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1-2 言いづらいのは、弱いからではない。場のルールがないからだ

シリーズ2|仕事と社会の違和感辞典(第1週:ちゃんとしてる人が損をする|第2話)

違和感を感じる人のお話し

金曜の夕方、ようやく自分の作業が片づきはじめた頃に、チャットの通知が鳴る。画面の向こうから届いたのは、柔らかい言葉だった。
「急ぎで恐縮なのですが、こちら、今日中に一度見てもらえますか。助かります。いつもありがとうございます。」

断る理由はある。今日はもう詰まっているし、週末の予定もある。
けれど、断る言葉が喉の手前で止まる。ここで断ったらどうなるだろう、と先に空気を想像してしまう。
相手が困る顔をするかもしれない。次に頼まれたとき、こちらが頼みづらくなるかもしれない。あるいは、こちらが協力的ではない人に見えるかもしれない。

結局、返すことにした。
「分かりました、確認します。」
短い返事が送れた瞬間、肩のあたりが少しだけ軽くなる。自分が嫌な人ではないまま、週末に入れる気がする。
しかし、その軽さは長く続かないことに気づいてしまう。見始めると、資料は整っていないし、そもそも前提が書かれていない。確認すべき点が散らばっている。思ったより時間がかかるのでは。
気づけば、今日の終わりが遅れていく。

翌週、似た通知がまた来る。別の人からだ。今度はさらに軽い。
「これ、急ぎで。できれば今日中。」
あなたは笑って返す。
「分かりました。」
いつものように。言い返すより先に、指が動く。こうして、言いづらさが積み重なっていく。

どうしてこう感じるのか

言いづらいのは、あなたが弱いからではありません。
多くの場合、場のルールが未設計だからです。
負荷の話は、どうしても人の問題に見えやすい。仕事の配分を話したいだけなのに、相手を責める話に聞こえてしまう。
だから黙る。黙ると配分は固定化する。固定化すると、次も同じ人に頼るのが合理的になる。

そして、頼む側にも悪意はありません。
頼みやすい人に頼む。返事が早い人に頼む。整えてくれる人に頼む。
こちらも合理的です。
合理と合理が噛み合った結果、言いづらい空気が出来上がります。
空気を変えたいなら、勇気を増やすより、言える形を用意する方が現実的です。

今からできる次のアクション

負荷の話を、人ではなく仕事に向ける一文を用意してみてください。次に頼まれたとき、短くこれを返すだけでよいです。

例)

  • 今週こちらを引き受けると、他のこの二つが遅れます。どちらを優先しますか。

  • こちらは対応できます。しかし期限はいつまでですか。

  • こちらは今週は難しいです。代わりにこちらならできます。

こちらは断るための言葉ではなく、選び直すための言葉です。選び直しが積み重なると、場の学習が変わります。

この違和感は、会議の設計と意思決定の設計で弱まりやすいものです。以下も併せてどうぞ。

問題は人ではない。問題は設計だ。


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B Corp/サステナビリティ経営/脱炭素の取り組みを、「やって終わり」ではなく 再現性ある仕組みとして設計したい方は、こちらからご相談ください。

執筆者

加藤直樹(Naoki Kato)|社会戦略家
中小企業・地域ビジネスのサステナビリティ戦略(B Corp/SDGs/脱炭素など)を支援しています。
制度・仕組み・ルールの“設計”から、仕事の誇りと地域の価値を、次世代の憧れへつなぐ活動をしています。

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