曖昧なままの「休職希望」そのとき、どう問いかける?
「体調が悪いので、しばらく休ませてください。仕事は続けたいと思っています」
そう本人から連絡があったきり、診断書も、休職届も届かない。
電話やメールをしても返答はなく、出社もない。
職場には静かな戸惑いが流れます。「無断欠勤なのか?」「でも、連絡はあったし…」と。
この状況、実は職場では決して珍しくありません。
制度はある。でも、現場は動けない。
制度の上では、休職には診断書が必要です。就業規則にも書かれている。「○日以上の欠勤が続いた場合」「心身の不調で就業が困難な場合は」…と。
でも、現場で起きているのは「制度どおりには動けないリアル」。
・書類がそろわない
・本人と連絡が取れない
・周囲も“触れにくい”空気で動けない
この「曖昧さ」の中に、多くの管理職や人事担当者が迷ってしまい、次の行動が取れなくなります。
曖昧なまま、でも放っておけない。
制度的には、無断欠勤が続けば懲戒処分も可能です。でも、それを杓子定規に進めるのは、どうしてもためらわれる。
「最初に“仕事は続けたい”って言っていたし…」
「精神的な不調だったら、こっちが強く出るのは違う気がする」
「でも、連絡がつかないままでは他の社員にも影響が…」
結果、気づかないうちに、職場全体が“足踏み状態”になってしまうのです。
社労士としてできること=制度と人の“あいだ”に立つこと
こうした曖昧な場面で、社労士が担うべきは「制度と人のあいだの距離を埋めること」だと、私は思います。
たとえば、こんなサポート。
会社に対して「どこまで連絡を取ってよいか」のガイドを示す
本人に向けた“やさしいトーンのメール文例”を用意する
必要に応じて、外部の産業医やカウンセラーの利用を提案する
これらは一見、地味な対応です。でも、こうした“小さな配慮”があるだけで、現場はぐっと動きやすくなるのです。
「問い」がつくる安心の場
ここで大切なのが、「問い」の力です。
たとえば、会社にはこんな問いを投げかけます。
「このまま放っておいたとき、誰に、どんな影響が出そうですか?」
この問いで、事態の深刻さに気づく人もいます。
一方、社員本人には、責めるような表現を避けながら、こう問いかけます。
「ご体調のこと、ご事情のこと、どこからお伝えいただくのが安心でしょうか?」
問いには、相手を開く力があります。逆にいえば、問いがなければ、人は閉じたまま、状況も動きません。
曖昧さに耐える力、問いを立てる力
社労士という仕事は、法律とルールの専門家である一方で、「白黒つかない状況」と毎日のように向き合う仕事でもあります。
だからこそ必要なのは、ただ制度を伝える力ではなく、
「この曖昧さの中で、今なにが一番必要だろう?」
と自分に問いながら、一歩を踏み出す力なのだと思うのです。
あなたなら、この状況にどんな問いを投げかけますか?
このように、日常の小さな場面に「問い」を持ち込むことで、状況の見え方が変わり、世界が少しずつ動き出します。
そんな「問いの力」をもっと深く探究していく連載マガジン『問いの地図』、よければのぞいてみてくださいね。
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