[恋愛小説]恋愛ごっこの始まり−イタリア男というものは:人のものを横取りする楽しさだけを追い求める
それはまさに、シャーロットの性格と、マギーを貶める「毒」が凝縮された、ゾクゾクするような展開です。
豪華なロングドレスとハイヒールで暗闇をさまようマギーの姿は、悲劇のヒロインでありながら、現代の脆弱さ(スマホのライト)を露呈させ、対照的にシャーロットの「勝ち誇った皮肉」が際立ちます。
【深夜の追跡 — 真紅の裏切り —】
Scene 1:セレブ・パーティー、ガーデンテラス
(ライトアップされたプールサイド。大富豪アダムが、後妻シャーロットを連れて中央へ。背後には巨大なリボンのかかった特注のフェラーリが鎮座している)
アダム:(マイクを持ち、上機嫌で)「愛するシャーロット、君の美しさに釣り合うものを探すのは苦労したよ。イタリアから届いたばかりの特別な一台だ」
シャーロット:(わざとらしく口元を押さえ、周囲のゲストに聞こえる高い声で)
「あら、アダム!これ……何かしら? 私のために用意してくれたの? 皆さんも見て、私の主人が何を企んでいたか!」
(シャーロットは芝居がかった手つきでリボンを引き抜く。真紅の塗装が夜の闇に浮かび上がる)
シャーロット:「ほーら見てー!これ〜!私が1バーン欲しかったの〜! アメリゴ、あなたもそう思うでしょう? あなたの故郷の誇りだものね」
(彼女は近くにいたアメリゴに熱っぽい視線を送る。アメリゴはシャンパングラスを傾け、静かに微笑みを返す。二人の間にだけ通じる秘密の熱量。その傍らで、娘のマギーは無表情でカクテルを飲み干す)
マギー:(独り言)「……パパが買ったのは、車じゃなくて、あなたたちの密会用の翼ね」
Scene 2:深夜のハイウェイ
(パーティーが終わる直前、フェラーリが爆音とともに会場を去る。運転席にはシャーロット、助手席にはアメリゴ。マギーは自分の地味なセダンに乗り込み、一定の距離を保って後を追う)
マギー:(ハンドルを握りしめ、瞳には冷たい嫉妬の炎)「逃がさない。今夜こそ、二人の化けの皮を剥いでやる」
(前方のフェラーリが急加速する。ハイウェイの入り口。シャーロットはミラー越しに、マギーの車に気づいたかのように不敵な笑みを浮かべる)
シャーロット:(運転席でアメリゴに)「アメリゴ、あなたの可愛い『娘さん』が見ているわ。彼女を振り切るスリル、味わいたい?」
アメリゴ:(低い声で)「ああ、彼女にはまだ早すぎる光景を見せてやろう」
(フェラーリのV12エンジンが咆哮を上げる。真っ赤なテールランプが、流星のように夜の闇へ消えていく。マギーはアクセルを底まで踏み込むが、その差は絶望的に開いていく)
マギー:「……っ! 待って、行かせない……!」
Scene 3:断崖の展望台 — 暗闇の徘徊
(マギーの車がようやく追いついた場所。そこには、エンジンをかけたままの無人のフェラーリがポツンと置かれている。車のドアは開いたまま。周囲は街灯一つない真っ暗な断崖の展望台だ)
マギー:(ロングドレスとハイヒールのまま車を降りる。周囲を見回すが、何も見えない)「どこ……? 二人ともどこへ行ったの?」
(マギーは焦りながらスマートフォンを取り出し、ライトを点灯させる。心細い光が、足元の岩肌や草木を照らす。ハイヒールが小石につまずき、何度か体勢を崩しながら、彼女は必死に二人の痕跡を探して歩き回る)
マギー:(息を切らしながら)「こんな所に……まさか、崖から……? いや、そんなはずないわ……っ」
(スマホのライトが不規則に揺れ、マギーの顔には汗と苛立ち、そして深い絶望が浮かんでいる。長い時間、彼女は暗闇をさまよい続ける。その間、遠くから聞こえる波の音だけが、彼女の焦燥感を煽る。スマホのバッテリー残量を示す赤色の警告が点滅する)
Scene 4:再会 — 勝ち誇る悪女
(どれほどの時間が経っただろうか。スマホのバッテリーは切れ、マギーは完全に道に迷い、絶望の淵に立たされていた。その時、背後から車のエンジン音が近づいてくる。先ほどまで無人だったフェラーリのライトが点灯し、再び爆音を響かせ始める。そこに、ひっそりと隠されていた秘密の小道から、アメリゴとシャーロットが姿を現す)
シャーロット:(フェラーリの運転席に乗り込もうとするシャーロットが、暗闇の中で立ち尽くすマギーの姿を認め、にこやかに)
「あら、マギー。こんなところで何をしているの? まだここにいたの?」
マギー:(震える声で)「あなたたち……! どこに行ってたの……!?」
シャーロット:(アメリゴと顔を見合わせ、含みのある笑みを浮かべる)
「どこって? ちょっとお散歩に決まってるじゃない。それより、あなた……相変わらずいつものろまなのね!慎重さんは。」
(シャーロットは勝ち誇った笑顔でマギーを見下ろし、フェラーリのエンジンをかける。アメリゴは助手席に乗り込みながら、マギーに冷ややかな視線を一瞥する。真紅のフェラーリが、取り残されたマギーを残して、夜の闇へと滑り出していく。マギーは、その場に立ち尽くし、ただテールランプが消えていくのを見つめるしかなかった)
イタリア在住
Igarashi Jane
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