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お気に入りの写真/2025/03/31

「あのとき、M6で撮っていたら」

2017年2月、イタリア・リボルノの小さなトラットリアでのこと。
普段、食事中に写真を撮ることはあまりなかったのだけれど、その店の雰囲気があまりにも良く、ついシャッターを切ってしまった。

当時、愛用していたのはFUJIFILMのX20というコンパクトデジタルカメラ。
軽快な操作感とフィルムシミュレーションの色味が気に入っていて、旅の記録にはもってこいのカメラだった。
僕がFUJIFILMのX100Sを購入するきっかけになったカメラだ。
センサーは普通のコンデジより大きく、広角からのズームでf2.8固定で明るいレンズにクラシカルなデザインでコンパクトなのが気に入っていた。
もちろん、その写真を見返すたびに、あのときの空気や料理の香り、店の雰囲気までもが蘇ってくる。

でも、最近になってふと思うのだ。
なぜ、M6で撮らなかったのか。

Leica M6——35mmフィルムのあの独特の質感で切り取ったなら、きっと違った記憶の残り方をしたのではないか。
デジタルの便利さに頼るあまり、フィルムでしか得られない「時間の重み」を取り逃してしまったような気がして、少しだけ悔やんでいる。

もちろん、写真はカメラだけで決まるものではない。
どんな機材で撮ったとしても、そのときの自分が感じたものが写っていれば、それでいいのかもしれない。
けれど、フィルムで撮っていたら、このトラットリアの写真は、また違った色合いで心に刻まれていたのかもしれない——そんなことを考えながら、時々イタリアで撮った写真を見返している。
そしてやっぱり僕はフィルムの写真が好き。

機材:FUJIFILM X20
撮影年月:2017年2月
場所:イタリア・トスカーナ州リボルノ
お店:Trattoria L'antica Venezia

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