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【第2話】お姫さまとオオカミさん~消えたケーキと壁の中の友だち~【ねんね前の読み聞かせ】

消えたケーキと壁の中の友だち

むかしむかし、あるところに お姫様とオオカミさんがいました。

お姫様はその国で一番偉い人だったので、 お友達がいませんでした。

オオカミさんは森の動物たちに怖がられていて、 友達がいませんでした。

そんな二人の物語です。


エイダ姫が森でリティという新しいお友達に出会ってから、数日が経ちました。 ユマール王国のお城は、今日も平和な空気に包まれています。

「ふふん、ふふん、ふふーん♪」

エイダは鼻歌を歌いながら、自分のお部屋をお掃除していました。 エイダはお掃除が大好きです。手に持ったハタキをパタパタと動かして、お気に入りの大きな窓の桟(さん)を磨きます。

「よし、ピカピカ! これで今日のおやつも美味しく食べられるわ」

今日のおやつは、料理長が特別に焼いてくれた「木苺のケーキ」です。 エイダはテーブルの上に置かれた銀のお皿を眺めて、にっこり笑いました。

「エイダ様ー! お勉強の時間ですよー!」

下の階から、家庭教師のミレイユ先生が呼ぶ声がしました。

「はーい、今行きます!」

エイダは一度お部屋を出て、お勉強に向かいました。


一時間後。

お勉強を終えたエイダが、お腹を空かせてお部屋に戻ってくると……。

「……あれ? ない!」

テーブルの上の銀のお皿が、空っぽになっていました。 さっきまであったはずの、ふわふわの木苺のケーキがどこにもありません。

「おかしいわ。窓は閉まっているし、トーマスがお部屋の前に立っていたはずなのに」

エイダが首をかしげていると、お部屋の隅っこから 「カサカサ……モグモグ……」 という小さな音が聞こえてきました。

エイダは抜き足、差し足、忍び足で、お掃除用の箒を手に取り、音のする方へ近づきました。 そこは、大きな箪笥の裏側にある、壁の隙間でした。

「みーつけた!」

エイダがひょいと覗き込むと、そこにはデニムのオーバーオールを着た、一匹の小さなネズミがいました。 ネズミは、口の周りに生クリームをいっぱいつけて、小さなリュックを背負っています。

「あわわわ! 見つかっちゃったでちゅ!」

ネズミは飛び上がって驚きました。

「あなたが私のケーキを食べちゃったの?」

「ご、ごめんなさいでちゅ! あまりにいい匂いだったから、つい……。 僕、チュー太郎。この壁の中に住んでいるんだ」

チュー太郎は、くりくりした黒い目を潤ませて、小さなおててを合わせました。

「お詫びに、僕が持っている一番いいものをあげるよ。だから、怒らないでほしいんだ……」

チュー太郎は小さなリュックをゴソゴソと探り、一粒のピカピカ光る「青い小石」を取り出しました。 それは、お城の庭では見かけない、綺麗な色をした小石でした。

「わあ、綺麗……。これ、どこで見つけたの?」

「森の奥にある、キラキラした川の近くなんだ。 僕、冒険家だから、お城の中や外をいろいろ探検しているんだよ」

エイダは、チュー太郎の冒険のお話を聞いて、目を輝かせました。

「冒険! 素敵ね。 私、森にリティっていうオオカミの友達がいるの。今度、あなたも一緒に会いに行かない?」

「オ、オオカミ!? 怖いでちゅ! 食べられちゃうでちゅ!」

チュー太郎はブルブル震えて、オーバーオールのポケットに隠れようとしました。

「大丈夫よ。リティはとっても優しくて、ピーマンのスープが大好きなオオカミなんだから。 ねえ、お願い。私、お城で誰かとこんなふうにお話しできるのが、とっても嬉しいの」

エイダが優しく微笑むと、チュー太郎は少しだけ顔を出して、髭をピクピクさせました。

「……お姫様がそこまで言うなら、考えておくよ。 でも、トーマスさんには内緒にしてほしいんだ。あの人、僕を見ると『ぎゃー!』って叫んでひっくり返るから」

エイダは、大きな声で笑いました。

「あはは! そうね、それは約束するわ」


その日の夕方。

エイダは、チュー太郎がくれた青い小石を窓辺に飾りました。 壁の向こうからは、チュー太郎が兄弟たちと楽しそうに「チッチッ」とお喋りしている声が聞こえてきます。

お城の外では、夜回りをするトーマスの鎧が**「カシャン、カシャン」**と鳴っています。

エイダは、ふかふかのベッドに入り、天井を見上げました。

(森にはリティがいて、お部屋の壁にはチュー太郎がいる。 私、もう一人じゃないみたい)

窓の外では、遠くの森の上で星がキラキラと瞬いています。 きっとリティも、今頃あの星を見ているはずです。

「おやすみなさい、リティ。おやすみなさい、チュー太郎」

エイダは幸せな気持ちで目を閉じました。 ユマール王国の夜は、今日も静かに、優しく更けていきます。

おやすみなさい。



👇youtubeでも公開しています👇

https://youtu.be/jo_6_6e46R8


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今回のお話は「ちいさな秘密の友情と、心をひらくこと」がやさしく描かれていました。
同じように、気持ちをそっと大切にしてくれる絵本はこちらです。

▶︎ないしょのおともだち


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👇お子さまと一緒に読む方はこちら👇

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※ひらがながよめる おこさまむけに、やさしく かきなおしています

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きえた ケーキと
かべの なかの ともだち

むかしむかし、あるところに
おひめさまと
おおかみが いました。

おひめさまも、
おおかみも、
いっしょに あそぶ
ともだちが いませんでした。

これは、そんな ふたりの
おはなしです。

リティと であってから、
すこし ひが たちました。

ユマールおうこくの おしろは、
きょうも のんびり。
しずかで やさしい くうきです。

「ふふーん♪」

エイダは うたを くちずさみながら、
おへやを おそうじ。

ぱたぱた はたきを うごかして、
おおきな まどを
ていねいに みがきます。

「よし、ぴかぴか!
これで おやつも
おいしく たべられるね」

きょうの おやつは、
きいちごの ケーキ。

ふわふわで、
とっても いい におい。

エイダは おさらを みて、
にっこり わらいました。

「エイダさまー!
おべんきょうの じかんですよー!」

したの かいから、
せんせいの こえ。

「はーい!」

エイダは おへやを でて、
おべんきょうへ いきました。

―――――

すこし たって。

おべんきょうを おえた エイダが、
おなかを すかせて
もどってくると――

「……あれ?」

「ケーキが ない!」

おさらは からっぽ。

さっきまで あった ケーキが、
どこにも ありません。

「どうして?
まども しまってるのに…」

そのとき――

「かさ…かさ…
もぐもぐ…」

ちいさな おと。

エイダは そーっと
あるきました。

ほうきを もって、
しずかに しずかに。

おおきな たんすの うら。
かべの すきま。

「みーつけた!」

のぞいてみると――

ちいさな ねずみが いました。

デニムの ふくを きて、
ちいさな かばんを
せおっています。

くちの まわりは
クリームで いっぱい。

「あわわ!
みつかっちゃった!」

ねずみは びっくり。

「あなたが
ケーキを たべたの?」

「ご、ごめんなさい!
いい においで…つい…」

「ぼく、チューたろう。
この かべの なかに
すんでるんだ」

チューたろうは、
てを あわせて
ぺこり。

「おわびにね、
いいもの あげる。

だから、おこらないで…」

かばんを ごそごそ。

でてきたのは――
あおく ひかる
ちいさな いし。

「わあ…きれい!」

エイダは めを きらきら。

「これ、どこで
ひろったの?」

「もりの おくの
かわの ちかく!

ぼく、たんけんが
だいすきなんだ」

エイダは にっこり。

「たんけん! いいなあ。

わたしね、
もりに リティっていう
ともだちが いるの。

こんど、いっしょに
あいに いかない?」

「お、おおかみ!?」

チューたろうは
ぶるぶる。

「こわいよ!
たべられちゃう!」

エイダは やさしく
わらいました。

「だいじょうぶ。

リティは とっても
やさしいよ。

ピーマンの スープが
だいすきなの」

「それにね、
こうして おはなしできて、
とっても うれしいの」

チューたろうは、
そっと かおを だしました。

「……そこまで いうなら、
ちょっと かんがえる」

「でもね、
トーマスには ひみつね。

ぼくを みると、
びっくりするから」

「あはは!
わかった、やくそく!」

―――――

ゆうがた。

エイダは、
あおい いしを
まどの そばに かざりました。

かべの むこうからは、
チューたろうたちの
たのしい こえ。

「ちっちっ!」

おしろの そとでは、
トーマスの よろいが

「かしゃん、かしゃん」

エイダは ベッドに はいり、
てんじょうを みあげました。

(もりには リティ。
おへやには チューたろう。

わたし、もう
ひとりじゃないかも)

まどの そと。

とおくの もりの うえで、
ほしが きらきら。

きっと リティも、
おなじ ほしを
みているでしょう。

「おやすみ、リティ。
おやすみ、チューたろう」

やさしい きもちで、
めを とじます。

よるは しずかに、
ゆっくり ふけていきます。

おやすみなさい。


このおはなしは、ここから つづいていきます。

▶︎ つぎのおはなし


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