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勿来の関所跡と勿来八景巡り!

ー勿来八景ー

茨城県との県境にある、福島県いわき市勿来町。

江戸時代の俳人、内藤露沾は勿来の景勝地八ヶ所を詠んだその場所に、平成21年句碑が建てられました。もとは旧大高村の大高八景でしたが、現在は勿来地域となるため、勿来八景とされているようです。

全てめぐって約20kmと、自転車でサイクリングをするのにちょうどいいのでミニベロで回るつもりでしたが、当日は強風予報が出ていたためオットに車を出してもらいました。

ちなみに、ずっと「勿来(なこそ)」という地名が覚えらなかったのですが、今回色々と調べている内にようやく覚える事ができました。



勿来駅

勿来駅からスタートです。
駅前には、平安時代後期の武将八幡太郎義家(源義家)の銅像と、その横には歌碑、そしてさらにその隣には、白川の関、念珠ヶ関と共に「奥州三関」のひとつに数えられる「勿来の関」のモニュメントが建てられていました。
朝廷から奥州征伐の命を受けた八幡太郎義家の伝説は、お隣の茨城県内にもあちこちに残っていていくつか見に行きましたが、こちらもそのひとつのようです。
石碑の歌は、義家がこの地にあったと言われる勿来関を詠んだものだそう。

その勿来の関所跡が駅から約2.5kmの山の上にあり、勿来八景八カ所の歌がまとめられた石碑もあるそうなので、そちらへと向かいます。


いわき市勿来関文学歴史館・勿来の関所

山の上には勿来の関所跡や文学歴史館、平安時代の寝殿造を模して建てられた施設の吹風殿(庭が綺麗で写真映えします)があり、広い駐車場もあります。

八景の石碑は吹風殿の近くに設置されています。横には勿来八景の説明板もあり、ざっくりとしたマップも載っていました。
これはあるあるなんですが、一般的にあまり知られていない八景はパンフレットやホームページがないものが多く、ネットで調べてもなかなか情報が出てこない場合、設置場所を突き止めるのにかなり骨が折れます。こちらも例に漏れず。以前も一度、必死に調べてきた結果、現地に地図が設置されていた事があり…できれば事前に知っておきたいので、ネットでわかるようになっていると嬉しい。

写真を撮った後は、せっかくなのでいわき市勿来関文学歴史館に入ってみます。
吹風殿の駐車場には、いわき七浜街道サイクリングコースの起点になるポイントがあって、以前ロードバイクで立ち寄った事があったんですが、その時は時間がなく施設を見て回る事ができなかったので楽しみにしていました。

施設内には、勿来関を詠んだ小野小町や松尾芭蕉といった歌人達の作品が展示されていました。
「勿来(なこそ)」とは「来る勿れ」という「こないで」といった意味だそうで、関所としては蝦夷からの南下を防ぐため。歌に使われている勿来は歌枕(和歌の世界での名所)として、拒絶や隔絶といった意味として多くの歌で使われていたそうです。なので、歌人の多くは実際にこの地には来ていないんだそうですよ。

別の部屋では宿場町を再現した体験型の展示がありました。これは実際に関所の近くにあったものを模しているわけではないようですが、色々と工夫がされており、お子さんも楽しめる空間だと思います。

ここまで見て、関所についての史料の展示がほとんどないことに気づきました。不思議に思っていると、ひとつだけ展示されているパネルにその理由が書かれていました。

「勿来関は平安時代以前の公文書に記載がないため、いつ、どこで、どのような運用がなされたのかは調べることができません。しかし、和歌に詠まれた「なこその関」からは、ある程度共通した位置関係をみて取れる事ができます」

つまり、現在の勿来の関所跡は実際にあった場所ではなく、後に歌から読み取った位置に建てたものであるということですね。そうなのか…。
もう少し調べてみたんですが、関所には門などがあったわけではないようだとか、もとはこの地の古名「菊田の関」という名前だったそうだ…などなど、よくわからなくなりました。
現在のこの勿来の地名も、この地に勿来関があったであろうということから、後世でつけられたものなんだとか。

この施設は、勿来関を歌った歌を中心とした展示施設のようですね。関所のことを知りたかったので少し残念。

展示スペースの一角に、ポイント展示「風船爆弾と勿来」と書かれたコーナーがありました。
戦時中、この文学歴史館がある山に、風船爆弾の放球基地があり、その時に作られていた風船爆弾の記録や構造などの解説が展示されていました。実はここが一番時間をかけて見た気がします。
そういえば、お隣の茨城県の大津でも風船爆弾について見た気が…と思っていたら、そのことも書かれていました。
風船爆弾のことは女学生が作っていたとテレビで見て衝撃を受けた記憶がありますが、実際にこの地で、と重い気持ちになりました。


文学歴史館の裏には詩歌の小径いしぶみという風情のある石畳の遊歩道があり、義家神社や歌人たちが詠んだ14個の歌が刻まれた石碑が立ち並んでいます。

関東と奥州の国境の守り神として祀られていたお宮や、勿来の関所の石柱もありました。
江戸時代に建てられたものだそうです。

勿来の関所を通過。詩歌の小径の出口(というかこちらが入り口)が関所跡ということになっています。
立派な門の横には八幡太郎義家の銅像が立っていました。

一般道を歩いて駐車場へと向かう途中にあった、義家が弓を立てかけたという松と、弓の端で掘ったところ清水が湧き出たという場所。

などなど、施設やその周辺はとても綺麗に整備されていて、とても楽しめました。



山を降りて、最初の八景がある勿来海岸へと と車で移動します。

山を降りきったところの三叉路にある関所モニュメントをくぐって出た国道6号沿いに、勿来関検問場なる建物があるのですが、気になって調べたところ、これはシートベルト違反や特殊車両の重量違反などの取り締まりが行われる事がある現代の関所のようです。


平潟帰帆

ようやくひとつ目の勿来八景に到着しました。

勿来八景・平潟帰帆
昆布とりの真帆はいぬめり雲の嶺

勿来海水浴場駐車場のすぐ近く、綺麗な海岸を背に立っていました。

少し離れた砂浜に立つ赤い鳥居を見て、あまりにも綺麗な青空に「ボラギ○ールのCMのようなだな」と思いました。
美しい風景を詠んだ八景をめぐっているというのに浮かんだフレーズがこれですよ。


関田晩鐘

お次は勿来駅からすぐ近くの松山寺へ。
車から降りて石碑を撮ったりしている間ずっと、奥の方から大型犬の野太い鳴き声が響いて来ます。
気になり声の方へと向うと、尻尾をぶん回しているグレートピレニーズがいました。かわいい。
近づくと吠えるのをやめ、こちらをじっと見つめて来ます。尻尾はぶん回し続けているので怒っているわけではなさそう。するとズイズイこちらに近づいて来るので触らせてもらっていたら、建物から住職さんが出ていらして「ごめんなさいね、人がいると吠えて呼ぶんですよ。ありがとう」と…そんなこちらこそありがとうございますかわいい。大型犬の大きな頭の感触ってなかなか味わえる機会がないので最高でした。大きい…。
「鐘鳴らして行ってくださいね」と言ってくださったので、お言葉に甘えてひと突きさせてもらいました。

勿来八景・関田晩鐘
音淋し松山寺の蟾の暮

これまでいくつか八景めぐりをしてきましたが、お寺の鐘は戦争時に国に供出されたり、すでに街並みや景観がガラリと変わって寺そのものがなかったりと、実際に鐘があるのはここが初めてでした。 


しぶや菓子舗

松山寺のすぐ近くにある和菓子屋さんで「関の力もち」を購入。
関とつくからには関所を通る人々が力を蓄えるために食べた…なんて歴史があったらなと思いつつ、関所自体があいまいなので、地元の名所から取った名前なんでしょうね。
香りのいい上品な粒餡が、石臼でついた柔らかくしっとりとしたお餅に包まれていました。
様々な賞を受賞しているそうですよ。他にもくるみ大福やお団子をいただきましたが、どれもとても美味しかったです。


中田秋月

蛭田川を渡って八坂神社へ。

勿来八景・中田秋月
荒町と曲がらぬ月の歩みかな

八坂神社の入り口、鳥居の脇に立っていました。


大高朝霧

勿来八景・大高朝霧
神とやは八重に霞の菩薩号

大野八幡神社の隣、高台の上にある公園内に設置されていました。
神社側から入れます。


湯嶽清雪

いわき南の森スポーツパークに到着。
駐車場に設置されているとしかわかっていなかったので、少し探してみたものの見つからず。
施設の受付の方に聞いたところ、勿来八景のことは知らなかったようですが、石碑があることと、その隣に傾いた看板がある事を教えていただきました。多分それです。教えていただいた位置は、ちょうど私たちが見ていなかったところでした。お礼をいって向かうと、確かに傾いた看板と石碑がありました。

勿来八景・湯嶽清雪
窓晴て佐波古間近し雪の尺


鮎の里・大正堂

次の石碑に向かう前にまたまたお菓子屋さんに立ち寄り。
八幡太郎義家の最中があると知り買いにきました。
小倉餡と珍しい海苔餡の2種類。
海苔餡は、甘い白餡の中から香りのいい海苔の風味を感じ、意外でしたがマッチしていて美味しかったです。洋菓子も豊富で、シュークリームもいただいたんですが、とても美味しかったです。


大嶋夜雨

勿来八景・大嶋夜雨
香を焼て簾の聲も水鶏哉

鮫川右岸、鮫川橋のたもとに設置されています。ここだけは説明板がありませんでした。
奥に見えるのは常磐線の線路です。


佐糠落雁

鮫川を渡って、海方面へと進みます。
竹の花公園があるあたりの堤防の上、いわき七浜海道のサイクリングロード沿いに石碑がありました。

勿来八景・佐糠落雁
夜は分る孤雁なるらん捨小舟

ここは、以前いわき七浜海道を走った時に「なにか石碑があるな」とは思っていたんですが、八景のものだったとは。
七浜海道のサイクリングロードは綺麗で楽しいのでまた走りに行きたいな~。


小濵夕照

いよいよ最後の八景です。
石碑は小浜海水浴場の駐車場にあるとの情報に来てみると、海水浴シーズン以外は閉鎖されているのか入り口にはロープが張られていました。もしかして最後の最後にみられないのでは!?と焦りましたが、駐車場に続く遊歩道には入れたので歩いて進み無事コンプリート。

勿来八景・小濱夕照
一しくれ夕日に干や鰈網

石碑の後ろにはとても綺麗な海岸が広がっています。素晴らしい眺めでした。


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