学長は魔法使いになりました
清水さんのハッカソンでAIを使ったコーディングを体験したのが、すべての始まりだった。
「もしかしてこれ、なんでも作れるんじゃないか?」
その直感は完全に当たり、Claudeを使ったコーディングを始めてからというもの、その圧倒的な面白さに取り憑かれている。今では、起きている時間のほとんどを開発に費やしている状態だ。
会社をやっていた頃のシステム開発を思い返すと、本当に隔世の感がある。ハコスコ時代、開発といえば巨大な伝言ゲームのようなものだった。僕が企画の青写真を描き、それをエンジニアが仕様に落とし込む。仕様書をもとにGOサインを出し、並行してUIデザイナーも動く。各領域に担当者がいて、彼らをまとめるPM(プロジェクトマネージャー)がいて、当然プロダクトとして成立させるPdMもいる。一旦形になったら今度はQAチームがテストを回し、バグを改修し、すべてクリアしてようやくリリースに漕ぎ着ける。
どんなに小さな開発を回すにしても、最低でも4〜5人のチームが必要だった。当然多額の費用がかかるし、何よりメンバー間のコミュニケーションコストが途方もなく高い。
開発途中での仕様変更をしようものなら、全方位から盛大なブーイングが飛んで来る。最初から最適な仕様なんか作れるわけ無いのに。なので、本当は欲しいものじゃないものの開発が進んでいく。
そんな世界を生き抜いてきた僕からすると、今のClaudeでの開発はすべてを一人で完結できる。大げさではなく、毎日が夢のようである。「朝目が覚めて、この環境が全部なかったことになっていたらどうしよう」と本気で心配になるくらい、僕は今、夢の国を生きている。
一言で言うなら、完全に「魔法使い」になった気分だ。
アーサー・C・クラークの有名な言葉に「進みすぎた科学は、魔法と見分けがつかない」というものがあるが、まさに今の心境はこれに尽きる。言葉を紡ぐだけで、目の前でアイデアがシステムとして組み上がっていく。気分は最高である。
さらに素晴らしいのは、これまで手が出しづらかったセキュリティ関連のテストまでAIが担ってくれることだ。いまのAIは、間違いなく最高のRedTeam(攻撃者目線で脆弱性をテストするチーム)として機能する。高額な費用を使って外部にセキュリティテストを外注しなくても、壁打ちしながら安全性を担保していける。
本当に、こんな時代に生きていて良かったと心底思う。
誰かのご機嫌や体調を伺うこともなく、スケジュールのパズルに頭を悩ませることもない。日本は連休多すぎるぞ!と叫ぶこともない。今すぐ、この瞬間に、自分自身の思い通りに物事を前に進められる。
もしこれが夢なら、どうか覚めないでほしい。
モニターに向かいながら、僕は今日も魔法の呪文を打ち込んでいる。
