" heart 6: 心削れてもキラキラでいたい / glittering, yet worn away "
No.9
日々の余白に、塗りなおしの白を。
ナオキミです。

アクリルガッシュ
F0キャンバス
煌めくために、擦り減らしているもの。
それは覚悟の上なのか。
それとも気づいていないのか。
削れたことで露わになるもの。
本音。純粋な思い。
ひっくるめて、全部自分だ。
写真ではわかりにくいけれど、全体にラメ入りの透明アクリルガッシュを塗ってあり、光に照らすとキラキラと光る。
描き始めたキャンバスは、必ず「完成」と思えるまで描き続けることにしている。
上手く描けないからと途中で捨てるのを繰り返していたら、いつまでも描けるようにならないと思っているから。
この絵はずっと迷走していた。
描き始めは「グラデーション作りたい」だった。
特に、異なる系統の色を組み合わせたもの。
選んだのは青系とピンク系の2色。
明るいキラキラした印象のグラデーションにしたかった。
キャンバス全体にグラデーションを作ったあとで、グラデーションの中に浮かぶハートが描けないかな、と思った。
ここから迷走。
しっくりくるグラデーションにならない。
何度描いても、良い感じにならない。
グラデーションじゃなくても良いのかも、と思って青で塗ったり、ピンクで塗ったりしても違う感じがする。
一度、リセットできないかと思って、青とピンク両方になじみそうなパープルでハート全体をかぶせるように塗ってみる。
しかし、ここまで絵の具を塗ってきたことで、ハート部分にだけ厚みが出てしまい、パープルで塗ろうが白で塗ろうがリセットにはならない気がしてくる。むしろ、完成感から遠ざかっているような。
「なら、むしろ削り取ってみようか」と思ったのが、この絵の形が決まったきっかけだった。
この絵の前に、紙やすりで削って模様を出す絵を作っていたことで、削るって面白いと感じたばかりだったからだと思う。
ハートの部分を削ってみると、パープルの中から鮮やかな青とピンクが顔を覗かせる。3色がマーブル模様のように組み合わさり、ハートの形もいびつになり、ハートの周囲のグラデーションも削れていく。
ここで急に完成が見えた気がした。
キラキラした感じを、と思って描き始めたこの絵。
表面として見えているパープル。
削れることで覗く、青とピンクの鮮やかな中身。
いびつになったハートの形と、ザラザラになった周りのグラデーション。
ただキラキラなだけでなく、そこに傷跡が見えるこの感じ。
それがキラキラを際立たせているように思えて、急にしっくりくる画になった感じがした。
僕はキラキラしたかったとは少し違うけれど、「こうありたい」と理想の姿を持っていた。大なり小なり、だれでもそうなんじゃないだろうか。
そこに向かって仕事をしていった結果、僕は心を崩してしまったわけだけど、だからといって「無理してキラキラしなくていい」とも思わない。
理想を体現するんだ、と向かっていくことを否定したくない。
ただ、誰もの心が健やかであってくれと思うだけだ。
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