石油井掘削は時間との勝負
私がこれぞ石油開発現場だと感じるのは、やはり井戸の掘削現場に行ったときでしょうか。そしてとにかく現場で要請されるのが、時間をできるだけ短縮すること。おそらく通常、海上の石油掘削現場で最もお金がかかるのは、掘削船とそのクルーのdaily cost だと考えられます。例えば何もしないで天候待機 (wait on weather)しているだけでもやきもきするほどお金が飛んでいきます。仮に私の決断が遅れて掘削オペレーションが止まるようなことがあれば、wait on Nangoku’s decision (南国の決断待ち) などと記録され、正当な理由があるならともかく、心折れそうになります。
だから、石油の掘削現場では、事前準備は万端に、決断は早く正確に行うことが求められます。いろいろな事態を想定し、ディシジョンツリーを準備しておくことも有効です。一方、井戸を掘りながらのデータ収集はやり直しがききません。どうしても重要なデータがうまくとれないときには、納得できるクオリティのデータが収集できるまで、その時その場でまわりと戦う覚悟が必要です。
本当は目前の掘削コスト削減をとるか、もう少し長い目で見て油田開発に必要なデータをきちんととるかのトレードオフを冷静に判断する必要があります。良いデータを取って、開発計画をしっかり立てて、無駄なコストを削減する、あるいは、より石油の回収量を上げることができれば、苦労してお金をかけてデータを取ったかいがあるといえます。ただ、やはり目に見えてわかりやすい成果は目の前の掘削コストを下げることですので、私のようにデータを収集する立場の人は、上司を説得し、掘削担当を説得し、とにかく質の良いデータをとるために奮闘することになります。
安全のためにオペレーションを急ぐ必要がある場合は話は別です。安全最優先は現場の基本です。ここに関してはデータ収集を優先してくれとは決して言いません。ただ、なぜデータをちゃんと取らなかったのか、取れなかったのか、記録を残すことは大切です。
きりきりするようなプレッシャーの中で最善を尽くす。これが私の掘削現場の印象ですし、うまくいったときに感じる達成感は、現場ならではのものといえます。
