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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

【星のカービィ二次創作小説】破滅の鶏冠

【注意】
星のカービィディスカバリー、スターリーワールド、および他カービィシリーズのネタバレ含みます。
13000文字あります。カービィ愛と根性のある方は、こうかいしませんね?



それは、たしかに友情だった。

托卵

星降る世界のぼうけんを終えたカービィたちは、プププランドにかえってきました。
こんどはエフィリンもいっしょです。

エフィリン わぁ〜!何度来てもすごいところだなぁ〜!
なだらかな草原はうたい、鳥は雲にあつまるように群れる…
ぼく、ここも大好きだよっ!

カービィ (エフィリスのポエミーなところまで受け継いでるのね)
ありがとう。ぼくもここが大好きだよ!

エ そうだよね。なんてったって、ここはカービィの故郷だもんねっ!

カ え?

エ え?

デデデ大王 ん?知らないのか?
こいつはな、もともと「たびのわかもの」でな、ここが故郷じゃないんだ。

エ えええーーーー!??

カ ああ、ごめん、説明がめんどくさかったから言ってなかった。
ぼく、なぜかプププランドに来たときからしか記憶がないから、どこで生まれたかわかんないんだ。

デ あと、こいつがプププランドに来た理由は、国中の食べ物を独り占めしていたオレさまを倒すためだったんだぞ。

エ ええええええーーー!??!?
ちょっと!いきなり情報量が多すぎるよっ!!

デ じゃあ出発だな!
まずはプププランド一の観光名所、デデデじょ…

エ ええええええーーーー!???

デ オレのセリフを遮るな!!
そんなに驚くことじゃ………
えええええええええええ!????

カービィたちが空を見上げると、
彼らの目に映ったのは…
流れ星。
白色に光る卵型の流れ星。
ドオオオオオーーーーーン………

カ こ…これは……

デ なんだゾォイ!??

バンワド たたたた、たいへんだー!!!

デ おお!バンダナ!走ってきてどうした?

バ 大王様!ベージュの水晶が各地におちてきています!みんな大パニックです!

エ そんな…!プププランドにも…!?

カ よし!こうしちゃいられない!まずは水晶と一緒におちてきている、大きな塊を調べよう!
デデデ!きみは水晶のおちてきた所をバンダナワドルディと調べてきて!

デ お、お…おう!!
(コイツ、こんな頼もしかったっけ…新世界とやらに行ってから変わったな)

カ 行くよ、エフィリン!

エ うん!

嘴打ち

カービィたちは地面におちた光る大きな塊の前にたどり着いた。
周りの地面は隆起しており、木々が乱雑に倒れている。

カ ……………。

エ 何も起きないね…。
それに、特にいやなかんじはしない…

カ でも、なんだろう…すごくヘンにもやもやするんだ。

エ え…?

??? カービィさんっ!!

カ きみは…天もん学者ワドルディだね。
なにか知っているの?

天もん学者ワド ええ、思い当たる書物がありました。
最近は新世界語以外の書物にもチャレンジしてるんです。

今昔、強大な力とは、たくさんの弱小なる力によって
(解読不能)
結晶につつまれた、龍の卵
(解読不能)
なすすべもなく
(解読不能)

書物の一節

天 解読できないところを予想して意訳すると、「結晶に包まれた龍の卵」には強大な力が秘められており、それによって「なすすべもない」という状況になるようです。
この塊が「龍の卵」なのであれば…あまり良いことにはならなさそうです。

カ ほかには資料はないの?

天 急いで漁ったのですが…当てはまりそうな書物はなかったです。

デデデ・バンワド お~い!

エ あっ!カービィ、2人が来たよ!
それに、バンダナワドルディが結晶を持ってる!

バ 持ってきたよ~!

カ どう?みんなのようすは?

デ 町が壊れて混乱してるが、相変わらず脳天気にやってるよ。もう再建を始めてるヤツまでいるから、大丈夫そうだ。

バ スターリーのときみたいに、結晶でみんなが変化する、みたいなことはないみたいだよ。

カ …また、これで封印するのかな?

ピシッ

エ え?

ビシッ

デ ウソだろ…

バリンッ
バーーーン
轟音が響いて塊は割れた。
中から出てきたのは…

カ お…女の子!?

真っ白な死装束を着た、白髪おかっぱの女の子。
…の姿をした「」は地面に横たわった。

バ 気絶してる…近づいてもいいのかな?

デ バンダナ!逃げろ!お前の持ってる結晶に反応してる!

バ えっ!?

パチッ

デ 目を…覚ましたぞ…

少女の形をした「」は、ゆっくりと、起き上がっていく。
パキパキパキパキッ

みんな うわぁ!

デ 周りに結晶を生やした!攻撃だ!
カービィ!バンダナ!もういい、攻撃しろ!

エ え!?

デ こいつは明らかに危険だ!事が起こる前に…

カ デデデ!!
あの子が敵とはまだわからないじゃないか!

デ でも予言には—

??? その青いかたが言っていることは正しいです。

みんな !!?

デ お前…喋れたのか。だがそんな事はどうでもいい。
悪いがハンマーの餌食になってもらうぞ。

バ あわわ…!

カ デデデ!ストップ!!

デデデが新世界のコロシアムできたえたハンマーの一撃一撃を、
「」はひらりひらりと躱していく。

デ 風と戦ってるみたいだ…
くそっ!これでどうだ!

エ 大王ッ!!やめて!!!

デ え!?

バンダナワドルディが槍で、デデデの足元をすくう。
ドサッ

バ ごめんなさい大王様!!

エ 大丈夫!?

デ いや、その、オレ様は大丈夫なんだけど…
お前、あんな大きい声出せたんだな。

エ え?

??? ……ふ。

あの子

デ なんだ?あいつ笑いやがったぞ…?

??? なんともほほえましい方々ですね。
これからいなくなるとは思えない。

エ いなくなるって…どういう!?

??? 説明が必要そうですね。
私にこれを話すメリットは無いのですが、まあ喋っても構わないでしょう。

天 アナタは…何者なんですか?

??? 私は、この世界を滅ぼすための存在なんです。

デ ……おいおいおいおいおいおい……

??? 「終世」まであと3日となります。
その間私はこの星で準備をしているので、アナタ方は好きに過ごしてください。
もちろん、そちらも何を準備しようと構いません。

デ それは本当か?

??? わたしの使命は、あくまで「3日後にこの世界を滅ぼす」ことだけなので。
私のチカラも、3日後にだけ使えるようになっています。

デ よし。じゃあ3日後までにコイツを倒す。まずコイツを地下牢獄にぶち込んでから、マホロアとかに頼んで…

カ デデデ!!!
いい加減にしろ!!!

デ うおっ!?

カ そんなことをしていてもキリがない!!
周りに被害が広がるだけだ!!

デ じゃあお前はどうするってんだよ!

カ ぼくは………
あの子と腹を割って話そうと思う。

みんな !??

カ かならずこの3日で、おいしいものを食べて、きれいなところを見て、おひるねして、絶対にともだちになってみせる。
そうすることで、世界の破滅をあきらめさせる…!

??? …何を言っているのですか?

デ おい…それは流石に無理があるってもんだろ……

カ 無理じゃない。ぼくはさっき、あの子がかすかに笑うのを聴いた。
ココロに侵略だけじゃない何かがある証拠だ!

エ ……そうだよっ!大王!
ぼくは闇の星を見たとき、すごく嫌な予感がした。
でもあの子にはそれはなかった!きっと改心するはずだよ!
いや、できるはず!

デ ……そうかよ。
わかった。お前らの気持ちは伝わった。
オレ様はこのパーティを降りる。

バ 大王様…!

デ オレ様はオレ様の計画を進める。
3日後にな。

デデデは折れ曲がった枝を踏んでその場を後にした。
バンダナワドルディはデデデの背中をしばらく見つめていたが、彼のもとに向かうことはなかった。

カ …と、いうわけで。
よろしくね!あ…名前ってある?

??? ……『あの子』でいいですよ。
その呼び方が、とても気に入りました。

カ じゃあ、よろしく!あの子!
ぼくはカービィだよ!

あの子 へー。そうなんですね。あのかたはデデデというのですね。

カ そう!君を攻撃しようとしてたけど、悪いヤツじゃないんだ。ライバルであり友達だよ。
あと、メタナイトっていう、かっこよくて強い剣士もいるんだ!いまは修行に出てるけど…きっと無事に戻ってくるよ!

あの子 そうですか…それは興味深いですね。

カ ……敬語じゃなくてもいいんだよ?

あの子 いいんです。私はアナタがたといずれ戦う身ですから、敬意を表する必要があります。

カ そんなことないと思うけどなぁ…あ!見えたね。
あれがプププランド名所、「ワールドツリー」だよ。

あの子 とても大きなピンク色の花ですね。

カ ワールドツリーのそばには、フロラルドっていう浮遊大陸があるんだ。
そこにもたくさん綺麗なところがあるから、今から紹介するね。
行くにはこのワールドツリーを登って——

『あの子』のつま先が草原をゆっくりとなでる。
そのまま操り人形のように体を上向かせると、たやすく宙に浮いた。

カ えええーー!?

あの子 さ、行きましょう。
私の肩に乗って…案内してください。

カ (意外とすぐ打ち解けられそうだ…ん?)

???? なるほど。
ヤツは浮けるのね。

瞬間、ワールドツリーの影から糸が伸びる!
『あの子』は横に跳んで避けるが、その先にある蜘蛛の巣に足を取られる。
抜け出そうとしたが、更に放たれた糸に囲まれ、繭に閉じ込められた!

カ タランザ!?どうして…

タランザ スピードは中々。おそらく全力は出していない。
ダメージも大幅にカットされてるのね。
おい!出てこれるならさっさと出てくるのね!

繭が揺らいだ後、糸が一気に緩み、卵から生まれたかのようにして『あの子』は出てきた。

タランザ …少しは嫌な顔をしろ、侵略者さん。
カービィ。邪魔してすまないのね。

カ …デデデに頼まれたの?

タランザ デデデだけじゃないさ。マホロアやらマルクやら、バケモンたちがこぞってコイツを研究してるよ。
とにかく、一瞬でも閉じ込められたのは収穫だったのね。

あの子 彼はいったい?

カ あー…彼はタランザ。
物や人をあやつる魔術を使えるんだ。

あの子 この花、綺麗ですね。
アナタもここがお好きで?

タランザ …聞かないでくれ。

それからカービィと『あの子』はフロラルドをめぐりました。
お菓子の国や木に覆われた地帯、火山のヌシにもごあいさつ。
あの子の服と同じぐらいまっしろな雪原で、カービィが『あの子』を見失うなんてこともありましたが、
最後は、ロイヤルロードの一番上で2人で月を見ました。

あの子 そういえば、アナタはこの星の人々からとても信頼されていますね。
フロラルドの人たちは、事情を知らなくてもアナタと私をここへ通した。

カ みんなやさしいからね…。
バンダナワドルディやエフィリンも来れたら良かったんだけど、
いまは天もん学者さんの所で、君に関する書物がないか調べてるらしいよ。

あの子 そうだったのですか…。

カ どう?感動してる?

あの子 その感覚に近いのかもしれません。
それでは、私は3日後に向けて準備があるので、ここで…

カ あ!待って!
…ぼくさ、そのー…
……やっぱり、デデデたちを説得してみようと思う。きみは悪いやつじゃないはずって。

あの子 …

カ だから、明日はエフィリンと行ってほしい。
わかる?水色の子だよ!地面に空いた大きな穴の前で待ち合わせね!

あの子 …そうですか。

カ あ、待…写真撮りたかったのに。

カ みんな!何してるの?

マルク げっ!?防護魔法が突破されてるぞ!!
カービィ!どこから入ったのサ!?

デデデ うわー!!クソ!!わからん!!
昔どうやってニューデデデハンマー作ったんだっけ!?

マホロア «if=nemesis%escape%»…

マルク 各々が各々のことやってんじゃねえ!!!
こっちを見ろ!!

デデデ げっ!カービィ…

カ デデデ…もうやめようよ、こんなこと…

デ なんだ、止めても今更遅いぞ。
もうこっちはタランザをアイツにぶつけた。

カ なっ…ふざけるな!!
周りの住民がどうなるかわかってるの!?

デ いや、幸い周りに空き家しかなかったから、被害は出てないと思うぞ。

カ 周りに空き家しかない…?変だな。

バァン

デ おお!タランザ!

研究チームが一斉にタランザの方を向く。

マルク 首尾は!?

タランザ や…やったのね…ついに…
ついにヤツの髪をゲットしたのね!

研究チームが一斉に研究を再開する。

タランザ なっ…
おい!これがあれば研究が進むぞ!なぜ…

デ お…おい皆!アイツがそんなにすぐ倒れるわけがないじゃないか!

マルク なぁタランザ。いい気になってんだろ。

デ お、おいマルク…

マルク もういい。時間がないんだ。
マホロア。電気属性をつけてくれ。ボクがヤツを光にしてくるのサ。

デ おいマルク!!!

マルク おっほっほっほ!!!(飛び去る)

タランザ ………

カ ねえ、ぼくは空気なの…?

ところかわって、エフィリン

エ バ…バンダナワドルディ!?

あの子 なんだったのですか?あの方は。

バンワド まったく…カービィさんはボクらを信用しすぎだよ!
いやなよかんがしたので飛び込んできたけど…
とにかく、タランザさんたちがいれば書物の解読が早くなるはず!ボクは彼を追いかけるよ!

キリキリキリキリ

バ わあっ!

マルク 覚悟するのサお嬢ちゃん!
2人は指くわえて見てるのサ。

きりもみながらシードを発射するマルク。
『あの子』は地面から荒々しく生えたイバラに囲まれる。

マルク なんだぁ?思ったより大した事ないなァ!!
これで終わりなのサ!!

突風のようなマルク砲が放たれる。
『あの子』は飛んで上に逃げるが、衝撃波のような風に飛ばされ、電気で動きが鈍ったところを岩壁に打ち付けられる。

マルク うほほぉへぇへぇへぇ!!!耐えられたか!!
こんなに楽しいのは久しぶりサ!!

エ ど…どうしよう…!

バ 止めるスキがないよ…!

ガキィン

エフィリン・バンワド !?

マルク あぁ!?
メタ…ナイト?

メタナイト どういう風の吹き回しだ?
カービィからの連絡で急遽修行から戻ってきたが…

マルク ちぃっ!分が悪いのサ!
まったく、収穫0サ。アイツらに顔向けできないのサ~…

エフィリンはメタナイトに説明した。
卵型の流星のこと。
カービィたちの計画、デデデたちの計画。
そして…目の前の白装束の人物について。

メ …成程。

バ だから、ボクらはこうしてあの子と色んな場所を回ってるんだ!
メタナイトもよかったら、大王さまを説得…メタナイト?

メ すまない。
私はどちらにもつかないつもりだ。

バ ええっ!?

メ それより、私は古文書の解読を進めようと思う。
以前から天もん学者ワドルディを手伝っているんだ。
何か手ががりが見つかるかもしれない…そうだろ?

エ そ、それはそうだけど…
あ!待って!

バ 行っちゃったね。
って!こうしちゃいられない!またマルクたちが襲ってくるかもしれない!
あの子!とりあえずこの穴の下へ行こう!

あの子 はい。

ヒューーー
ドスン

バ いてて…。
みんな!起きて。ここがマジルテだよ。

エ うぅ…わぁ…!

あの子 水晶と塔があって、魅力的ですね。

ところかわって、カービィ

カ とほほ…けっきょく止められなかったよ…
そういえば、何のためにぼくはこんなことを?
あの子を止めなきゃいけないのに…でもあの子は友達で…友達を傷つける友達を説得しに言って…でもあの子は…!

ふと、横を見る。
そこには、『あの子』が包まれていたものと同じ色の、小さな卵型の結晶。
それを手に取り、カービィは孤独な決意を秘めた。

これをぜんぶ集めれば…どうにかなるかもしれない。
どうにもならなくても、あしたのかぜはふく。

カービィは走り出す。
向かい風の中、サラサラと音を立てて。

二・夜

カービィ これで全部…なのかな?
意外と、集めるのにそこまで苦労はしなかったな。
カケラを独り占めしてたウィスピーウッズたちと戦ったりはしたけど、とくにおおきなトラブルもなく終えられたな。

そう、とくにおおきなトラブルもなく終わったはず。
カケラをめぐったウィスピーウッズやロロロ&ラララ、クラッコとの対決。
新世界での冒険、そしてここ2日が怒涛の日々だったこともあり、懐かしく変わらない面々との対決にカービィは幸せさえ覚えていた。

カ あと1日で、何か変わるかな…。
あの子たちは今頃、ナッツヌーンのスカイタワーでお月見を…

あの子 してきました。

カ わわっ!

エ もう!どこへ行ってたの?カービィ!
急にいなくなるから、みんな混乱したんだよ!

カ いやいや、ごめん。これには事情…

エ そこにスージーが現れて、ムリヤリデデデやらメタナイトを仲間にして、

カ ん?

エ 今、みんなはスージーの指示に従ってプププランドの住民をまわりの惑星に避難させてる。

カ ん?ん?

バ そういえば、ずいぶん前からスージーは流星が降ってくることをキカイで予測していて、住民避難のプログラムを作ってたらしいよ。

カ えええええーーー!!?

バ わ?そのベージュ色のカケラは…まさか…

エ 集めたの!?一人で!?

あの子 私を封印するつもりですか。
正直なところ…私もそれで私が封印されるのかはわかりません。

カ …とりあえず状況を整理しよう…
みんなを一旦集合させたい。バンダナワドルディ。
朝になったら、持ち前の大声でみんなを起こしてあげて。

バ 了解!
あと、マジルテやナッツヌーンでいくつか写真を撮ってきたよ。

カ わぁ…ありがとう!

あの子 これが思い出になるといいですね。

カ うん!きっとなるよ。
君の思い出にもね。

あの子 …それでは私はここで。

バンワド スーーーーーーーッ。
みんなーーーーー!!!!
起きてーーーーーー!!!

デデデ ん…。
なんだ?誰の声…
バンダナワドルディか?

バ しゅうぅううごぉぉおおおおおお!!!!!

あの子 荒っぽすぎません?

カービィ デデデなんかはただじゃ起きないからね。
むしろ、これぐらいしか方法がないんだ。

みんな眠い目をこすりながらカービィハウスを囲むように集まった。

バ 何人か関係ない人まで来ちゃった…。

カ あれ?マホロアは?

スージー …それは後で話すわ。
にしても、どこ行ってたのよ。

カ これっ!

ドサッ

みんな (どよめき)

カ これであの子を封印…できるかはわからないけど、何かの役には立つと思うんだ。

あの子 …。

カ ぼくから言いたいのはそれだけ。

スージー はぁ…私達に言ってくれれば、協力したのに…
じゃあ、私の番ね。
流星の落下を事前に予測した私は、住民避難プログラムを突貫工事で作った。
だけどそれを実現するには、多数の協力、そして異空間を使った惑星への避難のための準備が必要。
その要となるのが天駆ける船ローアや、空間を行き来する魔術師。
だから何度も説得しに行った。でも応えてくれなかった。
なので、彼らのアジトをぶち壊して黙らせるためのプログラムをマッハで書いてマッハで実行した。

マルク コイツのせいで研究がパーなのサ…イテテ傷が…

ス でも、まだ1割くらいまでしか避難が完了していないの。
そこで顔が広いアンタならみんなをスムーズに避難させられる…と思ったんだけど。
肝心なときにいないよね、アンタ。

カ ごめん。こればっかりは本当に…ぼくのわがままなんだ…

ス アンタの目的はさ、「あの子と友達になること」よね?

カ うん…。

ス エフィリン一人と行かせてどうするのよ。
決めたなら貫き通しなさい。

カ うん!

ス あんたもなんなの?メタナイト!
緊急事態なのに書物読み漁って、そんなすぐに成果出るわけないでしょ!
また改造するからね!

メタ (震えながら体を横に振る)

カ あ…あの…マホロアは?

デデデそれがな…全く分からないらしいんだ。

タランザ スージーのアジト襲撃のときから行方不明なのね。
なにやらバカでかいキカイみたいなの作ってたから、アイツを見たら要注意なのね。

カ とにかく、避難を進めよう。
スージー。時間はない。一人も取り残さないようにしよう。

ス …わかったわ。
それではミュージック、スタート。

(♪TWINKLING STAR SHOWERS)

カ こ…この曲は…!

ス 歌詞は翻訳した。再利用させてもらうわ。
いわばプロパガンダよ。

(スージーの歌声)

ス もちろんボーカルは私。

歌声は響き渡る。
タイムリミットは刻々と迫る。
どれだけ祈ろうとも、日は止まってはくれない。
決定的なものがない。
天駆ける船ローアがない。
ワープスターやマルクたちの力では、限界があるのだ。

カービィはまた走り出した。
『あの子』の元へ。

一・夜

カ あの子!

岩壁の前でピクリとも動かず、うずくまっている『あの子』。
そこに神妙な表情で駆け寄るカービィ。
歌が響き渡る中、玉のような月が空にひとつ。

カ あの子!起きて!
起きて!

必死に揺さぶるカービィ。
『あの子』は起きない。
岩のように固まり、おぼろげな目をしたまま動かないのだ。

カ …ッ!

ふところからベージュ色の結晶を取り出す。
青白い手がピクリと動く。

あの子 う…うぅ…

カ あの子!
良かった、やっぱり結晶に反応して起きるんだ…!
…あの子?

あの子 ……

カ うそでしょ…
せっかく起きたのに!
こんなのやだ!!
うわぁぁぁーーーあああ…

残酷にも空の黒さは増していく。

カ ねぇ…こんなにへんぴな所から見る月も、
綺麗だと思わない?
この2日で…できる限りいろんなポップスターの名所を回ったよね。

あの子 …

カ …ぼくね、
隠してたことが3つあるんだ。

カ ぼくはポップスターが大好きだ。
でも、ここはぼくの故郷じゃないんだ。
もともとは、はるかぜとともにやってきた たびびと、「星のカービィ」。
旅の途中、ここでデデデと一悶着あって、それからここに住むようになったんだ。
これが1つめ。

カ 2つめは…ぼくの目的のこと。
ぼくはね、世界が終わる前に、思い出作りがしたかったんだよ。

あの子 ……

カ もちろん、キミと友達になりたいのは本心だよ。
でも、もしキミの言っていることが本当なら…
もう…友達といっしょにいられないってことになるから…
でも別れなきゃいけない友達の顔を見るのが…つらすぎるから…

星空のような瞳から大粒の涙が何度も

カ でも…それでもキミと友達になるのをあきらめきれなかった…
…さいごの友達がキミで良かったよ……

こぼれ落ちて、

カ あの子…?

奇跡が起きた。

あの子 …なんですか?それ。

カ わぁっ…!

あの子 カービィさん!
それはなんですかと訊いているんです!

カ え?

カービィは後ろを振り返る。
岩壁に大きなディメンションホールが開いている。

カ うわぁぁぁ~~~!!

あの子 か、カー…。

ドサッ

カ いてて…

あの子 ここは…どこなのですか?

ドゴォォン

カ ビーム!?
え?あの子…?

???? ブラボー、ブラボー!

カ …!

マホロア 勇者カービィ!よくぞ悪魔を起こしてクレタ!
サッキ来たトキは、攻撃が通らなくてアセッタケド…
モウ何の問題もナイヨォ。

カ …「悪魔」だって?
あの子は悪魔なんかじゃない!

マホ フーン。コレカラ世界を滅ぼすヤツに?
ホーントキミって、オヒトヨシダヨネェ。
オイ悪魔!出て来い。粉微塵にしてやるヨォ!

あの子 …

マホ 試作第一号戦艦ローア、起動!

カ はぁ!?

マホ ソレデハご覧クダサイ!!
デストロイストーム発射!!

さっきとは比較にならないビームと突風!
威力はマルクのそれの3000倍!
『あの子』は逃げようにも突風で飛行をコントロールできずビームを喰らう!

マホ 逃がさナイヨ!
いくうかんエナジースフィア弾!!

巨大なスフィア弾が異空間を行き来する!
予測不可能な軌道で暴れまわったかと思えば拡散!
圧倒的なパワーで『あの子』は地面に叩きつけられる!

マホ コレで終ワリダ!!
デストロイストーム、チャージ!!

あの子 …!

マホ 逃げてもムダダヨ!
新技!ディメンションマホロア!!

カ 新技!?

凄まじい速さでいくうかんバニシュとしゅつげんを繰り返す技!
圧倒的な速さの『あの子』の飛行に、マホロアはあっさり追いついた!

マホ Fire!

ドゴォォン

あの子 う…。

マホ キミ、ジブンの強さにうぬぼれテルダロ。
カービィに頼ってバッカリ。
チカラが使えないコトをイイコトにサ。

カ やめろ…!

マホ ボクはモウ…間違えナインダ。
今度はボクが、宇宙を守る番。

カ マホ…ロア…

マホロアの決意はかたかった。
すでに戦艦ローアにはデストロイストームがチャージされている。

『あの子』は薄ら微笑んだ。

ドゴォォォ

…そして、白光の中に消えた。

ソウルレス・チキン

カービィハウスの周りには人だかりができていた。
それも、昨日とは違う理由で。

マルク おいスージー、どうなってるのサ?

スージー それが…さっぱりわかりませんの。
今朝から、カービィはずっとこの家に引きこもってるわ。

タランザ しかも、今朝からローアが帰ってきてるのね。
横には小船みたいなのがあったけど、それは謎なのね。

メタナイト なに!?ローアが…?
マホロアは帰ってきてるのか!?

タラ 多分帰ってきてるのね。
でも入口は、固く閉じられてたのね。

マルク カービィとマホロアが引きこもる…
ボクらが見てない間、2人に何かあったんじゃねーのか?

スージー しかも3日経ったのに、何も起きていません。

マルク ボクらが寝る時間も惜しんで、できる限り住民を避難させたのに…
結局アイツの言ってたこと、ウソだったのか?

カービィ …そんなことないよ。

みんな うおっ!?

カービィ …マホロアが、あの子を倒したんだ。

みんな !?

カービィ マホロアがあの子を倒した後、気まずそうにしてたから、
ぼくはマホロアにこう言ったんだ。
「しばらく話しかけないで。ぼくがキミを許せるまで」って。
…それだけだよ。

あまりにも突然で、残酷な真実。
皆、狐につままれたようなカオをして立ち尽くしていた。

スージー なんてこと…
避難させた住民を、連れ戻さないといけないとは…

マルク 手早く済ますには、マホロアの協力が必要なのサ。
ボクがかけあってみるよ。

エフィリン カービィ…だいじょうぶかな…
ん?
あれ…何?

スージー 岩壁に…ディメンションホール…?

タランザ おやぁ?
こんなにキレイに開くワケがない。
きっと誰かさんの閉じ忘れなのね。

マルク あれは間違いなくマホロアの魔術サ。

みんな !!

マルク 念の為、中を確認してくるよ。

ゆっくりと溶け込むように異空間へと入っていくマルク。
その先には。

マルク おいおいおい…鬼が出るか蛇が出るかと思ったが…
まだ終わってないってか、お嬢ちゃん。

魂の給餌

カービィ マホロア!

マホロア …ナンダヨ。シバラク話さないんジャナカッタのカヨ。
アァ…ソウ、皆も一緒なんだネ。
ナニ?ボクを目の敵にシテ、集団でツバを吐きかけるツモリ?
…帰れヨ。

カービィ、急接近しマホロアの手を掴んで思いっきり引っ張る。

マホ エッ!?

カ いいから来て!!

カービィとマホロアはディメンションホールを走って通り抜ける。

マホ ハァ…ハァ…ドウイウつもりダイ?

カ これ、見て!

マホ …エ。

そこにいたのは、白髪おかっぱ、白い装束、雪駄。
紛れもなく『あの子』だった。
それも、手足を力なくぶら下げて、空中に固まるように浮いている。

マホ ドウイウコトダヨ!?
コイツは確実ニ消滅させたハズなのに…

カ これはメタナイトやスージーの推測なんだけど、
あの子は「自分の役割は『世界を3日後に滅ぼすこと』だけ」と言っていた。
その役割を果たせないまま倒されたから、今バグみたいなことが発生してるのかもって言ってた。

マホ バグ…か…
キミ、コレをドウスルつもりダイ?

カ ぼくは…物語をここで終わらせたくない。
あの子をここで終わらせたくない。

マホ マ、マサカ…

カービィはふところから、一つの細胞のようなものを取り出した。
橙色に光り輝いている。

カ これから、あの子と同じ匂いがする。

マホ あの子のソウル…全テ集めレバ復活できるってコトカイ。

カ それはわからない。
集めて何が起こるか分からない。そのためにコレもある。

マホ ベージュの結晶…!

カ もし万が一攻撃してくるようなことがあったら、これで封印する。
異空間に散ったソウルを集めるには、どうしてもキミの協力が必要だ。

マホ …「NO」と言ったラ?

カ そのときは…諦めてあの子を今封印する。

マホ !!

カ どうする?あの子を生かすも殺すもキミ次第だよ。

マホ …ワカッタヨ。受けるヨ。
…トモダチの頼みダカラネ。

カ やったぁ!

マホ ソレに…許してほしいから。

カ もちろん許すよ。仮に「NO」でも、ぼくの勝手な話を聞いてくれただけで嬉しかったから。
ありがとう!

マホ …ゴメン。

カービィとマホロアはローアに乗ってソウルを探す旅に出た。
異空間を知り尽くしたマホロア&ローアというだけあって、ソウルは次々と見つかった。
そして、ソウルを取り込んだローパーとの戦いは白熱を極めた。
ローパーたちがチカラをためて放つと、狙った空間が「ないもの」になるのだ。
カービィたちは苦戦を強いられたが、なんとかすべてのソウルを集めた。

カ これで最後…かな?
いや~キツかった~!!

マホ ナンナンダヨ…あのローパー。
オカゲでマントが穴だらけダヨ。

カ ぼくのコピー帽子にも何回穴が空いたことか…。
とにかく、いよいよだね。

マホ アア…ナニが起こるのヤラ。

最終章 鶏が先

マホ 準備ハ整ッタ。
戦艦ローアも配置したヨ。

カ いくよ…
あの子。目を…覚まして…!

『あの子』のもとへいざなうようにして、ソウルが捧げられる。
ドンッ
倒れ込むようにして落ちたところに、カービィが駆け寄る。

カ だ、大丈夫…?
聞こえる?あの子…
…あ

パキパキパキパキパキ
バキバキバキッ

カ あの子ォ…ッ

ボンッ

マホ 地面がなくなッタ!
カービィ!!フセロ!!

ゴオン

カ ……マホロア、
やるしかないよね。

マホ アア、悲しいケド…
キミも薄々ワカッテタ話ダロ。

マホロアは分かっていた。
『それ』は襲いかかってくるだろうと。
それも、「空間をないものとするチカラ」で。
だが次の瞬間、『それ』は驚くべき行動を見せる。

カ なんだ…?あの子の輪郭が…

マホ 存在ガ不安定になってキテイル…

ズゥン

カービィ・マホロア うわァッ!!

地鳴りとともに、雛が卵殻を破るようにして、
『あの子』の中から『それ』が出てくる。

カ うわああああああ!!!!!

『それ』は侵略種に瓜二つだった。

寄世終滅体
ナチュル・ゲフィリス

カ これだ!!ぼくがあの子と出会った時のもやもやの正体!!
コイツは明らかにだ!!
あの子の内側に身を潜めていたんだ!!

ゲフィリスは『あの子』の残骸を槍に変え、パワーを溜め始めた!

カ 叩け叩け叩け!!
そろそろヤバいかも!マホロア!撤退!!

ボォァン
地面の大半を消し飛ばす衝撃波!

カ うわぁ!!

マホ ウオオオオオ!!足場はボクが作ル!!

魔法陣の足場が出現!
が、ゲフィリスは槍で足場へ突っ込み魔法陣を乱す!

ドォン

マホ チャンスダ!クラエ!レボリューション…

カ マホロア!逃げろ!!

バキンッ

マホ ウワァ!!
イテテ…結晶のカケラが…ハッ!!

ガシャガシャ

マホ 結晶に身を包ンデ…!

カ なんかコレ、壊さないとすごいヤバい気がする!!
でも全然壊れないよ!!

ボンボンボンボン

マホ ナンダ!?球がはね始めたゾ!!
マズイ!!魔法陣を消され始めタ!!

カ マホロア!!それ、跳ね返せない!?
コイツの方に跳ね返してみて!!

マホ 言われナクテモ…ッ!

バゴンッ

カ 結晶にヒビが入った!!これだ!!

バゴンッ
バギンッ

マホ ヤバいモウ足場が!!

ドガシャァァァン

カ ひるんだ!!

マホ 行け戦艦ローア!!デストロイストーム!!
エエイ、モウ叩けーーー!!!

ゴガァン
ゲフィリスが赤いモヤとなって消滅していく。

マホ ハァ…ハァ…
ナントカ魔法陣の足場を…戻せたヨォ…

カ マホロア…見て…槍が…

槍が『あの子』の姿へと変わる。
『あの子』は赤いモヤをまとい始める。

カ あの子…
起きてよ…あの子…
プププランドを…回ってさ…

『あの子』の頭上に赤い手が現れる。

カ こんなの…やだよ…
こんなのって………

カービィが透きとおった大粒の涙を流す。
赤い手は拡散ビームを放ち始める。

マホ カービィ!危な…

カービィは回避でビームを避けていく。
すべて避けると、出た星をすって、はきだした。

ドガッ

赤い手は霧散した。
赤いモヤは『あの子』の中に取り込まれ、
そのまま『あの子』は空中に固まった。

カ う…うう…うううううう…

カービィのふところの中の結晶が、ひとりでに『あの子』の元へと向かっていく。
大きな一つの卵型の結晶が『あの子』を封じ、そのまま異空間の彼方へと…

カ ううううううううううううううううううーーーー……
うううううううううううううう………

カービィは、ともだちのマホロアとともに、
せかいをおびやかす てき をたおしました。
こんかいも だいかつやく!ありがとう、
ほしのカービィ!

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