ある日の朝食
韓国の家には、いつも밑반찬があった。
母の冷蔵庫を開けると、小さな器がずらりと並んでいて、食事のときには、その中から数種類を取り出して食卓に並べた。
밑반찬(ミッパンチャン)とは、韓国の食卓で主菜のまわりに並ぶ、小さなおかずのこと。日本でいう常備菜や副菜のようなものだ。
私の家でも、1〜2週間に一度、いろいろな밑반찬を作っておく。タッパーに詰めた小さなおかずたちを、朝や夜にひとつずつ取り出して、小皿に移し入れて、食卓に並べる。それが、わが家のごはんの風景。
正直に言うと、私は作り置きが得意ではない。
作り置きの一番の難しさは、毎日同じものを食べ続けなければならないこと。気持ちが追いつかない日もあるし、飽きてしまう日もある。
だからこそ、私の味方になってくれるのは「半調理作り置き」だ。
きゅうりに塩を揉んでおくだけ。
ほうれん草を下茹でしておくだけ。
和えるところまでで止めて、最後の味付けは食べる直前にする。
調味料だけを合わせて、保存しておく。
完成形ではない、途中の状態でストックしておくと、その日の気分で味付けを変えられたり、別の料理に展開できたり。同じものを食べ続ける窮屈さから、少し解放される。
朝はみんな、時間が限られていて、丁寧な朝ごはんを迎えるのが難しい時間だ。

この日は、白米を炊いて、汁物を作って、目玉焼きを焼いて、あとは冷蔵庫から作り置きを取り出しただけ。
それでも、小皿に分けて並べてみると、ちゃんと一食になった。
頑張りたくない朝に、こうして食卓が整うのは、過去の自分が少しだけ手をかけておいたおかげ。
作り置きは苦手だけれど、こういう朝に助けられて、今日も一日が始まる。
