BLを読んでいると、なぜか『落ち着く』。男女ものでは得られないあの感覚の正体
BLを読んでいるとき、なぜか落ち着くんですよね。 ドキドキとか高揚とか、そういうのとはちょっと違う感覚で。
男女の恋愛ものを読んでいても、不快なわけじゃない。 でも同じ「落ち着き」は得られない。
この違いってなんなんだろう、ってずっと引っかかってたんですが、やっと言語化できた気がするので書いてみます。
私がBLに求めている「溺愛」は、激しいだけの愛情表現や、一時的な独占欲ではありません。
日常生活の中で、自然にくっついていること。意識しない距離感で触れていて、性的じゃない抱きしめ方があって、一緒に暮らして、笑い合っていること。
普通なら、長年一緒にいれば「もうそんなにべったりしなくていいよね」となっていく関係性が、それでも当たり前のように続いている。
その状態を見ているとき、私はお互いが「愛し合ってる」と感じます。
それは高揚よりも、安心や満足に近い感覚です。
結婚式や、友人の幸せな話を聞くと、「幸せをつかめてよかったね」と、こちらまで嬉しくなります。
でもそれは、どちらかというと祝福する幸福だと思っています。
一方で、BLの幸せ描写は少し違うんですよね。
ゴールに辿り着いたから安心するのではなく、その関係性がただ在り続けていることに、静かな安心を感じている。
だから私は、BLに「浸る」んです。
私は「一生」という言葉を、軽いものだとは思っていません。
それは冷めているからではなく、生き物としての人間を考えると、あまりに重い言葉だからです。
人は一生、親や伴侶だけを愛し続けられるわけじゃない。
ずっと好きだったキャンディが手に入らなくなれば、どこか似た甘さを求めて、別の棚に手を伸ばすこともある。
好みも、環境も、心さえも——変わっていくのが、生きるということなのだろうと思います。
一人だけを愛し続けられる人もいれば、そうでない人もいる。
人の心なんて、正直わかりません。
でも私は、それを絶望だとは思っていないんです。
人が変わるのは自然なことで、それを否定したいわけじゃない。
ただ、「変わらずに続く関係」への憧れもまた、消えない。
だからこそ、BLの幸せは現実に持ち込まなくていい安全な幸福だと感じています。
現実では叶わない「永遠」を、フィクションの中で見ていたいんです。
それだけで、癒されて、満たされる。
私はそこに自己投影をしているわけじゃありません。
当事者になりたいわけでもない。
ただ、静かに幸せを見守っているんです。
共感されにくい感覚だとは分かっていますが
では、なぜ男女同士の物語ではダメなのか。
これは男女の恋愛が嫌いだから、という話ではありません。
現実では、とても自然で当たり前の関係性だと思っています。
ただ、物語として読むとき、どうしても頭をよぎってしまうものがあるんです。
それは、優先順位の変化です。
女性は、子どもが生まれた瞬間から、意識するしないに関わらず、守るべき存在の中心が我が子になります。
愛のベクトルは、恋愛とは全く別物かもしれない。
でも、生活の中での優先順位は、確実に変わる。
それは自然なことで、悪いことでもありません。
むしろ、生き物として正しい。
けれど漫画や小説を読んでいる時でさえ、その現実がノイズとして入り込んでしまうんですよね。
「この関係も、いずれ別の中心が生まれるかもしれない」「この愛情は、いつか配分が変わるかもしれない」
そう考えてしまうと、私が見たい"変わらない日常"から、意識が離れてしまう。
BLには、その前提がないんです。
どちらかが「母になる」という役割に吸い込まれない。
生活の中心が、別の存在に強制的に移動しない。
あってもほぼ平等。
だから私は、関係性そのものを、最後まで安心して見ていられます。
男女の恋愛が現実的すぎるのに対して、BLは役割から自由な関係性として描かれる。
私はそこに、現実から逃げたいのではなく、現実に侵食されない幸福を求めているんだと思います。
私が惹かれる溺愛の本質は、信頼、無条件、尊重です。
だから、周りが見えず他人に迷惑をかける関係や、自虐が激しすぎる描写、相手の話を聞いていないように感じる溺愛受けや攻めは苦手なんですよね。
溺愛は、閉じた世界に籠もることではなく、ちゃんと世界の中に立ったまま、相手を大切にすることだと思っています。
「溺愛×ハッピーエンド」でなければダメかと言われたら、そうでもありません。フィクションだから、ストーリーとして面白ければいい。
私が好きなのは、永遠を誓う言葉よりも、言葉にしなくても続いている関係性です。
もしBLがこの世から消えてしまったら、私は「永遠が存在しない現実」を、もっと冷めた目で見るようになると思います。
だから私は今日も、変わらない日常が存在していていい世界を、静かに眺めています。
※この記事は、私個人がBLに惹かれる理由を言語化したものです。男女の恋愛や、母親としての愛情、多様な生き方を否定する意図は一切ありません。あくまで一個人の嗜好として読んでいただけると幸いです。
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