23年間で見えてきた、MBA学校選びの本質
23年やってきて、AFFIANCE から世界に旅立った皆さんが、どの時代に、どの学校へ進んでいったのか──あらためて、ざっくりとマッピングしてみました。
【北米】
HBS、Stanford、Wharton、Columbia、MIT Sloan、Kellogg、Booth、Tuck、Yale、Duke、Darden、UCLA、Berkeley……
【欧州】
INSEAD、HEC Paris、LBS、Cambridge、Oxford、IESE、IE、ESADE、IMD、SDA Bocconi……
【アジア】
HKUST、HKU、CUHK、CEIBS、NUS、INSEAD Singapore……
こうして並べてみると、あらためて気づくことがあります。
AFFIANCE の卒業生は、特定の有名校にだけ偏っているわけではありません。
もちろん、いわゆるトップスクールに進んだ方もたくさんいます。
HBS、Stanford、Wharton、Columbia、INSEAD、LBS、Cambridge、Oxford……そうした名前が並ぶと、どうしても「名門校リスト」のように見えるかもしれません。
でも、僕がこの23年間で見てきたものは、単なる学校名の一覧ではありませんでした。
そこにあったのは、一人ひとりの人生の選択でした。
皆さんが選んできたのは、「ランキングで一番上の学校」ではありません。
「自分の中長期のゴールに対して、本当に必要な学校」でした。
MBA受験における学校選びは、単なるブランド選びではありません。
まず、自分が中長期でどこに向かいたいのかを決める。
そのうえで、今の自分の立場、経験、スキル、視野、実績を冷静に見つめる。
そして、最終的に届きたい場所とのあいだにある差分を確認する。
その差分を、どの学校なら最も現実的に、最も深く、最も意味のある形で埋めてくれるのか。
本当に大切なのは、そこです。
学校名には、たしかに力があります。
ブランドにも、ネットワークにも、評価にも、意味はあります。
けれど、学校名そのものが人生を変えてくれるわけではありません。
大切なのは、その環境を通じて、自分に何が加わるのか。
どんな視野が広がるのか。
どんな問いを持つようになるのか。
そして、卒業後にどんな自分として、もう一度社会に戻ってくるのか。
MBAは、ゴールではありません。
それは、自分の未来に向かうための、かなり大きな補助線です。
だからこそ、学校選びは「どこが有名か」ではなく、「どこが自分を次の場所まで押し上げてくれるか」で考える必要があります。
これは、MBA受験だけの話ではないと思います。
これから起業する人も、転職する人も、事業を継ぐ人も、40代・50代から次のキャリアを作り直す人も、本質的には同じ問いに向き合います。
「自分は、どこへ向かいたいのか」
「そこへ行くために、今の自分には何が足りないのか」
「その差分を、どう埋めるのか」
学校選びも、キャリア選びも、起業も、結局はこの問いに戻ってくるのだと思います。
23年前、僕が AFFIANCE を始めた頃、日本ではまだ少しだけ、
「MBA = HBS」
「とにかく有名校に行くことが正解」
という空気が残っていました。
もちろん、HBSは素晴らしい学校です。
Stanfordも、Whartonも、INSEADも、LBSも、それぞれに圧倒的な魅力があります。
でも、すべての人にとって、同じ学校が正解になるわけではありません。
ある人にとっては、INSEAD のスピード感と国際性が必要だった。
ある人にとっては、HEC Paris の欧州的な文脈が次のキャリアに必要だった。
ある人にとっては、Cambridge という知的環境が、自分の研究や専門性を広げる場所だった。
ある人にとっては、IMD の少人数で濃密な環境が、家族との生活や年齢的なタイミングも含めて最も現実的だった。
ある人にとっては、Stanford の起業家的な空気が、自分の未来にどうしても必要だった。
ある人にとっては、LBS のロンドンという立地が、金融から事業会社へ、あるいはグローバルなキャリアへ移るための大きな足場になった。
ある人にとっては、HKUST や NUS のアジアに根ざしたネットワークが、次の10年を考えるうえで最も意味を持っていた。
商社マンが INSEAD を選び、
医師が LBS を選び、
研究者が Cambridge を選び、
家族の事情を考えて IMD を選び、
ベンチャー志向で Stanford を選び、
金融から事業会社へ移るために LBS を選び、
アジアでのキャリアを見据えて HKUST や NUS を選んだ。
それぞれの選択には、きちんと理由がありました。
「有名だから」ではなく、
「自分のゴールに必要だから」
「行ける学校」ではなく、
「行く意味のある学校」
「行きたい学校」ではなく、
「今の自分と、未来の自分の差分を埋めてくれる学校」。
この問いに辿り着くまでの、皆さん一人ひとりの迷い、葛藤、決断のプロセスを、僕は近くで見てきました。
GMATの点数が思うように伸びなかった時期。
エッセイで、自分のキャリアゴールが言葉にならなかった時期。
本当に海外に行くべきなのか、家族と何度も話し合った時期。
会社を辞めるのか、戻るのか、社費で行くのか、私費で行くのか、何度も考え直した時期。
MBA受験というのは、外から見ると「試験」と「出願」のプロセスに見えるかもしれません。
でも、本当はそれだけではありません。
自分は何者なのか。
何をしてきたのか。
どこへ向かいたいのか。
そのために、いま何が足りないのか。
そして、その不足をどう埋めるのか。
そこまで考えないと、本当に意味のある学校選びにはなりません。
だから、僕にとってこの学校リストは、単なる実績一覧ではありません。
これは、23年分の意思決定の地図です。
23年分の悩みと決断の軌跡です。
そして、23年分の「未来から逆算した選択」の記録です。
5月30日には、さまざまな学校の OB・OG が一つの場に集まります。
同じ学校の先輩・後輩に会うのも、もちろん楽しい。
でも実は、いちばん濃いインスピレーションが生まれるのは、
「自分とは違う学校に行った人」
「自分とは違う業界に進んだ人」
「自分とは違う選択をした人」
との会話だったりします。
「あの校って、入った後どうだった?」
「その学校を選んで、実際に何が変わった?」
「当時考えていたゴールに、その学校はどうつながった?」
「今振り返ると、その選択はどんな意味を持っている?」
「その選択、当時は意外だったけど、今考えるとすごく納得できるね」
そんな会話が、自然に生まれる場にしたいと思っています。
たぶん、そこでは昔話だけでは終わらないはずです。
あの頃の受験の話から、今の仕事の話へ。
今の仕事の話から、これからの人生の話へ。
これからの人生の話から、もう一度、自分をどう作り直すかという話へ。
そういう会話が生まれたら、僕にとってはとても嬉しいです。
23年分の進路と、その後の人生が、ひとつの場に集まる。
これは、きっと面白い景色になるはずです。
AFFIANCE の OB・OG の皆さん、ぜひ久しぶりに顔を出してください。
▼ お申込みはこちら - 2026.05.30 Sat: AFFIANCE OB & OG会 申し込み
https://www.affiance.jp/0530
著者プロフィール
土佐徳彦
MBAアドミッションコーチ、Decision Intelligence エデュケーター、起業家。
2003年に海外MBA受験専門スクール AFFIANCE を立ち上げて以来、Harvard Business School、Stanford GSB、MIT Sloan、Wharton など、世界トップMBAへの合格を目指す社会人の学びとキャリア選択を支援してきました。
GMAT指導では、独自に開発した論理思考フレームワーク「Logic Chart」を用い、単なる点数アップではなく、ビジネスの現場でも使える構造的な思考と意思決定プロセスを身につけてもらうことを重視しています。
一方で、実業家としては Caetus Technology 株式会社のCEOとして、プロフェッショナル向けハンドクリーム「Hands Å P.P.」シリーズを開発。
グッドデザイン賞を受賞し、さらに宇宙航空研究開発機構 JAXA の審査プロセスを経て、宇宙生活に対応するハンドクリームとして評価されました。
こうした、トップMBA合格のための思考整理と、極限環境でも使われるプロダクト開発の経験を、現在は生成AI時代の学習デザインと意思決定インテリジェンス教育へと統合しています。
AI、MBA、マーケティング、そして人と組織の意思決定をテーマに、現場で試していること、うまくいったこと、失敗から学んだことを、できるだけ実務ベースで発信していきます。
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