改憲を主導する与党への違和感
日本は法治国家であると認め、日本の法体系の中の最高法規が日本国憲法であると認め、日本国憲法は国家権力を拘束する法 (立憲主義)を認めているのであれば、そんな人たちが政権の中心から憲法改正を声高らかに叫ぶのは、私は非常に違和感を持ちます。
政権を担った途端、政権にいる人たちは本来日本国憲法に強く拘束される立場に立つからです。政権についていない立場で、改憲を口にするのと政権を担ってから改憲を口にするのでは天と地ほどの差があると感じます。
一般国民や国家権力を持つ立場ではない人が自由に改憲を語るのは、この民主国家において当然認められることだと思います。
しかし政権の中枢にいて、憲法に強く拘束される立場人の口から改憲が語られるとき、たとえそれが、国民の暮らしや生活のためと理由をつけても、立憲主義の観点から権力の側自らが強く主導すべきものではないと思います。
国民から湧き上がる声、国民の多数を占める強い世論に押されて、初めて改憲の正当性が生まれてくるのだと思います。
ちなみに、高市政権下で行われた最近の国政選挙の結果で、自民党の圧勝と報道されますが、全有権者に対する自民党や、連立与党に名を連ねる維新の得票率はざっくり推定すると以下のようになります。
投票率:56.3%
比例代表有効投票数に対する得票率
・自由自民党:36.7%
・日本維新の会:8.6%
したがって、全有権者に対する得票率はざっくり見積もって、
・自由自民党:20.7%
・日本維新の会:4.8%
両党を合計しても25.5%
自民党単独で全有権者の約1/5、維新をあわせても約1/4です。少なくとも、全有権者の約4分の1の支持で、国民全体の基本ルールの変更を積極的に主導することには違和感を覚えます。
政権に就いたら、憲法を全力で守り、憲法の理念を徹底的に国政に活かすこと。これが政権を担うものの務めだと思います。いかにして憲法の理念を実現させるかが政権を担う政党の本来の仕事であり、自分たちの思うように改憲することが政権を担うものの務めではないと思います。
改憲を公約に掲げて政権を担うことは、民主主義の下では否定されるものではありません。しかし、政権に就いた瞬間から、その政権は自らが改めようと考える憲法によって最も強く拘束される立場になります。だからこそ、まず尽くすべきは、憲法の理念を最大限に実現する政治ではないでしょうか。
政府は、平和、国民主権、基本的人権の尊重といった日本国憲法の理念を、いかに現実の政治の中で実現していくかにこそ、より多くの力を注ぐべきではないでしょうか。政権を担う者にまず求められるのは、自らが拘束される憲法の理念を誠実に実現する政治であり、その努力を尽くした上で、それでもなお憲法を改める必要があるという国民的な合意が自然に形成されるのであれば、そのとき初めて国会はその声を受け止め、憲法改正を議論すべきだと思います。
