【短編小説 駐輪場から見える景色】
今日も朝から、
たくさんの自転車が並ぶ。
学生。
主婦。
サラリーマン。
杖をついたお年寄り。
少し体調が悪そうな人。
どこか憂鬱そうな表情の人。
今日から新しい仕事へ向かう人。
隣町まで買い物に行く人。
大きな駅まで、
友人とお茶をしに行く人。
一台一台の自転車には、
それぞれ違う目的地がある。
でも、
本当に運んでいるのは、
人それぞれの暮らしなのかもしれない。
嬉しい日もあれば、
泣きたくなる日もある。
期待を胸に走る日もあれば、
ため息をつきながらペダルをこぐ日もある。
駐輪場は、
そんな一日を静かに見送っている。
夕方になると、
朝とは少し違う表情で、
みんな帰ってくる。
笑顔の人。
疲れ切った人。
買い物袋をぶら下げた人。
仕事帰りなのだろう。
肩を落とし、
少し重たそうに歩く姿を見ると、
「今日も一日、お疲れ様。」
そんな言葉を心の中でつぶやいてしまう。
みんな、
それぞれの場所で頑張っている。
だからだろうか。
家路を急ぐ足取りは早い。
きっとその先には、
「おかえり」が待っているから。
今日も駐輪場は、
誰かの始まりと終わりを、
静かに見届けている。
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これからも、誰かの日常にそっと寄り添える作品を書いていきます。
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