人生は雰囲気になる|可愛いおばあちゃんになりたいと本気で思った話
公務員時代、高齢者窓口にいた頃のお話です。
認知症を患った一人暮らしのおばあちゃんが、よく相談に来られていました。
生活には、日常生活の困難だけでなくたくさんの不安があります。
しかも一人暮らしとなれば、なおさらです。
それでもその方は、いつもニコニコしていて。
「私また分からなくなってしまって」
「聞きに来たの」
「いつも助けてくれてありがとう」
そう言ってくださる方でした。
私たち職員は、その方のことが大好きでした。
一緒にお話ししているとなぜかこちらまで、穏やかで幸せな気持ちになれたのです。
私はよく、
「この方は、どんな人生を歩んできたのだろう」
と思っていました。
不安がないわけではないはずです。
できないことが増えていく苦しさも、きっとある。
それでも、卑屈にならず、周りへの感謝を忘れず、あんなにも柔らかく、清らかにいられるなんて。
目上の方に失礼かもしれませんが、本当に可愛らしくて、チャーミングな方でした。
私たちはよく、「あんなふうに歳を重ねたいね」と話していました。
若さや、容姿の美しさとは違う。
その人の生き方そのものが、雰囲気になって滲んでいるような美しさでした。
歳を重ねるほど、人は“その人らしく”なっていくのかもしれません。
取り繕うものが少しずつ削ぎ落とされて、その人の本質が、表情や空気感に現れてくる。
だから私は、
「可愛いおばあちゃんになりたい」
と本気で思っています。
それは、若く見られたいという意味ではなくて。
周りに感謝できること。
素直でいられること。
誰かを安心させられる空気を持つこと。
そんなふうに、歳を重ねていきたいのです。
人生は、きっと雰囲気になる。
だから今、どんな気持ちで生きるのかを、大切にしたいと思っています。
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