怪共 第1話

 《あらすじ》故郷を失い地球へやってきたという経緯を持つ地球防衛軍内の組織、警備隊隊員でズバ抜けた体力の持ち主、宇宙人エイジ。彼は怪獣によって星を滅ぼされていたが、悲しみより無限の力を持つ怪獣の能力に興味を抱いていた。そんなある日彼は新人隊員であるにも関わらず、単独行動など問題ばかり起こす少女メジの指導に立ち会うことに。そこでエイジは宇宙人である自身の能力を活かして彼女の正体を見抜いてしまう。それは彼女が地球上最強とも言われる”守護獣”の力を持つ怪獣であること。

 地球防衛軍の中にある異常気象や侵略を企む宇宙人の手先として大量に姿を見せることとなった怪獣に立ち向かう組織「警備隊」その隊員であるホンダ・エイジ。彼は元々地球から遠く離れた星、G 54惑星出身の異星人だったが、今から数年前に”とある怪獣”によって星は全滅させられてしまった。たまたま他の星へ留学していたエイジは無事だったものの家族を失い天涯孤独になる。行き場を失った彼はすぐさま地球へ移住することを決意。その理由はごく簡単だった。怪獣だ。彼はその存在に故郷を滅ぼされたにも関わらず強さや生態に物凄い興味を抱いていた。留学の理由も「怪獣の生態研究」というほどいわゆる怪獣マニアだ。そして行き場を失った彼は地球の怪獣の多さに関心し、その研究をしたいとも思い地球へ向かう。そしてすぐさま地球防衛軍へ入隊を決意。この時地球には多くの宇宙人も住んでいたこともあり、難なく入隊できた彼は異生物形態に関する試験は勿論のこと、さらに元々身体能力の高い種族であることもあり、100mの高さから何も装着せずにトランポリンに落ちるというとんでもない体力テストも難なくクリア。このズバ抜けた体力の高さを地球防衛軍司令長官ホンダ・アキラに買われ、かくして彼の養子となり正式に地球人として暮らしていたエイジ。そんなある日いつものように郊外に一匹の怪獣が出現。仲間の隊員と共に警備隊専用機「シルバーフェニックス」で出撃するエイジ。現場には警備隊の他に応戦として防衛軍の12連装ロケット弾車両などの戦車部隊に航空部隊が駆けつけていた。だが怪獣は攻撃をへともせずに戦車隊や防衛軍の一般戦闘機を次々と破壊。手こずる警備隊。そんななか本部からデータ解析が送られ首が弱点だと判明。早速警備隊が中心となって作戦を立てようとするも、航空部隊の1機が突然集団を離れ怪獣の首元へ突撃をかけようとするのだ。警備隊隊長であるイフべ・マサルは当然焦る。そしてすぐに引き返すように連絡を取ろうとするも反応無し。そして防衛軍専用機は自らの機体を高速回転させ始める。
「あの機体は怪獣の気を逸らして攻撃を仕掛けるつもりだ!」
エイジは機体の攻撃方法を理解しつつも、内容としてはかなり無茶であることに気づき、すぐさまパイロットを務めている先輩隊員のサトウとシバハラ応戦をするよう提案。フェニックスから放たれたミサイルは怪獣の首の後ろを直撃、怪獣は動きが鈍る。だが次の瞬間、なんと防衛軍機がフェニックスへ向けて火薬弾を発射。まるで邪魔をするなと言わんばかりに味方へ攻撃を開始したのだ。だが幸いなことに砲弾はほんの少し期待をかすっただけでコントロールに支障をきたすほどではなかった。だが一方で怪獣は動きこそ鈍ったものの、完全に倒れてはいない。その時防衛軍機は一度機体を上へ上げ、速度を十分につけた上でなんと怪獣目がけて特攻をしようとする。それを食い止めようとエイジはパイロットを代わり援護をする。だが防衛軍機は速度を緩めることなく怪獣へ突進。そして怪獣の弱点の首元ギリギリのところで軍機からパラシュートが飛び出た。あまりに無謀な行動にフェニックス機内でも「良かった」と「なんという勝手な行動か」の両方の思いが蔓延していた。エイジはすぐさまパラシュートが着地した地点付近にフェニックスを着陸させパラシュートの主の安否を確認しに向かう。そこにいたのはまだあどけない顔つきの少女だった。
「大丈夫?」と声をかけるエイジ、だが当の少女はシカト。イフべ隊長は自身の出身地の言葉「西の言葉」を使い怒りをあらわにする。
「お前な!どこの所属か知らんけどあんな勝手な行動が許される思うんか!一歩間違えてたらお前は死んでたんやぞ!」
見た目はメガネをかけた冴えないオッサンであるイフべ隊長だが責任感は強くこの少女のことも思っての叱責であった。
「私が何をしようと関係ない……」
ぼそっと呟くもこれが火に油を注ぐ形になりイフべはますますヒートアップ。それをサトウとシバハラがどうどうと宥めている中、少女が所属していると思われる班の上司である女性教官らしき人物が姿を現す。
「メジ、いい加減にしなさい。貴女これで何回目なの本当に……」
呆れた様子で他の女性隊員に指示を送りそのメジという少女はあっという間に連れ去られてしまった。
「なんだったんだろうなあの子」
あまり賢いとは言えないシバハラは状況がまだ飲み込めていない様子。
「だけどあの娘、なんか雰囲気が明らかに違うよな」
警備隊の中で兵器開発・情報分析を担当する理系隊員のサトウの言葉にエイジは何かが引っかかっていた。
 そして翌々日、例のメジという少女の指導講習があることをエイジは耳にし、見学を申し出た。部屋に入りエイジは驚いた。まるで罪を犯した者のようにマジックミラーの奥にメジが座っていた。彼女の表情は前と変わらず。
「本当にあの娘には手を焼いてるんですよ」
この前の女性教官のオキタがため息をつきながらエイジに話しかける。
「あの子はいつから防衛軍にいるんですか?」
エイジの問いに教官は少し口元を歪めながら小声で話した。
「実はあの子、まだ入隊して1年も経ってないんですよ。でも人間とは思えない程の体力を持ち合わせて、それでスカウトされたみたいなんですけど」
この言葉にエイジは引っかかった。そして彼は宇宙人である自身の特殊能力を密かに使った。それは生命体の内部を見抜くというものだ。そして彼は唖然とした。メジの構造は明らかに人間ではなかった。かといって地球外の星人でもない。そしてエイジはこの構造を何処かで見たことを思い出し必死に思い出そうとする。
「どうかなさったんですか?」
教官の言葉にハッとし、何でもないと誤魔化すもエイジはこの地球にやってきてすぐの時に読んだ「地球生命体全書」に掲載されていたとある生物のことを思い出した。。
「あのメジという少女から、”守護獣”のチカラを感じる……」
”守護獣”それは遥か昔から地球に存在する伝説の怪獣。名のとおり地球の守り神であり、代々地球に害悪を及ぼすものに容赦ない攻撃を浴びせこの地球を守っていた。だが5年前に宇宙から襲来した大怪獣との接戦により守護獣は深傷を負いそのまま行方をくらましてしまう。この時人々は皆”守護獣は死んだ”と確信し、それに加えもう地球は終わりだと絶望に満ち溢れていた。守護獣が消えたと同時に宇宙から多くの怪獣や星人が飛来し地球は脅威にさらされていた。そんな中でのメジに秘められた守護獣の能力。
「間違いなくあの子は守護獣だ」
エイジはそのままメジの指導訓練風景を視察させてほしいと頼む。そして場所は訓練場へ移り、早速格闘技から開始。結果は見るまでもなく10人ほどの相手を瞬殺。続いて射撃、弾は全て的の中心部を当てている。
「これで指導訓練は異常です」
教官の声がかかりメジはその場を立ち去ろうとする。だが彼女の息は一切乱れていない。
「オキタ教官、ちょっといいですか?」
エイジはオキタに声をかけ別の会議室へ席を移す。
「あのメジという隊員、是非ウチに欲しいんです!」
突然の言葉に呆気に取られるオキタ。
「何をおっしゃるんです?あの子を引き取るということは由緒正しい警備隊の何傷をつけるということなんですよ?わかっているんですか!」
なんとかしてエイジの提案を否定しようとする教官、だが、
「いいんじゃないの?警備隊に配属しても」
突然後ろからの声に二人ともびっくり。
「ち、長官!」
そこに立っていたのはメジと地球防衛軍総司令長官であり、身寄りのないエイジを自身の養子として迎え入れたホンダ・アキラだった。
「オキタ教官、問題ばかりを起こす隊員が重要任務を沢山抱える警備隊にいきなり配属は確かに無謀だ」
アキラは静かに教官の横へ向かい話を続ける。
「だが、それと同時にあの隊員の能力は明らかに半端じゃない。それにこのエイジ隊員が責任を持って指導するから安心したまえ」
長官からの言葉に口うるさい鬼教官として知られるオキタも、
「ち、長官がいいと仰られるんでしたら私は構いませんが……」
と口を籠らせる。そしてオキタを退室させホンダ親子とメジの3人になる会議室。
「お前、この娘が人間じゃないってことに気づいたな」
「やっぱりお父さんもご存知でしたか」
アキラはひと笑いしエイジに背中を向ける。
「この娘はな半年ほど前に海辺の近くで数人のチンピラを一人でボッコボコにして保護されてな、その時力の異常さを聞いた時に私も驚いた。そして彼女が人間でないことの気づき、保護も兼ねて防衛軍に入隊させた」
メジの経緯を語るアキラだが当のメジは無反応を貫いたまま。
「そんな事があったんですか……」
エイジは感慨深く頷くと再びアキラは振り向いた。
「この子の能力は無限だ。ずっと一般部隊にとどめておく訳にはいくまい。いずれは警備隊へ配属させようとは思っていたが、お前は思ったより早く気づいた。まあ守護獣の生態も研究しているからこそお前だがな。まあお前なら十分に指導ができるだろう」
「私は一人で十分」
メジは自身の主張を曲げようとはしないが、何かが引っかかっている様子。
「別に今すぐに移動しろというわけじゃない。それメジ隊員、君は命令違反どころかシルバーフェニックスにミサイルをぶっ放しているだろう。それの謹慎はちゃんと食らってもらうからな」
こうして少し期間を置いてだが、メジの警備隊正式配属が決定した。
「じゃあ頼むぞ」
この言葉に「ハイッ!!」と大きく声をあげるエイジ。そしてメジに笑顔で
「これからよろしく!」
と握手を求む。だが
「フンッ」
と拒まれてしまい、他の違反の指導を受けるべくそそくさと会議室を出てゆくメジ。
「まあアイツはいっても怪獣だ。力が暴走しないようにこちらでも何かしらの対応は考えておく」
そういうとアキラも出ていった。
「これから忙しくなるな」
一人きりになった会議室の中、小声で呟くエイジ。言葉はこれからの試練が困難を極めているかのように聞き取れるも、彼の瞳は明らかに輝いていた。

#創作大賞2024
#漫画原作部門

第2話:https://editor.note.com/notes/n27d55d28d83e/edit/

第3話:https://editor.note.com/notes/ne18903fb56e5/edit/


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