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4/16 『ブラフマンの埋葬』読後感想文

おはようございます。
小川洋子『ブラフマンの埋葬』を読み終わり、その静かな余韻に浸っています。

ラストで主人公の青年は「ブラフマン」と名付けた謎の動物を失います。さて、これから彼はどうするのか?
彼の今後は読者に委ねられるます。

小川と河合隼雄の対談『生きるとは自分の物語をつくること』のテーマがまさにこれ。
河合が著者の小川と語りたかったことは、読者がこのストーリーの先をどのように作っていくか、ではなかったか?

青年は、創造者のための宿泊施設で管理人として働いていて社会生活はできていますが、孤独です。
そこに突然、森から謎の生き物が現れる。折口信夫的には「まれびと」でしょう。
「ブラフマン」と名付けた動物と暮らし始めると、部屋中の物を齧られたり、トイレ問題にぶち当たったり、とんでもないことが次から次へと起こります。にもかかわらず青年のブラフマンへの慈しみは増すばかり。
温もりのある他者の存在によって、湖面のように静かだった青年のこころが動き始めます。ブラフマンによって引き起こされた変化。そう、他者は必ずしもニンゲンである必要はないんです。

この青年にとって、ブラフマンとの関係構築から喪失の流れがイニシエーションとなっていたように思えます。無償の愛情を注ぎこむこと、相手からの堅固な信頼を確信すること、
いつかその相手との別れが来ること、そして目に見えるものは失ってもなにかが残ること、それによって変化を続けること。

ですから、ワタシの推論では、この青年は管理人を辞めてこの土地を出ていくと思います。ブラフマンの無垢な瞳、かすかな温もりを胸に抱いて、誰かに対して己もそのような存在になれるだろうかと問いながら、新たな生き方を歩みだしてほしい、そう思います。

これって、オースターの『ムーン・パレス』のラストにも通じる。すべてを失ったとしてもまだ明日が残っている。
河合は小川に、謎の生き物に「ブラフマン」と名付けた妙を
誉めていました。小川は「パラパラと辞書をめくっていて、目についたブラフマンを選んだだけ」と答えていますが、このあたりが宇宙のリズムに乗っている、シンクロしてるってことだと思います。「作為がない状態でそうなってしまう」とき、なにが動き出すんです、きっと。

小賢しいとか、小利口なヒトって、なんか独特の空氣を纏っていて、アレ、ちゃんと伝わちゃうもんなんですよ。騙されていいから素直に生きるのが1番だと思います、はい。
世の中、いかに騙されないようにするかばっかりになって、なんか哀しいです。おのれも氣をつけよう。

ってことで、ブラフマンの感想文でした。
今日もソマチッドとともにご機嫌元氣に参りましょう。


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