【いつもと違う日は、だいたい何か起きる】
金曜日の昼に出発した。
目的地は英彦山。
前回、雨で登山を断念した山だ。
私は珍しく有給休暇を取り、夫も昼で仕事を終えて帰ってきた。
いつもは金曜の夜出発なので、昼間から出るのは、なんだか調子が狂うような感覚だった。
もちろん昼ご飯は、いつものドライブスルーのハンバーガー。
夫が運転席、私が助手席。
ハンバーガーの包み紙を開く音と、ポテトの匂い。
いつもの風景のはずなのに、なぜか少し落ち着かない。
ハンバーガーを、いつものようにためらいもなくほお張る。
なのに、妙に周りが気になる。
やっぱり、昼だからじゃろうか。
出発して一時間ほど経った頃だった。
夫が突然、
「あー!ETCカード忘れたぁ」
と言った。
え??
思わず夫の顔を見る。
夫にしては珍しい忘れ物だ。
それにしても、高速料金の割引がないのは痛い。
私は慌てて携帯で料金を検索した。
通常料金とETC利用時の差額。
約700円。
……700円。
大きいな。
たかが700円。
されど700円。
下道で行くか?
いや、いや、平日の午後は渋滞しそう。
高速代を払うか?
いやでも700円……。
たった700円で、妙に真剣な夫婦会議が始まった。
結局、そのまま高速を使うことにした。
少し出だしで調子は狂ったけれど、しばらくすると、いつもの私たちに戻っていた。
愚痴を言ったり、将来のことを話したり、子どもたちのことを話したり。
そんなふうに色々話しているうちに、気がつけば目的地に着いていた。
その時、ふと思った。
私たちは、金曜の夜に出発するという“いつもの流れ”に、思っていた以上に助けられていたのかもしれない。
同じ時間に家を出て、
同じハンバーガーを食べて、
同じような話をする。
変わり映えしない、いつもの金曜夜。
でも、その“いつも”が、知らないうちに私たちのペースを整えてくれていた。
たった数時間、出発のタイミングが違っただけで、
ETCカードを忘れ、
700円に本気で悩み、
なんだか落ち着かない。
人って案外、ルーティンに支えられている。
五十代が見えてきて、そう思うことが増えた。
変化は大事だ。
新しい挑戦も必要だと思う。
でも一方で、自分を平常運転に戻してくれる「いつもの何か」を持っていることも、同じくらい大事なのかもしれない。
歳を重ねるほど、そういう小さな土台が、実は心のバランスを支えている気がする。
そう考えると、毎週の金曜夜は、ただの移動時間ではない。
私たち夫婦にとっての、リセットボタンなのかもしれない。
【今回の教訓】
・普段やらないことをすると、だいたい何か忘れる。
・700円は、意外と心を揺らす。
・「いつも通り」は、思っているより偉大。
今回も私のnoteにお付き合いしていただき
ありがとうございました🍔
