もしも俺が〇〇だったら SEASON5 エピソード8
しかしまぁ、いろんなことが起こる毎日でございますね。
少し前の話なんですけれども、尿酸値高男とカチンと焼肉を食いに行った時の話。週末ということもあってか、店内は激混みでございます。扉を開けた瞬間に押し寄せてくる熱気と、脂の焼ける芳醇な香り。本来なら食欲を爆発させるはずのその香りが、この日はどこか不穏な空気を含んでいるようにも感じられました。
そのせいか、頼んだ品が全然届かないのです。注文用の端末を何度確認しても、履歴にはしっかりと「送信済」の文字。しかし、我々のテーブルは砂漠のように乾ききっています。これに関してはまぁ、仕方ないですよ。店員さんも地獄のように忙しいようで、あちこちに慌ただしく料理を運んでいるのです。右へ左へと、まるで見えない敵をなぎ倒すかのように盆を掲げて疾走する彼らを見ていると、なんだったら俺も一緒に運んであげたいとさえ思いましたよ。
最初に頼んだ肉はすべて焼き食べてしまったのでテーブルの上には何もない。網の上で唯一踊っているのは、炭から立ち上る虚しい熱気だけ。あとは商品が来るまで尿酸値高男らとお話をするだけという謎な時間が発生。お互いの近況報告も、健康診断の結果発表も、ひと通り終わってしまった。これ以上の沈黙は、空腹という名の魔物に心を蝕まれるだけです。これもまぁ、ここまで混んでいたら仕方ないですよ。
そんな時に、すぐ隣のテーブル客が店員さんを呼び、「頼んだ商品が届いていないんですけれども!」というプチクレームをぶちかましていました。店員さんは「大変申し訳ございません、今すぐにお持ちしますので。」と謝り倒しているわけでございます。確かに早く頼んだ料理を喰いたい気持ちはわかりますよ。焼肉を喰いに来るってことはそれなりに腹を空かせた状態で来たんでしょう。胃袋のカウントダウンはとっくにゼロを過ぎているはずです。
イライラするのはわかりますけれども、こういうのは良くないな。ちゃんと周囲を見渡せば、自分だけではない、他のお客さんのところの料理も遅れているってことがわかる話ですからね。殺気立った声を出すことで、せっかくの肉の脂の味が落ちてしまう。
これ俺だからこんなふうに冷静に過ごせますけれども、もしも俺が秋葉原でインタビューを受けていたあの男性だったら「それはちょっとね、世間は許してくれぁせんよ」って悟ったような顔で言っているでしょうね。あるいは、かまいたちの濱家さんなら、このあまりにも不毛な状況を前にして「・・・え、ちょ、待ってください。これ、何の時間やねん!」って、一切笑いのない冷めた目で周囲を黙らせているでしょうね。これが豊田真由子さんであれば「このハゲーっ!違うだろーっ!」って絶叫しながら、この理不尽な現実を全力で否定しているでしょうね。これがもし、ひろゆきさんなら「なんか、頭悪い人特有 of 考え方ですよね」って、目をパチパチしながら半笑いで相手を小馬鹿にしているでしょうね。
そんなことはいいとして、店内にはものすごい量の煙が充満しております。そこそこ広い店内は満席で、すべてのお客さんが一斉に焼肉を焼いているので、これだけ煙が充満しているのは仕方ない。しかし、それにしてもとんでもない煙たさだ。俺たちは霧に包まれた「サイレントヒル」にいるのではないかって思うくらいだった。向かいに座る尿酸値高男の輪郭が、まるで蜃気楼のように揺らいで見える。「換気が追いついていないんだろう。」なんてことを考えていた。吸い込み口が、もはや煙の暴力に屈してしまっているような絶望感すらありました。
しかし次の瞬間、店内ではけたたましく非常ベルが鳴り響くのです。 ジリリリリリ! 職場の避難訓練なんかで聞いた、あの、聞くだけで心臓の鼓動が早くなる音が店内で鳴り響いているのです。まさか、火事!?一瞬思いましたが、同時にこの煙の量で火災報知器が反応したのだと察しました。それは他のお客さんも同じなようで、非常ベルが鳴り響いているってのに、誰1人としてその場を離れようとしなかった。
むしろ、ベルの音に合わせてリズムを刻む強者までいる始末。満席の店内のお客さんが同時に逃げ出したらそれこそ店内は大パニックですが、そうはならなくて本当に良かったですよ。隣のカチンくんなんか、思いっきり白米を頬張っていましたからね。彼の脳内では「非常ベルの音=肉が来る合図」とでも変換されているのでしょうか。
非常ベルは20秒ほど流れてすぐに止まります。少しすると空調がフル稼働したのか、煙が一気になくなっていき、視界は良好に。やっとテーブルの対局側にいた尿酸値高男くんのチャーミングな顔が見えてきましたよ。同時に空調がフル稼働したということもあってか、店内は爆寒になってしまいます。ついさっきまで熱帯雨林のような湿気と熱気に包まれていたのが、一転して冬のシベリア。薄着で来ていたことを後悔するレベルです。まぁこれも仕方ない。焼肉を爆食いして体温を上げ、自己免疫力でこの寒さを乗り切るしかないですな。
これ俺だからこんなふうに状況に合わせて動けるかもしれませんけれども、もしも俺が秋葉原でインタビューを受けていたあの男性だったら「それはちょっとね、世間は許してくれぁせんよ」って悟ったような顔で言っているでしょうね。あるいは、かまいたちの濱家さんなら、このあまりにも不毛な状況を前にして「・・・え、ちょ、待ってください。これ、何の時間やねん!」って、一切笑いのない冷めた目で周囲を黙らせているでしょうね。これが豊田真由子さんであれば「このハゲーっ!違うだろーっ!」って絶叫しながら、この理不尽な現実を全力で否定しているでしょうね。これがもし、ひろゆきさんなら「なんか、頭悪い人特有の考え方ですよね」って、目をパチパチしながら半笑いで相手を小馬鹿にしているでしょうね。
数分後、店員さんがひとつひとつのテーブルを周り「先ほどは非常ベルを鳴らしてしまいご迷惑をかけました。換気がちゃんとできていなくて、火災報知器が反応してしまいました。」と説明。俺が思った通りだ。まぁお店の方もめちゃくちゃ忙しそうにしていたし、換気のことも手が回っていなかったのだろう。これは仕方のないことだ。お店のことを責める気持ちは1ミリもない。むしろ「お疲れ様です、大変でしたね」とねぎらいの言葉をかけたくなるほどでした。
しかしだ、その10分後、再び火災報知器が作動した。 またあのベルの音が鳴り響いたのだ。しかも今度は30秒くらいなり続けていた。 いやいやいや、換気で煙もだいぶなくなったし、今度こそ本当の火事なのか!?って思ったりもしましたが、これ俺レベルになるとわかりますよ。それこそ会社の避難訓練で、火災報知器のシステムをいじったことがあったんですけれども、一度報知器が鳴るモードになって、そこから元の状態に戻そうと際、手順を間違ってしまうとまた非常ベルが鳴ってしまうんですよね。
火災報知器というのは、一度スイッチが入ると「火災の信号」が受信機に残ります。それを「復旧」という操作で消さないといけないのですが、その前にまた少しでも煙を検知したり、あるいは操作盤のスイッチが中途半端な位置にあったりすると、再び「ジリリリリ!」と自己主張を始めてしまうのです。まぁ火災報知器なんか作動することなんて基本的にないことなので、こういうものの操作って忘れてしまうんですよ。とりあえずいじった結果鳴らしてしまったのだろう。店員さんの焦る姿が目に浮かぶようです。
これ、火災報知器の複雑さを知っている俺であれば「まぁ仕方ないことだよね。」って言えますけれども、もしも俺が秋葉原でインタビューを受けていたあの男性だったら「それはちょっとね、世間は許してくれぁせんよ」って悟ったような顔で言っているでしょうね。あるいは、かまいたちの濱家さんなら、このあまりにも不毛な状況を前にして「・・・え、ちょ、待ってください。これ、何の時間やねん!」って、一切笑いのない冷めた目で周囲を黙らせているでしょうね。これが豊田真由子さんであれば「このハゲーっ!違うだろーっ!」って絶叫しながら、この理不尽な現実を全力で否定しているでしょうね。これがもし、ひろゆきさんなら「なんか、頭悪い人特有の考え方ですよね」って、目をパチパチしながら半笑いで相手を小馬鹿にしているでしょうね。
さらに、この二度目のベルが鳴り止んだ後、今度は何が起きたと思いますか。 なんと、店内の照明が半分くらい落ちたのです。 おそらく、パニックになった店員さんが、操作盤のボタンを「これか!?それともこれか!?」と片っ端から押した結果、照明の系統まで落としてしまったのでしょう。薄暗い店内で、鳴り止まないベルの余韻。そして目の前には、まだ届かないカルビ。 もはやこれは焼肉屋ではなく、前衛的な舞台芸術の会場か何かに迷い込んだのではないかという錯覚に陥ります。
隣のテーブルのクレーマーも、さすがに二度目のベルと暗転には毒気を抜かれたのか、無言で網を見つめていました。怒りという感情が、あまりにも非日常的な連続トラブルによって「虚無」へと昇華された瞬間を目撃しました。 カチンくんに至っては、暗くなったことをいいことに、尿酸値高男のタレ皿からこっそりタレを奪取していました。なんて逞しい精神構造でしょう。
これ、俺だからこのシュールな状況を「演出かな?」なんて楽しめますけれども、もしも俺が秋葉原でインタビューを受けていたあの男性だったら「それはちょっとね、世間は許してくれぁせんよ」って悟ったような顔で言っているでしょうね。あるいは、かまいたちの濱家さんなら、このあまりにも不毛な状況を前にして「・・・え、ちょ、待ってください。これ、何の時間やねん!」って、一切笑いのない冷めた目で周囲を黙らせているでしょうね。これが豊田真由子さんであれば「このハゲーっ!違うだろーっ!」って絶叫しながら、この理不尽な現実を全力で否定しているでしょうね。これがもし、ひろゆきさんなら「なんか、頭悪い人特有の考え方ですよね」って、目をパチパチしながら半笑いで相手を小馬鹿にしているでしょうね。
しばらくして照明が戻り、店長らしき人が真っ青な顔で謝罪に回ってきました。 その頃にはようやく、我々のテーブルにも念願の肉たちが運ばれてきました。 「お待たせして申し訳ありません!サービスの上タン塩です!」 そう言って置かれた皿には、見事なサシの入ったタンが並んでいました。 「雨降って地固まる」とは言いますが、この場合は「煙降ってタン来る」といったところでしょうか。
肉を焼く音が、静まり返った店内に心地よく響きます。 いろいろありましたが、結局のところ、うまい肉を喰えばすべてが解決するのです。 非常ベルの音も、爆寒の空調も、届かない料理へのイライラも、すべてはこの極上のタンを味わうための伏線だったと思えば、悪くない夜でした。
俺たちはその後、何事もなかったかのように肉を平らげ、店を後にしました。 帰り道、尿酸値高男が「明日、足の親指が痛くなってなきゃいいな」と呟きました。 ベルの音よりも、そっちの方がよっぽど恐怖な夜だったのかもしれません。 しかしまぁ、本当にいろんなことが起こる毎日でございますね。 次に行く時は、せめてベルの音ではなく、肉の焼ける音だけを聞きながらゆっくりしたいものです。
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