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【創作大賞感想#1】『ジハード』|ある外国人従業員が、切り開く未来

このレンズは、私には磨けない

今回は、初の試み。

「創作大賞2026」に応募されている作品の、感想文です。

第1回は、陽夢さん『ジハード』
お仕事小説部門に応募されている作品です。

それは、サプライズから始まった


さかのぼること5月1日、陽夢さんが『ジハード』のまえがきを公開されました。

陽夢さんとご縁をいただいてから、かれこれ半年以上になります。

陽夢さんはこれまで、短編小説やショートショートを公開されていたので、「創作大賞2026」にも、それらで応募されるのかなと思っていました。

しかし、まえがきを拝読すると、今回応募されるのは長編小説の模様。
私にとっては、ちょっとしたサプライズでした。


まえがきからほどなくして公開されたのが、『ジハード』の第1話。

『ジハード』が生まれたきっかけは、勤務先のインドネシア人従業員の方から、日本での体験談を聞いたことだったそうです。

まえがきで、陽夢さんはこんなことを書かれていました。

主人公の名前や文化背景は本人に協力してもらい、インドネシアのことや宗教のこともかなり教えてもらいました。

ついでに、作中の流れでエンジンの専門家や静岡県警にも質問を投げまくりました。
犯罪被害の相談かと心配されましたが、小説を書いていると話したら意外とちゃんと答えてくれました。しかもアドバイスまで。お忙しい中ありがとうございました。

『「ジハード」まえがき』より

『ジハード』の主人公は、高度専門職として来日したインドネシア人のエンジニア、ファジャール

そして、ファジャールが配属されるのは、金属加工会社のデジタル推進室

物語は、ファジャールの視点で展開されます。

つまり、陽夢さんとは出身地も宗教的背景も異なる、ファジャールのレンズで、ものごとを見る必要があるのです。

そして、ファジャールの勤務先を考慮すると、金属加工の知識や、社内システムに関する知識も必要になります。

端的にいうと、この小説は、書く際の難易度が非常に高いのです。

だから、陽夢さんが様々な方面に取材をされたのは納得ですし、同時に、こう思いました。

この小説には、
リアルが宿っているに違いない

『ジハード』で展開される、重厚な世界


インドネシアで開催されたジョブフェアで採用され、共進金属加工株式会社に就職することになったファジャール。

共進金属加工株式会社の従業員からみると、ファジャールは外国人です。

好奇の目、疑いの目。
ファジャールに注がれる視線は、あたたかいものとは限りません。

私の夫はドイツ人です。

日本にいれば、夫は外国人。
ドイツにいれば、私は外国人。
日本でもドイツでもない国にいれば、2人とも外国人。

私たちのうち少なくとも1人は、外国人として生きる運命にあります。
なので、外国人としての難しさは、体感として分かります。

ファジャールに向けられる視線が自分に向けられているような、そんなリアルさを感じる場面もありました。


そして、共進金属加工株式会社でまきおこる、怪事件
そこでは、人間の汚い部分を見ることになります。

『ジハード』の中で様々な思惑がうごめく様子は、『半沢直樹』や『薬屋のひとりごと』を彷彿とさせます。

「いったい何が起こっているのか」
「これから何が起こるのか」

そんな好奇心で、続きの話をクリックしてみたくなる。

読む人を物語に引き込むような引力が、『ジハード』にはあると私は感じています。


私が特に好きなのは、第23話~第27話です。

主要な登場人物の1人、啓介が第23話の終わりで驚きの行動をしてから、物語が大きく動き始めます。

そして、第27話まで読み進めると、その後にさらに大きな展開が待ち受けていることが分かり、ワクワクするのです。

おわりに|広がりが見えますね


『ジハード』にでてくる登場人物はみな、良い意味で特徴的です。
キャラが立っているということですね。

なので、私は『ジハード』に、文章を超えた可能性を見出しています。

何が言いたいかというと、ファジャールの適役さえ見つかれば、ドラマ化できそうだということです。

『ジハード』は、鯉のぼりの写真1枚を除き、文字だけで展開されています。
にも関わらず、登場人物の外見や雰囲気・性格が伝わってきて、それぞれの人物の姿を頭の中で描くことができます。

陽夢さんのお芝居や映画製作のご経験が、キャラクター作りに活きているのではないかと、私は想像します。
(少なくとも私は、『ジハード』と同じレベルの解像度では、書けないですね…)

もしかしたら、陽夢さんの中では、文字になる前からそれぞれの登場人物が活き活きと動いていたのかもしれません。

ちなみに、『ジハード』は6月16日現在も連載中
どんな結末が待っているのか、ドキドキです。

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来年の創作大賞でも、同様の企画を実施予定です。

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