【逸話2.0】後編Little Town LEGACY#7 未来との遭遇― 出会い、そして決意 ―
【逸話2.0】後編 未来との遭遇
― 出会い、そして決意 ―
うちの母親は専業主婦だった。
父親とは違い、母親は短気で、
いつも怒られていた。
近所に住む、おじいちゃん、おばあちゃんにも、
「今日は何怒られた?」
「今日は何やったの?」
と聞かれるぐらい、
近所中に聞こえる大きな声で怒られていた。
ある時、
ヤッさんのおかあさん(奥さん)が、
病気になって倒れた時の話を聞かされた。
ヤッさんのおかあさんは毎日、
工場に一緒に出勤して、
板金塗装の手伝いをしている。
昔から工場には、
若い子が入っては辞めることを繰り返していた。
自営業の宿命として、
家族が手伝いをするのは、
確かに私もわかる。
父親もそうだから、
自営業の会社に他人が勤める大変さもわかるし、
家業を手伝う家族の大変さもわかる。
ヤッさんは特に、
お盆しか休まない。
それ以外は、
ずっと工場にいる。
しかも朝早くから夜遅くまで、
毎日12時間以上は働いている。
俺も日曜日しか休みがなく、
長期休暇もなかった。
ただ俺の場合は、
親父も休みがなかったので、
遊んでもらった記憶もない。
でも、
だいたい自分が休みの日は、
現場について行っていたので、
寂しいという記憶もなかった。
雨の日は親父は休みになり、
そうするとパチンコに行く。
パチンコまで一緒について行ってた。
今は無理だと思うが、
昔は結構普通だった。
横でパチンコをしたり、
玉を景品のお菓子に換えたりと、
意外と楽しかった記憶がある。
今は世の中のルールが厳しく、
難しいが、
昔は昔で、
いい事もたくさんあった時代とも思う。
だから、
休みがないということに関して、
特に気にしてなかった。
逆に、
男は休まず働くのが当たり前とすら
思っていた。
家族を遊ばせ、
自分は働く。
お金を家に入れる。
それが男だと。
ただ、
私の母親は、
「自営業はやめとけ」と、
昔から言っていた。
俺の為ではなく、
結婚する人、
家族が大変になると。
大きな会社の経営者の苦労は、
私にはわからない。
従業員、
従業員の家族も守る。
ざっくり責任が重いのだろう。
経験がないので、
空想の感想しか言えないが、
小さな個人の自営業の苦労は、
少しわかる気がする。
母親は、
そういう意味で大変だったんだろう。
ヤッさんのおかあさんも同じで、
病気になってしまったんだと思う。
いやいや。
だいぶ違う話になってしまった。
今回は、
僕の恋愛に関する物語だ。
ある日、
友達が車をぶつけて、
保険を使わないで安く治したいと、
言ってきた。
無茶苦茶だ。
とりあえず、
自分は見習いだから
無理だぞと言った。
友達は、
俺が働いてるから、
簡単に治せると思っていたのだろう。
ある程度、
できないと説明したが、
それでも、
できる範囲で治して
と言ってきた。
無茶苦茶だ。
「どうなっても知らんぞ。」
そう説明して、
直しにかかった。
修理が終わって、
友達に、
「ほらな。だから言っただろ。」
と言おうとした時、
友達が、
「スゲェーな。」
「さすがプロだな。」
「できるくせに、もったいぶんなよ。」
と言ってきた。
いやいや。
友達は、
俺がやった板金塗装の仕上がりに、
感心してたが、
俺的には、
全然やばい仕上がりだった。
むしろ、
ヤッさんが見たら、
めちゃくちゃ怒られる仕上がりだった。
やっぱり、
まだまだだなと、
凹んだぐらいだ。
最初はお金払うと友達が言っていたが、
とても受け取っていい仕上がりではなかった。
むしろこの車で道を走らないでくれと
思うぐらい恥ずかしかった。
そしたら友達は酒を飲みに行こう。
奢るからさと、そして2人で飲みに行った。
「俺はそれなら、お金がいいんだけど。」
心の中で思ったのは今でも内緒の話。
マジでその時はお金がなかった(^◇^;)
・・・・・・今もだけど。
いやいや
その時、彼女に出会った。
向こうも女性2人で飲んでいて、
最終的に4人で飲むようになった。
俺は口下手でもなく、むしろ結構喋り、
おちょろげな感じのタイプ。
ただ、
その時だけは、
マジだった。
マジ。
(本人、見てませんように。)
本気で一目惚れだった。
番号を聞く勇気がなかった。
友達とその彼女の友達は、番号を交換していた。
後から後悔して、気になり、気になり、
友達づてに番号を聞いてもらった。
なんて情けない男だと今でも思う。
そんな彼女とデートを重ねる度に、
未来のことを考えるようになっていた。
その時、
思っていた。
さっき話した、
母親の言葉を。
「自営業はやめとけ。」
「家族が大変になる。」
このまま行くと彼女を悲しませるんじゃないか?
大変な思いをさせるんじゃないか?
体を壊してしまわないか?
日に日に自分よりも彼女のことを
考えるようになっていた。
仕事も今考えればそっちのけになっていた気がする。
自分の夢よりも、彼女との生活を優先しようと思った。
そして決断する。
板金塗装を
修業を辞めることを
自分の夢ではなく、
彼女との未来を
選ぶことにした。
そして、
決断する。
ヤッさんのもとを離れ、
板金塗装の修業を辞めることを。
人生は、
出会いがあれば、
別れもある。
俺は、
次の道へ進むことを決めた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回【 逸話2.3 】
Little Town LEGACY
別れそして新たな出会い
― そして再び ―
