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読書記録『時の辞典-365日の短歌集』

祝日にちなんだことをしましょうよ布団の中を図書館にして

本文より(4月30日)

( 読書前のきもち )
 爽やかな水色に、キラキラの鍵。
この辞典を開くための鍵が、この本のどこかに隠されているのかな?
 『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』で出会った岡野さんの紡ぐ言葉が、365日分集められている1冊。せっかくなら元旦から毎日ひとつずつ読もうかなぁ…なんて、しばらく手に取るのを我慢していたけれど、お気に入りのブックカフェでサイン本に出会って、これは「今だ!」とページをめくることにした。

きらきらの鍵で開けたい扉がたくさんある

( 読書後のきもち )
 歌人さんは魔法使いだ。言葉の魔法使い。どうして31文字を並べるだけで、こんなにも思いや情景が浮かび上がる文章になるんだろう?

 1月1日から始まって、12月31日まで。体育館から夏空を見上げたり、祝日にあやかって布団で読書をしたり、季節の移ろいを味わったり、初めて出会う人とのどきどきにふれたり。大事だと思っていたあの人の誕生日を、あとから思い出すくらいには時が流れていることを知ったり。

 あの日のわたしにリンクすることもあれば、「きっとこうなるのかも」なんて少し未来を想像することもできた。誰もがなんとなく思い描けるだろう景色もあれば、わたしにしかささらないのでは?なんて思う言葉もあった。

 365日の毎日を、もう何十回も繰り返してきて、そこには同じ景色はひとつもなくて。
 水も甘いも、山も谷も、急勾配も螺旋階段も、たくさん歩いて編纂されたわたしだけの〈時の辞典〉がある。きっと誰しもがもっているもの。
 この本は、その扉を開くための〈鍵〉だった。

 世界の時間は止められないけれど、思いは過去にも未来にも自由に飛べる。短歌に導かれた、小さなタイムトラベル。楽しい読書体験でした。

 日めくりカレンダーみたいに1日ひとつ味わうのも良い。あの人の誕生日はどんな歌?なんてページをめくるのも楽しいだろうな。

 まだまだ、わたしがこれから過ごす〈時〉の中でも味わっていきたい1冊です。


著者: 岡野大嗣さん
出版:ライツ社

#読書の秋2025

#時の辞典

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