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地域人間観察本部本部長~地域の事実と空想~

朝は、様々な人とすれ違う。

1.独立通学路警備隊長

 登校日のほぼ100%、雨の日晴れの日曇りの日、風の日雪の日日照りの日、通学路のいつもの一時停止交差点ポイントで、通学する児童生徒学生、保護者、地域住民に挨拶、声掛けを行っている。時に無謀な早朝暴走車両を鋭い視線と屈強な両腕で制し、歩行者の絶対的な安全を図っている。学校や地域ボランティア組織の後ろ盾もなく、良心ひとつで立っている。すごいことだ。
 私は、毎日その警備隊長と、帽子を脱いで敬意を表しつつ、朝の挨拶を交わす。この警備隊長との挨拶は3年余り。いつもの「おはようございます。ありがとうございます」という私はもはや口癖のようになっている。いつか隊長と共に、居酒屋で【たこわさび】と【エスプレッソ】を、ラグジュアリーな半個室で楽しみつつ、通学路の愚痴でも話してみたい。そして、私もいつか警備隊長になりたいと思う。

2.悪友反抗愚連隊構成員
 近所の子どもたち。顔見知り。小さなころはニコっとしてあいさつしていたのに、いつのまにか小5~6、挨拶は無視される。何のスポーツか知らないが、脚力はものすごいものがある。時速0.0000001kmの私など無視されて当然だ。いつだったか山梨で見た時速500kmのリニアモーターカーにも負けず劣らずだ。きっと彼らの中で反抗愚連隊特有の何らかのエネルギーを爆散させることにより前進しているのだろう。効率が少々よくないのは、彼らがまだ幼いからだろう。いつかそのエネルギーを集中できたとき、愚連隊から卒業することになる。集中し損ねた私は羨望の眼差しで彼らの背中を見つめるのだ。

3.学童保護隊警笛部カエル隊員
 1.で紹介した警備隊長とは異なり、一定の組織の一員として児童生徒学生らの保護を行う。カエル隊長は、近隣では最も大きな要衝となる交差点に立って、必要に応じて呼子笛を鋭く鳴らし、横断歩道を渡る人々の安全を図る。その笛の音は、ボリスマンのそれをほうふつとさせる。もしかしたら現役時代はポリスマンだったのかもしれない。
 なぜよくわからぬが、カエル?の帽子をかぶっている。子どもたちの警戒感を緩くする狙いがあるのかもしれない。カエル隊員は皆に向けて独り言を言っていることがある。なぜだろう小林一茶の俳句、宮沢賢治の一節、運動会のエール…ちょっと謎の人だ。
 しかし、私はカエル隊長の本当の姿を知っている。任務を終えカエル足取りは重い。時にうつむいていることも。地域はこうした人々の善意でなりたっている。私の善意はどこへ消えたのだろう。誰か知ってる?

4.自転車高速隊歩行者妨害チームメンバー
 非常に危険を感じるメンバーだ。2.の愚連隊と比べ物にならないほどの速さで移動できる自転車なるもので、私のそばを通過する。いや通過するというかわずかにかすったかのような風のしっぽを残して目の前から消える。自分で転がす車らしいが、なぜか最近はモーターがついているという。どおりで速いわけだ。というか見えないのだが。最近はモのペットなるものも世間に登場しているらしいが、もはや道路は道ではなくなりそうだ。
 でも、ちらっとみえるその自転車なるものの後部に座席があるようだ。この座席には幼児が乗っているようだ。時に幼児の鳴き声とパトカーのサイレンを聞き間違えることは…ない。これまた本当にわずかに見える運転手の表情は鉄仮面だ。おそらく最前線の現場に急行しているのだろう。幼児がなぜ参加するのかはよくわからぬが、何はともあれ予期せぬ危険には気をつけてほしいな…と。そういう私は、何もないところでこける。危険は背中合わせ…ではなく、私は存在と行動そのものの危険を…。知らん!


5.路面監視通学路方面通勤隊員
 常に下を向いて路面を観察しながら、前に歩みを進めるという1.3.と合わせて安全を図る隊員だ。スマートフォンで固着してしまったのか、スマートフォンがなくとも下を向いて任務に余念がない。その塵一つ見逃さないとも思っていない心意気にはただただ頭が下がるばかりだ。頭が下がる…なるほど私もいつも下を向いているようだ。まれに1円玉を発見することがあるが、悪質な使われ方をすることがないよう、私が率先して確保している。彼らにもそんな任務があるのかもしれない。
 アイロンのかかったシャツ、こざっぱりした素敵な姿で活動する隊員は、駅に集合するようだ。駅に吸い込まれるように下向きのまま、器用にカード状のものを得体のしれない機器にタッチして闇の中に消えていく。ピッという音の、あの闇の先に何があるのか…すこし心配になる。しかし彼らの活躍により安全で快適な社会が構築されていることに疑いの余地はない。きっと縁の下の力持ちなのだろう。ちなみに私は三日前に”白い力もちうどん”を食した。

番外.地域人間観察本部本部長
 私だ。最近少々食べすぎということ以外、何も言うことはない。


地域は人材の宝庫だ。

といっても、
私がひそかに隠し持っている
大量の駄菓子ボックスには
叶わないだろう。

1~5.のみんなに
うまい棒一本送りたい。

ありがとう。
本当にありがとう!

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