政権打倒御百度参り 三十九度目

「家父長制の姫、長じてネトウヨの姫」──なぜこの漫画を描いたのか
この4コマ漫画は、高市早苗首相を題材にしながら、日本の保守政治と家父長制の関係を風刺した作品です。
漫画の1コマ目には、高市氏がかつて出版した著書『30歳のバースディ』に登場する有名なエピソードを下敷きにした「HOTEL地中海」が描かれています。
高市氏自身、この本の中の「飲みぃのやりぃのやりまくりぃ」という表現が大変ウケたことを後年うれしそうに語っています。しかし私自身は、その記述を読んだとき、笑うというより「うわぁ……」という気持ちになりました。
そこで私は、この時代特有の「いい女を演じること」への過剰な熱意を、「いい女はったり芸」という言葉で表現しました。
2コマ目の「家父長制の姫」は、この漫画の中心的なテーマです。
日本の政界は長年、圧倒的に男性中心の世界でした。その中で高市氏は、男性中心の価値観や保守的なジェンダー観に異議を唱えるのではなく、むしろそれに寄り添う立場を取ることで支持を集めてきました。
そのため私は、高市氏を単なる「女性政治家」ではなく、「家父長制の中で歓迎される女性像」として描いています。
3コマ目の「保守のマドンナ」「ネトウヨの姫」は、その延長線上にあります。
そして4コマ目では、神輿に担がれた高市氏が「右へならへ」と言いながら右へ曲がっていきます。
ここでの「右へならへ」は、単なる右翼・右傾化という意味だけではありません。
同じ方向を向き、異論を許さず、皆が一斉に従う空気そのものを表しています。
背景に描いた「大政翼賛会改メ 国力研究会」は、高市首相を支援する議員連盟「国力研究会」が、自民党議員の大多数を抱える巨大組織となり、一部から「大政翼賛会のようだ」と批判されていることを踏まえた風刺です。
この漫画で描きたかったのは、ひとりの政治家の人物評ではありません。
むしろ、「どのような人物が担がれ、どのような空気が作られ、社会全体がどちらの方向へ向かっていくのか」という構造です。
落語のマクラのような軽い語り口で始まりますが、最後に少しだけ背筋が寒くなるような作品になればと思って描きました。
