行きたい場所 観ておきたいもの 会いたい人
真夏のピークが去った。
20代の頃から、8月の終わりになると思い出して、一人歌ってしまうフレーズだ。
20歳そこそこくらいの頃から20代の後半くらいにかけ、「スペースシャワーTV」を熱烈に観て、毎年8月は、ひたちなかで行われていた「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」に、全日参加する日々を過ごしてた。
2009年を最後に卒業してしまったものの、夏がはじまるなぁ…という日差しの頃になると今でも、暑い暑いひたちなかの林道や、鮮やかな芝生の風景を思い出す。
サザン、ミスチル、坂本龍一さんに、エレカシに、YUKIちゃんに。
2005年は特にものすごかったよなぁと、タイムテーブルや記念号を読み返すたびに思う。
BUMP OF CHICKENのライブ中、ステージ近くのモッシュエリアでスニーカーが脱げ、「コンバースが脱げたー!!!」と叫んだら、周りの知らないお客さんたちが肩を貸してくれたり、探してくれたりして、あっという間にどこからともなく、バケツリレーのように運ばれて戻ってきた、というウソのようなホントの話も、いい思い出だ。

まさに奇跡の3日間だった。
スぺシャで出会い、フェスの度に必ず観て、ライブに幾度となく足を運んだのが、フジファブリックというバンドだ。
Vo.の志村くんが、富士吉田市という、私の地元・静岡県に近い地域の出身で、2000年にメジャーデビューする頃からずっと、彼らの曲がとても好きで、志村くんの歌声が本当に好きで、できるだけライブに行っていた。
だから、あの日も。
COUNTDOWN JAPAN 09/10の日も、チケットを確保し、年末を本当に楽しみにしていた。
2009年は、志村くんが敬愛する、そしてわたしもデビュー時からずっとファンでい続けている椎名林檎女史が、「東京事変」として同じステージに出演する年でもあった。
デビューから9年を迎えたフジファブリック。林檎女史も志村くんの歌声や楽曲の素晴らしさを語っていたから、二人が同じフェスに出るだなんてファン冥利に尽きるし、何よりきっと志村くんは嬉しいだろうなぁ、なんて、そわそわしていたのをよく覚えている。
そんな幕張のステージに立つ数日前、志村くんは誰にも何も言わず、この世から旅立っていった。2009年12月24日。29歳。
あの日、幕張で、楽器だけが置かれたステージを観ても、わたしには到底現実のようには思えなくて、ずっと涙が止まらなかった。
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毎年12月が来ると、フジファブリックの『茜色の夕日』という楽曲を思い出す。JR中央線の車窓からぼんやり眺めた、高円寺の夕暮れの風景と一緒に。
気が付けばとうに彼の年齢を追い越し、ずいぶんと時間が経ってしまってもなお、夏が来るたび、12月が始まるたび、ひたちなかのフェスや、幾度となく通ったライブで観た、志村くんが歌う姿が浮かぶ。
30歳、40歳と、年齢を重ねた彼が、どんな歌をつくり歌っていたんだろう。そんなことを考えても仕方がないってわかっていても、季節がめぐるたび、頭をよぎるのだ。
志村くんだけではない。わたしは10代から20代にかけ、祖父母や大事な友人が、突然、この世から旅立ってしまう経験を度々している。
昨日まで変わらずに、元気にしていたのに。
あの日、たわいもない話をして「じゃあまたね」と電話を切ったのに。
ありきたりな言葉だけど、あれが最後だとは思ってもいなかった。
だから、いつの間にかわたしの頭の片隅には、"いつかまたね、は、もうやってこないかもしれない。今は何となく会えていても、これっきりで会えなくなるかもしれない"という考えが、小さく小さく置かれている。
一方で、どうしてもタイミングが合わない、会えない、なんてこともある。それもまた、そういう縁だったのだ、と考えるようにもなった。
人との縁、とは、本当に不思議だ。歳を重ねるほどに思う。
ちゃんとその夢を叶えた今となっては、自分の選択は間違っていなかった、と言えるけれど、その十数年前、あれほど好きなものと嫌いなものが似ていて、話が尽きなくて、ずっと続くだろうと思っていたのに。相手を大切に想い、その人生を大切に思うからこそ、一緒にはいられない、離れなければならないことがある、と教えてくれた人がいた。
本当に本当にいろいろなことがあったけれど、一緒に過ごしてもうすぐ20年になるだなんて、たまたま会って喫茶店に行ったあの日には想像もしていなかった人がいた。
わたしも、誰かも、いつ何がはじまっているのか、いつ何が最後になるのかはわからない。
だからこそ、わたしは今日も、行きたい場所、観ておきたいもの、会いたい人には、できるだけ足を運び、連絡をとり、声をかける。
そして、大人になったからか、思わず言葉を飲み込んでしまうことも増えたけれど、これは伝えたい、ということはできるだけ伝えようとしている。ちゃんと伝わっているかは、わからないけれど。
もう少ししたら、クリスマス・イブが来ますね。
志村くん、お変わりありませんか。
12月に聴く『若者のすべて』、今年も格別です。
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