本題は特にありません 〜買って満足したかもしれない〜
私はピアノは全然弾けないんですけど、ふと練習してみたくなったときがあったんです。六年くらい前の話です。
私は今までピアノやエレクトーンなどを習ったことがないから、家には鍵盤楽器はありません。ちょっと調べて、電子ピアノを買うことにしました。エレピのことですね。
YAMAHA、KAWAI、KORG、Rolandの中から決めようと思ったんですよ。YAMAHAがなかなか良さそうだったんですけど、在庫がないとのこと。金額的にはどれも同じくらいのものを候補にあげていたんですが、KORGだけはスピーカーがついていません。それなのに価格が近いということは、きっと他の部分にお金がかかっているはずだと、勝手な判断をしてKORGのD1を買いました。
さて、私は中学生の頃から吹奏楽をやっていて、トランペットやホルンを担当していました。トランペットは右手で3つのピストンを押す、まあ大丈夫です。ホルンは左手で3つのロータリーレバーを押す、4つ目は押しっぱなしなので、まあこれも大丈夫。
高校生になってギターを弾くようになって、左手で押さえる弦は6本。むむ!指が足らない。でも、まあなんとか大丈夫。さてこのKORGは88個の鍵盤、無理だわ。圧倒的に指の数が足らない。そりゃあ、指を移動させればいいんでしょうけど、大量の白い鍵盤と黒い鍵盤、エボニー&アイボリーですわ。
気を取り直して、ここは教則本なんかを買って、一から練習すればなんとかなるかもしれない。幸いなことに楽譜は読めるので、ネットでおすすめの教則本を買うことにしました。何冊か買いましたが、「ハノン」というのが強そうだったんでやってみましたが、ちょっと無理っぽいです。一緒に買った子ども用は、簡単すぎるような気がしてテンションも上がらない。ちょっと困りました。
私は大学生の時に友達とバンドを組んでいました。その時のキーボードは、はるちゃんという子だったんですが、その子がすごく上手だったんですよね。私の前で、華麗な指さばきで、ベートーヴェンのテンペストをすまし顔で弾きやがったんです。当時の私は、鍵盤に興味はなかったけど、それは感心しましたよ。「ん?腕がいっぱいあるぞ?」みたいにね。
そのことを思い出して、私も10年計画くらいでテンペストを弾いてやるという、壮大な計画を立てたんです。
でも、冷静に考えると、はるちゃんはその当時ですでに15年くらいピアノを練習してきてるんですよね。おまけに今は中学校の音楽の先生をしていますよ。
私も正座して冷静に考えたら、それは無謀な計画だって気づいたはずなんですけど、ピカピカのKORGに舞い上がってしまって、実行しようってそのときは考えたんですよ。そのときはね。
2、3日経つと私はちょっと妙な感覚になってきました。「エレピが家に来たからもういいんじゃないかな」ってね。そうなんです、初めは練習する気満々だったんですけど、少し触っても当然弾けませんよ。でもなにか、手に入れたことで満足しちゃって、気持ちの中で完結しちゃったんですよね。
「おいおい、テンペストはどうした?」なんて声が聞こえてきそうですが、そんなことはもう忘れました。ひょっとしたら、これから先いつの日か、急に練習したくなるかもしれません。そのときまで、このエレピと教則本は大切にとっておくことにします。ちなみに教則本は、まだ2、3ページしかやっていないので、折り目もついてない新品です。
現在のKORGのD1は、なんとなくお部屋のオブジェとして鎮座しているようですが、私は極力目を合わせないようにしている、今日この頃です。
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