【国会質疑】改憲の演出を撃つ!国民投票法の鋭い追及(2026.7.22)

本資料は、2026年7月22日の国会審議において行われた、国民投票法(憲法改正手続き法)改定案に関する質疑と討論の内容をまとめたものである。

審議の核心は、**「憲法改正の必要性そのもの」「現行の国民投票法が抱える構造的欠陥」**の2点にある。日本共産党の山添拓議員は、世論調査の結果を引用し、国民が改憲を優先課題と見なしていない現状を指摘した。これに対し、発議者側の新藤義孝議員は、憲法改正を「国の形を整える」ための不可欠な基礎工事であると主張し、議論は平行線を辿った。

また、今回の法改正が「公職選挙法(公選法)並び」の技術的な修正(投票環境の整備)に留まり、CM規制、資金規制、インターネット利用の適正化といった「投票の質」に関わる根本的な課題を放置している点について、激しい論戦が交わされた。反対側は、この法改正を「改憲準備が着々と進んでいるかのように見せる演出」であると厳しく批判している。

1. 憲法改正に対する世論の現状と認識の乖離

審議では、複数の世論調査結果に基づき、改憲の優先順位について与野党間で認識の相違が露呈した。

世論調査にみる優先順位

山添議員が提示したデータによれば、有権者の改憲に対する関心は極めて低い。

調査機関

調査内容

結果

朝日新聞・東京大学

優先的に取り組んでほしい政治課題(12項目中)

「憲法(改憲)」を選択した有権者はわずか1%

日経新聞・テレビ東京

首相に優先的に処理してほしい政策課題(複数回答)

「憲法改正」は11%で、8つの選択肢のうち最下位

当局・発議者側の見解

これに対し、発議者の新藤議員は以下の主張を展開した。

  • 設問による差異: 質問の仕方によって結果は変わるものであり、別の調査では「憲法改正の議論をすべき」という回答が7割を超えている。

  • 必要性の定義: 国民が物価高や防災を優先するのは当然だが、改憲は少子高齢化や人口減少といった課題に対応するための「国の形」を整える基礎である。

2. 国民投票法改定案の主な争点

今回の法案は、2019年および2022年の公選法改正内容を反映させる「公選法並び」の改正である。しかし、山添議員はこの手法と内容に対し、以下の観点から異を唱えている。

投票環境整備(外形的・技術的事項)

法案は、立ち合い人の選任など、投票環境を公選法に合わせることを目的としている。

  • 反対論: 選挙と国民投票は性質が全く異なる。一度の投票が国家の根幹を左右する国民投票において、単なる「公選法並び」のアップデートで良しとする姿勢は不適切である。

「投票の質」を巡る積み残し課題

2007年および2014年の法制定・改正時の附帯決議、ならびに2021年の改正法附則4条で求められた検討事項が放置されている点が指摘された。

  • 未解決の重要項目:

    • 有料広告(テレビCM等)の規制

    • 国民投票運動の資金規制

    • インターネット利用の適正化(情報発信のルール等)

    • 公務員・教員の国民投票運動の制限緩和

    • 最低投票率の規定

新藤議員は、これらの課題について「議論は継続している」「検討できたところから順次整備している」との説明に終始し、今回の法案でこれらが解決されないことを認めた。

3. 審議における政治的背景と批判

審議の終盤では、法案提出の動機そのものに対する批判が強まった。

改憲論議の「演出」疑惑

山添議員は、以下の理由から、本法案が実効性よりも「改憲ムードの醸成」を目的としていると分析した。

  • 不自然な急ぎ足: 「投票の質」を左右する重大な論点を放置したまま、なぜ今この法案を通さなければならないのかという合理的な説明が欠如している。

  • 他会派の動向: 日頃、改憲を強く主張している会派が本質疑において誰一人質問に立たなかった事実を指摘。これは手続きそのものを軽視し、単に「法改正という実績」だけを求めている証左であるとした。

広報協議会の問題

憲法改正の広報を行う「広報協議会」について、改憲派が多数を占めることが前提となる仕組みであり、改憲を有利に進めるための組織構造になっているとの懸念が表明された。

4. 結論:法案反対の主要な論拠

本審議を通じ、反対側が提示した論理構成は以下の通りである。

  1. 公選法並びの限界: 主体も内容も異なる国民投票に対し、公選法の改正を機械的に適用する手法は不適切である。

  2. 根本的欠陥の放置: 広告規制やインターネット対策など、投票結果を左右しうる重大な欠陥を自覚しながら放置している。

  3. 有権者の軽視: 国民が改憲を求めていない状況下で、手続き法の整備を装い改憲の準備が進んでいるかのように演出することは、有権者を愚弄する行為である。

以上の分析から、本法案は実質的な投票の公正性を担保するものではなく、政治的なパフォーマンスの側面が強いと結論付けられている。

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