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《実録》プロジェクト A 神を作った人間たち

 自分で全てを行うのはとてつもなく大変だと古代人は思った。人を支配して彼らに平穏を与えて年貢をがっぽりいただくには自分らのカリスマ性だけじゃ無理だと思った。

「なぁ、いくらイケメンで強くても歳とりゃ弱くなんし、次の息のいい奴に地位を奪われちまうぜ。それ俺らの先祖の猿で散々見ただろ?早く俺らの地位を安定させる方法、そうバカを騙くらかす方法見つけなきゃやばいぜ」

「と言ってもそんな方法何があるんだよ。力自慢をボディガードに雇うのか」

「バカだな、そんなことしたらそのボディガードに速攻ボコされて俺らこっから叩き出されんだろうがそうじゃなくてもう力とか頭脳とかで凹されねえようなそんな雷とか嵐みてえな人間がどうやっても勝てねえようなもんを手元に置くんだよ。だったら俺らずっと支配者のままいられんだろうが」

「でもだよ、そんなもん簡単に見つかる分けねえし、もしあったとしてもかえって俺らがあぶねえじゃねえか」

「そこがお前の一番ダメなとこなんだよ。お前はパワーはあるけど頭はよくねえ。今雷とかを例に出したけどな。実のところそんなもの手元に置ける分けはねえんだよ。で、俺は考えたんだ。庶民ってのはバカだからなんでも信じるんだよ。この間俺は街でバカな奴が悪徳商人にこれはパン粉だってただの砂を売りつけられているのを見た。俺らもその悪徳商人みてえになんでもいいから適当なもんを雷とか嵐とかのようなおっかねえもんだって騙して悪い事したらこいつでお前の家を焼いたりぶっ壊したりしてやるって脅しつけるんだよ」

「でもそうやって騙してもじゃあそいつがあれば俺が支配者だって奴が出て来るんじゃねえのか?」

「そうそう、そうだよ。そこで俺は考えたんだ。この家を燃やしたり、吹っ飛ばしたりする恐ろしいもんは俺たちの持ちもんじゃなくて俺らなんかよりずっと偉いものだっていうのさ。その偉いもんはこの世界とは別の世界にいてそこから俺たちやお前らを監視してるんだってな。その偉いもんは代理人の俺らに逆らう奴の家は速攻燃やすし、地の果てまで家をぶっ飛ばすことが出来るってな」

 この支配者のアイデアに他の支配者仲間はこれで今の地位が守れると感嘆し早速どうやってその偉いもんを作ろうかと会議を始めたのであった。

「最初に必要なのは偉いもんがどんだけ偉いかを書いた文章だ。俺の考えだと文章はバカが読めないやつの方がいい。バカにでも読めたら作りもんだってすぐばれちまう。できるだけわけわかんなく書いてある内容はチーフでもそれをわけわかんなく、どんな偉い学者でも読み解けないように書けば威厳が出まくるってもんだ。その文章が出来上がったら石碑かなんか建てて偉いやつのお言葉だって教えてやればいい。その石碑を建てたら次にやるのは石碑に書かれている内容をバカにでもわかるように噛み砕いた大衆版だ。コイツをじいちゃんばあちゃんに口頭で伝えて子から孫へとこの偉いもんがどんだけ偉いかを語り継いでいくんだよ。そしたらいつしか偉いもんは永遠に偉くなるんだよ」

 この偉いもんはいつしか神と呼ばれるようになったが、これが人類の歴史史上最初に作られた神である。この神プロジェクトは他の地方にも伝えられ、支配者は競ってうちの神が他の地方のやつよりずっと偉いんだとアピールし始めた。神の概念は人類の文明史上最大の発明といえるが、その初めはこんなにも素朴だったのである。

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