「歩きたいまち」を手に入れるには?
札幌の魅力を人に伝える時、頭に一番に浮かぶのは「自然と都市の近さ」という言葉です。
札幌は明治期の開拓使設置以降、計画的な格子状の街路網とともに発展を遂げました。まちなかから山が見え、まちの中に大きな川流れているという、豊かな自然環境と都市機能の近接が魅力です。
私は東京から移住してきてかれこれ20年(!)になりますが、年々この環境の住みやすさが身に染みているように思います。近頃はまちの中をランダムに散歩することにはまっているので、道をふと曲がった時に見える山の緑や、初夏に一斉に咲き乱れる街路樹脇の花々に癒されながら、疲れたらループ状に走っている市電に乗ってまちを眺めるというふうに、ハイブリッドな環境を享受しています。

ただ、都市機能がこれだけ密集しているにもかかわらず、私たちの生活は依然として車に頼りがちで、いわゆる「コンパクトシティ」にはなれていないなと感じます。雪国という気候的なハードルがあるのは事実ですが、歩くことの豊かさが、都市の魅力に直結しきれていない現状には、まだまだ大きな伸び代があるのではと考えることもしばしば。
先日、会社の同僚たちと「読書会」と称してまちのことを語り合った際、課題図書にしたのが『札幌解体新書』という本です。近代化以降の札幌・北海道150年の歴史を振り返る本で、都市計画や産業、文化など5つの視点から、会話形式で分かりやすく解説し、未来の再興戦略が描かれています。

この中で一番印象的だったと話題に上ったのが、中島公園の存在です。日本最初期の都市型公園であること、1958年の北海道大博覧会の会場となった歴史、日比谷公園の整備の参考にされたことなど、札幌のまちでの重要な位置を占めていたことを知って驚きました。つまり、かつての中島公園は、都市の熱量と多様なアクティビティが交差する象徴的な場所だったのではないか、ということです。
当時の賑わいや役割を正しく推し量ることはできませんが、現在の中島公園はその活用範囲が少し限定的なように思ってしまいます。散策やラニング、犬の散歩といった公園単体としての日常利用や、既存施設の単独利用という静的な用途では活かされていますが、周辺環境との関係性は分断されているように感じます。公園の北側がすすきのという歓楽街に接していることもあり、昼間の明るいアクティビティとの乖離を感じるのかもしれません。

都心に隣接する広大な敷地と豊かな水辺空間が持つ、都市のハブとしてのポテンシャルが十分に引き出されるためには…という話をしていたら、あっという間に時間が経ってしまいました。
飲食店や図書施設を公園内や周辺につくって人流を活性化するのか、樹木の過密化による暗さを解消するのか、居場所を増やして目的地になるようにしていくのかなど、さまざまな活用方法があると思いますが、中島公園周辺がもう少し普段の暮らしの一部として身近なものになれば、札幌が今よりさらに「歩いて楽しいまち」になると思うのです。

まずは自分のまちの好きなところを知ることから。しばらくはこの「読書会」を続けてみたいと思っています。
