誰に何を伝えたいのか
音声配信を通じて知り合った、あるYouTuberさんの言葉がずっと心に残っています。
料理系の動画を作られている50代の女性で、毎週同じ曜日・同じ時間に何年も更新を継続されている方。撮影も編集もおそらくひとりでこなしながら、登録者数も何万人にもなっている。そんな方です。
その方の動画にある日、出版社からのコメントが届いたそうで、本の出版をしませんかという話だったとか。
音声配信でそのことを話してくれたんですが、その後お断りしたとのこと。
その理由がね、わたしの心にすっと入ってきたんです。
そもそも、本を出したい・有名になりたいとか、そういうつもりでやっているわけじゃない——近い将来、自分の子どもが「お母さんってこういう料理をしていたんだ」ってわかればそれでいい——
その言葉を聞いた瞬間、かなりグッときてしばらく考え込んでしまいました。
わたしは、何のためにやっているんだろう、って。
受け取ってほしい相手は、決まっています。40代・50代・60代の主婦の方に何か響いたら、何かのきっかけになれたら——そういう気持ちでやってきました。
でも、もっと奥の方にある思いを考えた時、そのYouTuberさんと同じように、娘にも伝わったらいいなって、実はずっと思っていたんじゃないかなって気がついたんです。
わたしと夫は国際結婚で、娘はミックスとして育ってきました。
夫は30年以上、外国人として異国の地で働いてきた。
わたしも夫の国で暮らし、差別的なことを言われたり、理不尽な経験をしたりしながら生きてきた。
娘は、わたしの知らないところでたくさん傷ついてきたと思います。
今でも迷いや悩みを話してくれることはあるけれど、話していないこともたくさんあるはず。
ふとした時に、わたしの発信を振り返ってもらえたら——お母さんってどんなことを考えて、どんな思いで発信していたんだろうって——
そう思ってもらえたら、今のわたしの言葉が、娘の人生にそっと寄り添ってくれるんじゃないかな?と思ったんです。
発信を続けていく中で、「過去の自分に伝えたいことをコンテンツにするといい」という話をよく聞きました。
確かにそうだなと思うし、過去のわたしと今のわたしは、ずいぶん違うなと実感することがあります。
以前は何でも諦めていたし、迷ってばかりでした。
でも今は、やりたいと思ったらとりあえずやってみる。手をつけてみる。
それが自分にはとても合っていて、あれもできなかった・これもできなかったと考えていたあの頃より、ずっと気持ちが楽です。
そのYouTuberさんが、正直な気持ちで話してくれたあの言葉。
子どもに向けた温かいメッセージを、何年もの継続の中に込めていたんだなと思うと、わたしもこれでいいって思えました。
誰に何を伝えたいのか。その答えは、ずっとそこにあったんですよね。
