか
という、共有のための話です。
防災は、
「決断の遅れ」がそのまま被害につながります。
だからこそ、
議論できるうちに、
選択肢をテーブルに載せておくことが重要だと思っています。
防災は「技術」より「時間」
災害が起きてからでは、
できることは限られます。
しかし、
起きる前であれば、
制度も、技術も、選択肢も、まだ残っています。
防災は、
時間をどう使うかの問題でもあります。
この文章が、
どこかで誰かの
「考えるきっかけ」になれば幸いです。
※ 本稿は、特定の自治体や事業実施を促すものではなく、
現行制度の存在と活用可能性を整理した
情報共有を目的としたものです。
