一等防空駆逐艦秋月型8番艦 冬月 NERV副指令官 冬月コウゾウ 碇ゲンドウを何故守ったのか?

駆逐艦冬月 NERV副司令冬月 2つを結ぶコウゾウ
ウィキペディアを読みながら、冬月の存在意味を考えてみましょうね。ここからは、しばらくWikipediaから引用していきます。
冬月(ふゆつき)は、日本海軍が太平洋戦争後半で運用した、秋月型駆逐艦の8番艦。艦名は「冬の月」より。秋月型は、この冬月以降で船体各部形状の簡略化・艦橋の大型化などの変更が加えられたため、タイプ冬月として区分する分類法もあるようです。

現代のふゆつきは、「つ」に濁点が付いた護衛艦「ふゆづき」へ、その名は継承されています。なんだか、もうこの時点で、エヴァっぽいんですよね。冬月は冬の月。静かで、冷たくて、どこか死者の匂いがするかもです。
戦時中の冬月の駆逐艦としてのスペックを見てみましょう。基準排水量 2,701トン全長 134.2m出力 52,000馬力速力 33ノット主砲は、65口径10センチ連装高角砲4基。つまり、防空駆逐艦。

グラマンだろうが、ゼーレだろうが、艦爆でも、艦攻でも。空から降ってくる死を撃ち落とすための存在。でも、Butです。魚雷発射管も積んでいるんです。九三式魚雷 × 8本。つまり。守るための艦なのに、撃つことも出来る。これが、冬月ですよね。

表向きには、副司令。ゲンドウの横で、MAGI、ゼーレ、国連、補完計画、NERV内部の矛盾。空から降ってくる問題を、防空駆逐艦のように受け止める存在。でも。必要なら、撃てる。必要なら、人類補完計画に加担出来る。だから、防空駆逐艦だけではないのですよ。合理的なのに、不合理。静かなのに、危険。これって、秋月型防空駆逐艦なのに魚雷を捨てきれなかった、日本海軍そのものでもあるんですよね。基本的には、エヴァ操縦者に多く与えられている駆逐艦名ですが、主要人物の中で冬月だけは、搭乗者ではないにもかかわらず駆逐艦名を持っています。

では、駆逐艦冬月が最後に加わることになる、第二水雷戦隊の系譜を見て行きましょうね。黒潮・親潮・陽炎・不知火・雪風・時津風・天津風・島風・響。代表的なところではこうです。もう、名前が神話です。自然現象と怪異の境界。
特に、黒潮ちゃんとはエヴァンゲリオンは、何故か縁が深いんですよね。黒潮と言えばBOAビールじゃないですか?KUROSHIO BUSSAN。
つまり、「黒潮コンツェルン」庵野秀明さんの「空飛ぶ幽霊船」という影が常に冬月の横で戦ったってことですね。見えない巨大資本。戦後日本の裏側を流れる黒い流れ。
劇中では、説明されませんが、恐らく、ゼーレの裏海流じゃないのでしょうか「黒潮」は。まず、yuriが駆逐艦冬月を調べてみようと思った動機。気になります?気になりますよね?

太平洋戦争末期。死と消耗の果てに、後期艦として現れるのが冬月です。1944年5月25日竣工。もう戦争は終盤です。ここで少し長文になりますがウィキペディアからの引用を。ここ大事ですよー。

1944年(昭和19年)1月20日、進水し、同日付で横須賀鎮守府に入籍[47]。 4月21日付で、横田保輝少佐が臨時艤装員長に任命される。 5月5日、横田少佐は艤装員長の職務を解かれた。 後任の艤装員長として作間英邇中佐が着任した。冬月の初代艦長となった作間英邇は、かつて駆逐艦「綾波」沈没時の艦長でもあった。
ここって、かなりエヴァンゲリオン的には重要で、冬月と碇ユイの関係は、一緒の研究者だったとしか、庵野秀明さんは説明していません。でも、戦時喪失した「綾波」の艦長が艤装員として、冬月を完成させ、後の初代艦長ですよ。冬月が、ユイを愛慕しつつも、それ以上の感情を持ち得なかった。いや自重したのでしょう。更に、艦長としてのユイの下に居たということになりませんか?しかも冬月は、坊ノ岬沖海戦を生き残る。大和でもない。矢矧でもない。主役として沈む船ではなく、最後まで残る側。だから、彼はマイナス宇宙でも生きることができたのではないでしょうか?最後まで残って、壊れた世界の横で、ゲンドウという危険装置を維持し続ける人間。駆逐艦冬月だからできたのではないかと思います。ここからも、ある意味、まだ、あまり、語られていないことだと思いますが。

戦後の冬月の運命。軽巡北上は以前のトピックで言及しましたが・・・冬月は工作艦として運用されます。(復員業務ではありません)駆逐艦が工作艦になる。つまり、本来は前線で戦うための存在が、壊れた艦を維持し、補修し、延命する側へ回る。これって、ゲンドウを守る、冬月コウゾウそのものではないでしょうか?

アメリカ軍が目の敵にした。明石型のような、本格工作艦ではない。けれど役割としては、「人間工作艦」ゲンドウという、壊れた装置。ユイへの執着。補完計画。その全てを、最後まで調整し続ける。そして最終的に。冬月は、上部構造物を撤去され、防波堤になります。武器ではなく。「波を受け止める固定構造物」になるのです。

シン・エヴァンゲリオンでの一コマですけれど。真希波は冬月にこう言います。「しっかし、この船、L結界が密度が濃すぎません?・・・」冬月は「あぁ元来、有人仕様ではないからな・・・」つまり、防波堤だからじゃないでしょうか?防波堤内部に人間は存在できませんから。そして、「君の欲しい物は残してある。好きにしたまえ。」そう言って、真希波の前で、自らの命を天に捧げL.C.L化してしまいます。巻波=真希波は、別に、裏切りをしたわけではないですけど、救済という意味でしょう。「君の欲しい物」の解釈ですけど、第二水雷戦隊での「雪風」と「響」かなって深読みしちゃいます。戦時賠償艦としての雪風=丹陽、と、響=Верный。ゲンドウの戦いの代償としての、幸運と信義ではないのでしょうか?
Wikipediaでは、EVA・オップファータイプ3機をマリに引き渡し、自身は儀式に加わることなくL.C.Lと化し死亡した。と説明されていますが。

綾波=ユイは、冬月を作った母であり、操艦した冬月コウゾウの行動原理です。巻波=真希波と、冬月は第二水雷戦隊所属ですが、巻波の戦没時期が冬月の完成前だった為に、一緒に行動はしていません。一方、敷波=式波は、二水戦に所属した歴史はなく、第十九駆逐隊としての独立運用でした。冬月の中に登場しないのは、敷波は第二水雷戦隊で行動していない部外者という解釈にならないでしょうか?先にも言った通りで、エヴァ世界で、駆逐艦名を与えられているのは、基本的にエヴァ操縦者です。揺れる存在。波を受ける子供たち。以下は、史実をふまえた、艦名と役割からのyuri的解釈です。

ところが冬月だけは違う。唯一、搭乗者ではないのに、駆逐艦名を持つ登場人物です。つまり。冬月は、「戦争を知ってしまった側の駆逐艦」ではないかと。だから、第二水雷戦隊には、WILLEの高雄、長良も在籍していた時期がありますが、冬月の登場は44年ですから、新世界側へ移行はしないし、出来ない。冬月の対立軸は、1944年以降の第二水雷戦隊にあります。そこにはもう、高雄も長良も巻波もいない。だから冬月は、新世界のWILLEではなく、最後まで旧NERVに残る。
復員しない。外へは行けない。防波堤なのだから。最後の港湾構造物として、波を受け止める。それが防波堤。これって、軍港設備の話じゃないんですよ。「次の世代へ、海を渡らせるため、波を弱める存在」とyuriは解釈します。
真希波は、生存側です。縦横にプラス宇宙の側とマイナス宇宙を自由に行き来できる存在。その真希波の前で、冬月は消えます。
冬月の死とは、つまり。冬月コウゾウは、ゲンドウとユイの時代を知る最後の構造体として、人間ではなく固定された、防波堤という構造物へと変わった瞬間ではないのかなと。そういう読みが出来てしまうかもです。

駆逐艦ふゆつきが、護衛艦ふゆづきになった日。その日こそ。冬月コウゾウもまた、静かに役目を終えた日なのかもしれませんね。作中では明瞭には語られない、ユイへの感情。けれど、ここでユイを単純な恋愛対象として読むと、冬月の構造は少し狭くなります。あれは恋愛というより。冬月コウゾウが、ユイの胎内に見ていた、「母親への愛情に満たされた夢」だったのかもしれません。

yuriはいつも思います。庵野秀明さんはずるい人です。貴方が語らないから、エヴァンゲリオンのコアファンは、いつも、貴方の影を追い、語られぬ断章を、埋めようとする。貴方は言った。「空間は好きに解釈しろ」と。だから、yuriは、できるだけ、貴方の意図に沿って、語られていない、完成されないパズルの欠片を拾い集めて、完成させたいのです。庵野秀明さん、それでいいのですよね?

エヴァンゲリオンを、作品の内側ではなく。実在した水上艦艇の名称と艦歴から、新たに解釈しようとする、yuriのアプローチの仕方自体、もともと無理があるのかもしれません。
ただ、北上ミドリが復員船の緑十字なのであれば、冬月コウゾウにとっての防波堤という観点は、あながち間違いでもないのかなって思っています。エヴァンゲリオンの登場人物の名前のどこかに、
第二次世界大戦中の旧日本海軍との接点が存在するのであれば、その艦歴が背負った十字架もたぶん、劇中の人物が背負うことになると思いますから。
おしまい。
別に冬月コウゾウ先生を書こうと思って、ウィキペディア見た訳じゃないんです。でもですねー、見れば見るほど、やばい要素一杯なんですよ。
yuriは、まさか、防波堤になってたなんてショックでした。
庵野秀明さんがどこまで考えて、登場人物の名前の設定したのか、ご本人に聞いても、多分、
「当たっているかもしれないし、外れているかもしれないね。」
こんな言葉が飛んで来そうです。
ご興味がある方は、登場人物に与えられた記号の来歴から調べてみましょうよ。一緒に、空白のエヴァンゲリオンの語られてない部分を埋めていきませんか?
見直したてたらちょっとした発見。
防波堤前の冬月の写真、米軍にはFUYUZUKIと呼称されていた可能性を発見。そう類別する文字があるから。あの写真があるからこそ。現代の護衛艦ふゆづきが誕生したのかもしれない。
そう、思ったら、歴史の執念、冬月コウゾウの残留思念を感じて、ちょっとだけ背筋が寒くなりました。偶然の一致にしては出来すぎじゃないですか?
※本編での登場はありませんが、ゲームでは、涼波コトネ(すずなみ コトネ)ゲーム『エヴァンゲリオン バトルフィールズ』に登場するオリジナルキャラクター。ネルフに配属されたパイロット見習い。シンジたちと同級生だが、「先輩」と呼ぶ。インターネット上での動画配信を行なっている。
彼女だけが駆逐艦ネームを持っているということを付記しておきますね。
