忌野清志郎&仲井戸麗市 “GLAD ALL OVER"(1994年8月13日)
1994年初夏。ラジオのディレクターやってて、生放送や録音番組で一日中スタジオに居た。録音番組は音楽だけで聴かせる3時間。生放送は、ニュース、天気予報、交通情報、音楽、トピックス、インタビュー、ゲスト歌手を招いての公開番組。そんな僕に、こんな臨時ニュースが飛び込んで来た。
真夏の臨時ニュース

忌野清志郎&仲井戸CHABO麗市
"GLAD ALL OVER"
1994年8月13日(土)
日比谷野外音楽堂
1991年にRCサクセションが活動停止となり、清志郎とCHABOはそれぞれソロに移っていた。RCの頃に出たCHABOさんのソロ『THE仲井戸麗市BOOK』『絵』で、その世界観にノックアウトされた。RCが止まった後の麗蘭やソロ3枚目の『DADA』も毎日のように聴きまくってた。しかし、(もうRCをやることはないのかも)と思ったりもした。CHABOと清志郎、ソロは別々のテイストに感じたから。

DADA
なんとなんと、2人がライヴをやるというではないか。しかもあの野音ベイベーで。1980年の『ラプソディ』でぶっ飛んでRCのファンになりライヴに通い、1989年に黄金期5人による「RCの夏の野音」を経験したし、これは東京に行くしかないと思った。チケットを買い、飛行機とホテルを予約した。

1981年春のツアーのポスター
昨年、展示会イベントで飾った
早く着いてしまった僕は会場の前をウロウロした。リハーサルの音が聞こえてくる。「たとえばこんなラヴ・ソング」ではないか!
ライヴは2人のアコースティック・セットから始まった。1曲目は「よそ者」で、これは意外な選曲だった。きっと、2人にとって思い入れが強い曲なのだろう。集まったファンの熱い期待をふわっとかわした、自然な肩の力の抜けたオープニング。他にもこの1部では特別な選曲が多かった。CHABOが歌う「忙しすぎたから」もそう。「いつか笑える日」に似たコード進行(メジャーからマイナーに行く、ビートルズお得意のパターン)が好きだ。「昼寝をするのさ」の、F-Fmのとこね。1部のラストは「甲州街道はもう秋なのさ」。『シングル・マン』の名曲がついに生で聴けて感動。

以下、同じ
2部はバンドセット〜長くなりそうなので一気に飛びます〜そしてラストは再び2人だけで「夜の散歩をしないかね」。今でもあの曲を聴くと切なくなる。「あ〜、終わってしまう」と。夢のような時間だった。

僕は帰ってからすぐ、セットリスト通りの選曲で3時間の番組を作った。その時はライヴ盤が出るかどうか分からなかったし、観れなかったファンも沢山いたから。音源はレコードだけど、あの日を再現してみたかったのだ。「こんな感じのライヴだったんですよ」とリスナーに届けたかった。

後に音源と映像は商品化された。CDは全曲収録、ビデオは編集されていた。いつか完全版のリリースを希望します。

結果的にCHABO&清志郎として唯一の共演ライヴ。あっという間の「真夏の臨時ニュース」だった。今でも、蝉の音を聞くと、野音を思い出す。そう言えば、映画『急に具合が悪くなる』での、京都のシーンで蝉が鳴く。あれはとても重要な場面だった。
あの野音以来、8月13日になると「もう秋なのさ」の気分なのである、僕の中では。もう32年も経ったのか。
もう こんなに遠くまで
まるで昨日のことのように
甲州街道はもう秋なのさ
my note #439

