住宅会社からハウステックカンパニーへ|3Dプリンター住宅・IPライセンス・SaaSで再評価されるLib Workの全貌【個人投資家サミット登壇レポート】
はじめに
「リブワークはもう住宅会社ではない」——個人投資家サミットに登壇した株式会社Lib Work(リブワーク)代表取締役社長 瀬口 力は、そう言い切りました。
戸建て住宅の施工・販売を起点としながら、IPライセンス・SaaS・3Dプリンター住宅という3つの高利益率事業を育て上げ、**「ハウステックカンパニー」**として市場に再定義を求めるリブワーク。本記事では、サミットでの登壇内容をもとに、同社のビジネスモデル・成長戦略・株主還元策を投資家向けに詳しく整理します。
① 創業ストーリー:弁護士志望が突然4人の会社の社長に
瀬口社長のキャリアは異色のスタートでした。大学院在学中に弁護士を目指していたところ、父が営む工務店の代表が急逝。大学院2年生の時に突然社長に就任することになりました。社員は4人、建築の知識はゼロという状態からのスタートです。
「知識のない中で社長になった。まず考えたのは、自分が客だったらどんな家がいいのかというマーケティング的な発想だった」
技術者ではなく経営者・マーケターとして住宅業界に入ったことが、後のデジタル集客戦略・コラボブランド展開・テック事業参入という独自の路線につながっています。
1999年、インターネット黎明期に「展示場を建てるお金がなかった」ことを逆手に、自らホームページビルダーで会社サイトを作成。**「インターネット展示場」**というコンセプトで、デジタル集客の先駆者としての歩みを始めました。
② 過去10年の業績推移:売上高5.4倍・営業利益率1.2%→5.2%
過去10年間で売上高は5.4倍に成長。営業利益率は**1.2%から5.2%**へと大幅に改善されています。
この利益率改善の背景には3つの要因があります。
要因①:指名買いを生むコラボブランド niko and...・アフタヌーンティーなどとのコラボ商品は、ブランドファンの「指名買い」を生みます。競合他社との価格競争に巻き込まれないため、利益率が担保しやすいのが特徴です。
要因②:IPライセンス事業の高粗利率 他のハウスメーカーにブランドライセンスを付与するIPライセンス事業は、粗利率が約90%。原価がほぼかからないため、収益性が極めて高い事業です。
要因③:SaaSの高粗利率 マイホームロボ(My Home Robo)に代表されるSaaSサービスは粗利率約80%以上。住宅施工の粗利率が高くても30%程度であることを考えると、これらのストック収益型事業が全体の利益率を大きく引き上げています。
今期については、ナフサ問題の影響と建築基準法改正による建築確認の遅延(約2ヶ月の売上ずれ込み)から、若干の減益見通しとなっています。ただし来期以降の改善を見込んでおり、これらは一時的な要因という位置づけです。
③ 事業構造:「住宅施工はテストマーケティングの場」という発想
リブワークの事業を理解する上で最も重要なのが、この一言です。
「戸建て住宅事業は我々のテストマーケティングの場。そこで成功したものだけをパッケージ化して、ハウスメーカーや海外企業に展開していく」
スペースXがロケット・AI・SNSプラットフォーム(X)を一本の壮大なストーリーでつなぐように、リブワークも「住宅施工→ノウハウ化→横展開」という一貫したビジョンのもとに各事業を位置づけています。個別に見ると無関係に見える事業群も、「ハウステックカンパニーとして住宅のあり方を変える」という軸で結びついています。
各事業の概要と利益率

④ デジタル集客戦略:住宅業界で日本トップクラスのYouTubeチャンネル
リブワークの集客モデルは、業界内でも際立った独自性を持っています。
YouTubeチャンネル:登録者16万人超、銀の盾を受賞。1本あたり平均10万回以上再生を達成し、住宅業界では日本トップクラスの規模
e土地ネット:自社運営の土地検索ポータルサイト。会員登録者の情報をもとに営業アプローチを行う独自の集客装置
動画からの直接受注:「ほとんどのお客様がチャンネルを見て家を建てている」という状態が実現
「今後はホームページではなく動画からの集客がメインになる。ハウスメーカーの中でもここまでのチャンネル規模を持っている会社はほぼない」
ファンマーケティングによる自社完結型の集客装置を持つことが、広告費の抑制と顧客品質の向上を同時に実現しています。
⑤ 3Dプリンター住宅事業:特許取得・自社プリンター開発・月面建築への構想まで
3Dプリンター住宅事業は、リブワークの中長期的な成長エンジンとして最も注目度の高い事業です。
技術・特許面の優位性
3Dプリンター住宅に関連する特許は、日本国内でリブワークが先行取得
素材は淡路島の土を使用。セメントゼロで、解体後は土に戻せるサステナブルな建材
耐震等級は最高の耐震等級3を取得済み
建築基準法の確認申請も取得済みで、日本全国で建設可能
残る課題と対応状況
現在の課題は瑕疵保険(10年瑕疵保険)への対応です。保険が適用可能になり次第、本格的な着工に移行する体制で動いています。なお、受付(申し込み)自体は2025年1月から開始しており、国内外から1,500件を超える問い合わせが寄せられています。
自社プリンターの開発
これまではイタリアのWASP社製プリンターを使用していましたが、現在は国内企業へのOEM発注による自社プリンターを開発中。「ガントリー型」と呼ばれる新型で、狭小地(5㎡程度)にも対応できる設計が進んでいます。
海外展開と宇宙への構想
東南アジアではすでにパートナー企業と連携して施工実績があります。ドバイなど一部地域では入札条件に3Dプリンターの使用を義務付ける動きも出てきており、市場の成熟が加速しています。
輸出モデルとしては、「プリンター本体とノウハウ・データを輸出し、現地パートナーが施工する」というビジネスモデルを想定。現地法人またはJV(合弁会社)形式で展開を進める方針です。
さらに長期的な構想として、月面建築への応用も語られました。月面に鉄骨を持ち込むコストは膨大なため、現地の土を使って建物を建てる技術——まさにリブワークの3Dプリンター住宅のコア技術が活きる可能性があります。JAXA・ispace等との意見交換も行われており、10年以上先の話ではあるものの、研究開発は継続していく方針です。
業績への反映時期
来期(2026年6月期)から3Dプリンター住宅の売上計上が始まる見込みです。
⑥ 株価の現状と市場への認識ギャップ
サミットで最も投資家の関心を集めたテーマの一つが、現在の株価評価についての社長の見立てです。
時価総額のピークは2020年の約250億円(PER100倍超、PBR5倍超)
現在は約150億円まで落ち着いている
3Dプリンター住宅のリリースは2023〜24年であり、この事業価値がほぼ株価に織り込まれていないというのが社長の見立て
「ChatGPTに聞いたら、リブワークは戸建て住宅メーカーとしては高く評価されているが、テック企業としては全然評価されていないと言われた。IRを通じて市場の認知を変えていきたい」
住宅会社としてのPERではなく、SaaS・IPライセンス・3Dプリンターを持つハウステックカンパニーとして評価されれば、現在の株価水準には大きなアップサイドがあるという考え方です。
⑦ 株主優待制度:年4回・最短3日保有でも受取可能
株主還元の観点から、リブワーク独自の株主優待制度も紹介されました。
項目内容優待頻度四半期ごと(年4回)——業界でも珍しい仕組み5,000株保有時の優待額四半期ごとに35,000円分のポイント年間換算(優待+配当)現在の株価水準で約173,000円相当の還元最低保有期間なし——権利確定日の3日前に購入しても受取可能長期保有特典1年以上保有で優待額の上乗せあり継続方針少なくとも今後3年間は廃止しないと明言
四半期優待は5年以上継続している実績があり、「始めたはいいけどすぐなくなった」というリスクが低い点も評価ポイントです。
まとめ:投資家が押さえておくべき6つのポイント
リブワークは「住宅会社」ではなく「ハウステックカンパニー」——住宅施工はあくまでテストマーケティングの場であり、ノウハウの横展開が本質的な成長戦略
IPライセンス(粗利約90%)・SaaS(粗利約80%)という超高収益事業が利益率改善を牽引——フロービジネスからストック収益への転換も進行中
YouTubeチャンネル登録者16万人超——住宅業界で自社完結型のデジタル集客装置を構築済み
3Dプリンター住宅は特許・耐震等級3・確認申請取得済み。来期から売上計上開始見込み——国内外1,500件超の問い合わせ、自社プリンター開発も進行中
3Dプリンター事業の価値はほぼ株価未反映という社長の見立て——ハウステックカンパニーとしての再評価が今後の株価上昇の鍵
年4回・最短3日保有でも受取可能な株主優待制度——少なくとも3年間継続方針を明言
ご注意:本記事は2026年7月18日開催の「個人投資家サミット」での登壇内容をもとに編集・構成したものです。将来の業績・株価に関する言及はすべて現時点での見通しや個人の見解であり、実際の結果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。正式な開示情報は会社の公式IRをご確認ください。
当社概要
株式会社Lib Work(リブワーク)
上場市場:東京証券取引所 グロース市場(証券コード:1431)
代表者:代表取締役社長 瀬口 力
設立:1997年8月1日
資本金:13億2,150万円
従業員数:355名(2025年6月現在)
売上高:160億4百万円(2025年6月期)
事業内容:戸建住宅事業 / 3Dプリンター住宅事業 / プラットフォーム事業
本店所在地:熊本県山鹿市鍋田178-1
本記事は「個人投資家サミット」リブワーク登壇セッションの内容をもとに編集・構成しています。
▶ アーカイブ動画はこちら(リブワーク登壇部分から開始):
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