大学の新2年生の絵画上の精神年齢って何歳くらいなのか? エチオピア行って帰って100の疑問!? No.055
いよいよ新学期が始まった。
私は美術の実技の指導をするので、前に後期で教えたゲブレキロスのいる学年が最終学年になった3年生と新しく進級してきた2年生を教えることになる。
ヨナタンが美術の授業の手始めに2年生にこんな課題を出した。
女の人が重い水を坂の上の家まで運んでいる情景を想像して描きなさい。
彼らが紙に鉛筆で描いた作品を見せてもらった。
なかなか衝撃的だった。画面に対して絵が小さい、
弱弱しい、子どもっぽい。
女の人が2頭身だったりする。
女の人と坂と家の関係がわからないことが多い。
彼らの実年齢は計算すると少なくとも18歳以上のはずなのだが、絵の様子は日本の小学校低学年くらいに見える。
美術の授業を受けたことがないのでイメージすることや絵で表現することがとても苦手なのだということがわかった。では何ができるかを考えよう。
その美術の授業の場所であるが、最終的に大学と話がついて、最初にここが美術室だと言われた教室を堂々と美術室として使えることになった。
さまよえる美術室騒動であまり信用はしていないが、もう絶対に返さないぞ、 という決意でヨナタンと共に整備に励んだ。棚も確保して、日本から持ってきたポスターを壁に貼って窓を拭いて頑張って磨きあげた。
2年生の授業でコラージュをやる、とダーウィットが言ったのでサンプルを作った。
いろいろな紙やそこら辺に落ちているものを拾ってきてポンドで紙に貼り付ける。
私がサンプルを作ると画面全体を使い、背景と主題をわかるようにする。

だが彼らは背景という概念がなく、単品の主題だけを貼り付ける感じになる。
そんなに難しいことではなく貼り付けるだけで何かが画面に生まれてくるのは楽しいようで生き生きと課題に取り組んでくれて、こんなのができた!と顔を輝かせて作品を見せてくれる。何か絵を描くとなると難しいが、このコラージュだと自由な発想で簡単に取り組むことができる。

でもせっかく美術科なのだから、見たものをそのまま描けるようになってほしい。
そこでキャリア20年以上デッサン指導の鬼として定評のある私の訓練が開始された。
とにかく彼らは概念的で例えば葉っぱを描けと言われるとものすごく典型的な図としての葉っぱを描く。それを外から一枚葉っぱを取ってきてそれをよく観察してその通りに描け、と指導する。
石ころをひとつ拾ってきてよくみてその通りに描け、と指導する。もちろんその前に自分でも石ころを拾ってきてその通りに鉛筆デッサンして描いたものを石と並べてサンプルとして見せる。
たぶん最初はどういうことなのかなかなかぴんとこなかっただろうが、だんだん理解してくれて石のデッサンはそうとうそっくりに見た通りに描いてくれた。そのやってみようとする姿勢やだんだんうまくなってくる様子を見ていると嬉しくなる。

