ショートショート「投げやりな恋」#アマノ文筆クラブ
甘野充様の「アマノ文筆クラブ」に参加させていただきます!
お題:「投げやりな恋」
ー今日は恋の嵐が来るでしょう
結婚している方は、特にご注意くださいー
紗英は、メイクと髪型をチェックして家を出た。
今日はプレゼンの日だから、気合いが入っている。
今朝の天気予報は当たるだろうか。
昨日のニュース番組で、恋の嵐の避け方を専門家が解説していた。
恋の嵐とやらに巻き込まれると、未婚も既婚も関係なく、誰かに恋をしてしまうそうだ。
厄介極まりない。
専門家と名乗っているが、10年前は恋の槍が刺さってしまったそうだ。その時は、奥さんに病院に連れて行かれて、事なきを得た。
もう二度と恋の嵐にやられないために研究しているとのことだった。
恋の槍の治療は簡単だ。いや、実際の治療は医者にしかできないだろうけど。
恋する誰かに出会う前に、突き刺さった半透明な槍を抜けばよいらしい。恋の槍を抜くための専門病院が各都道府県に1カ所設置されているのだ。

今日は人通りが少ない。恋の嵐のせいで、既婚者はみんな在宅ワークだろう。17歳以下は恋の嵐の影響がほとんどないからか、学生はちらほらと見かけた。
そんなことを考えていたら、いつの間にか会社の最寄り駅に着いた。
改札から出た瞬間、スマホの緊急アラートがビーと鳴った。
みんな、慌てて屋内に入っていく。
私はというと、悠長にスマホの画面をタップして音を消し、会社までの道をゆっくりと歩いていった。
10年前、恋の嵐は父を襲った。
建築現場で働いていて、どうしても出なければならなかったそうだ。
そんな父を心配そうに見送った母を忘れることはないだろう。
その日の夕方頃、私たちの心配をよそに、父は笑顔で帰ってきた。
半分に折れた、恋の槍が刺さった状態で。
どうやら、刺さった瞬間に自力で折ったようだった。
母と私のことを強く、強く思いながらやってみたら、あっさり折れたそうだ。
すぐに病院に行ったが、こんなことは初めてだと担当医師は驚いていた。槍の除去もすんなり出来たらしい。
そういうわけで、恋の槍だろうが、愛の槍だろうが、思い槍だろうが、降ってきても何の問題もないのだ。
半透明でハートがついた槍が降ってくる。私は、突き刺さろうとしてくる槍を、1本1本掴んでは投げる。
とうとう1本刺さってしまったが、私はそれを叩き折った。
「「私は、私の恋を自分で決める!」」
これが私の強い思い。ただ、それだけ。
あとがき
私の道は、私が決めるー!的なやつです。
読んでくださり、ありがとうございます!
日常で感じたことや出来事を、お話としてお伝えしています。
それではまた、お会いしましょう(^^)
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