「働きやすさ」の違和感で「心の生産性」を省みる。
人事総務はモノやサービスの生産性の他に「心の生産性」にも責任がある。最近では「働きやすさ」と表現されることも多い。しかしこの「働きやすさ」という言葉は誤解を招きやすいと感じる。
充実した福利厚生、オシャレなオフィスも、そもそも業績への貢献を目的にしているはず、さらにはビジョン実現への手段であるはずだ。
その目的から外れた施策を打っていくとメッセージがぶつ切りになり、分散される。場合によっては霧散する。予算が通るなら従業員に「迎合」したくなるのもしょうがない。だって「喜んでもらいたい」というのは良いこととされ、強い欲求である。
しかし、ものすごーく気をつけて欲しいことがある。
それは導入したものはいつしか「権利」にすり替わる。後で辞めようとするとかなりの抵抗を生む。人は損に拒絶反応を示す。「奪われた」気持ちになる。
ウォーターサーバーが良い例で、経費削減の号令がでると槍玉にあがりやすい。でも考えてみてほしい。「水を奪う」というのはマッドマックスの世界線だ。
閑話休題。
「働きやすさ」の解像度を少し上げると「本業への騒音軽減」になると思う。いかに本業に集中できるか。それが成果を出す秘訣だと思う。
本業への集中度は裏を返すと「会社への信頼度」だと考えている。
安心して働けること。「正しく努力をすれば報われる」、そう信じられる。安心して挑戦、失敗し、また挑戦できる。そんな環境や組織文化なんだと思う。
まぁ、これが厄介なことに「会社」という概念は人によっては、社長であったり、上司であったり、同僚であったりする。「みんな」の曖昧さに似ている。
では、どうやって信頼度を上げればいいのか。
成功パターンは千差万別。各企業によって「らしさ」がある。しかし、失敗パターンは共通なところが多い。だからまずは騒音潰しになるだろう。
例えば、こういうもの。
・マイクロマネジメント
・意義の分からない業務
・不機嫌の放置
・声の大きい人の意見が通る
・不透明な人事評価
・ゴミを見過ごす職場
・ミスの犯人さがし
・公私混同
『サボタージュ・マニュアル』も参考になる。
この「組織やチームの生産性を意図的に低下させる11ルール」は、まさに心の生産性を奪うことばかりだ。
「サボタージュ・マニュアル(The Simple Sabotage Field Manual)」は、CIA(当時はOSS) が第二次世界大戦中に作成した文書で、敵国の生産性を下げるためのサボタージュ方法をまとめたものです。
①無駄な会議を頻繁に開催する
結論の出ない議論を延々と続ける。全員の意見を聞いてから決定する。
②あらゆる決定を委員会に持ち込む
簡単なことでも委員会の承認を得るようにする。これにより時間を浪費させる。
③重要な仕事に未熟な人材を割り当てる
経験不足の人を重要なポジションに配置し、効率を下げる。
④規則や手続きに固執する
臨機応変な対応を避け、すべて規則通りに行うように強制する。
⑤全ての事務作業を複雑にする
文書の提出や承認を必要以上に複雑化し、時間を浪費させる。
⑥無駄なコピーや書類を作成する
必要のない書類や報告書を大量に作成し、スタッフを疲弊させる。
⑦頻繁に方針を変更する
目的や方針を頻繁に変え、現場を混乱させる。
⑧情報を意図的に遅らせる
必要な情報を隠したり、遅らせたりして効率を低下させる。
⑨優先順位を無視する
重要なタスクを後回しにし、どうでもいい仕事を優先させる。
⑩設備や機材のメンテナンスを怠る
故障を放置し、生産性を低下させる。
⑪人間関係を悪化させる
同僚間で対立を煽り、チームワークを崩す。
福利厚生が充実していても、立派なオフィスがあっても、こういうことを放置していたら本業に集中できない。意欲を保てない。モチベーションが枯渇する。
プロなのだからモチベーションは関係無いという考えもある。しかし、仕事には「やらされ仕事」と「自らやる仕事」がある。新人はほぼ「やらされ仕事」だし、社内で信用を得ずには「やらされ仕事」のままである。これにはモチベーションは深く影響する。
自己効力感が無くては仕事はどんどんつまらなくなる。
安心、信頼、意欲、未来。「心の生産性」は重要である。ギスギスした職場で働いていると病んでくる。将来も想像できなくなる。
だから、人事総務は「心の生産性」を自覚してほしい。
どうして我が社の目的達成に従業員が必要か。どんな気持ちなら迷いながらも進んでいけるのか。
そこから考えてみてほしい。
そこに「らしさ」のヒントがきっとある。
ご覧いいただきありがとうございました。
足跡を残していただければ幸いです。
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