ショートストーリー「たった1駅、されど1駅」#あなたの旅ショートストーリー
よしまる様の企画に参加させていただきます!
吉史あん様に朗読していただけるチャンスかも…かも!Alpaka様にイラストを…?虹くりっぷ様にショート動画を…!?
お題:「旅」
「…何個?」
電車で行くとわかると、必ず聞かれる。
私の息子は、電車が苦手なのだ。
池袋のサンシャインシティでやっている、翔流(かける)が好きなキャラクターのイベントに行く日。
今日のお出かけは電車で行くよと、パパがちょっと心配そうに伝えたのだ。
何個の電車で、何駅乗っていなければならないのかという意味だった。
これは、見通しをたてるために、とても大切な儀式なのだ。
翔流は赤ちゃんの頃、とても大人しい子供だった。よく食べ、よく飲み、よく寝た。寝かしつけであしたのジョーみたいになったのは片手で数えられるくらいだ。
1歳4カ月で歩けるようになってから、生活は一変した。買い物に行けば見失い、何度店員さんや優しいお客さんに助けられただろう。
特に薬局はだめだった。おそらく、背の高い棚が多くて迷路のようにして遊んでいたのだろう。
小学生になった今も、なんとなく一緒には行かない。
2歳で私たちは電車の旅を諦めた。
ベビーカーに座っていてくれた頃は、片道1時間くらいでも息子が好きそうな場所があれば電車で行った。
歩けるようになった翔流は、電車でも走り回った。なるべく一番前に乗り、運転席や景色を見せてもだめだった。
同じくらいの子がお父さんに抱っこされて、特等席に落ち着いているのが遠ざかっていった。
翔流とのお出かけは、電車1駅分に限られた。私と翔流だけの時は、電車にも乗れなかった。抑えきれないのだ。
そんな日々が1年続き、翔流は3歳になった。
その頃、翔流は体調を崩すことが多く、熱はないのに鼻水と咳が続くことがあった。
喘息になったんだというママ友に勧められた呼吸器内科は、電車1駅乗らなければならなかった。
たった1駅、されど1駅。
平日の午後なので、翔流と2人だけで行かなければならない。でも、苦しそうな息子を助けたい。
私は、好きなおもちゃも好きな絵本も好きなお菓子も全て装備して行くことを決意した。
それともう一つ、多分これが一番大切なことだ。
電車と駅と病院のイラストを描く。
今日はどこに出かけるのか。
何をするために行くのか。
電車で行くこと。
駅は1駅乗ること。
これらを行く直前に伝える。今から行くことが分からなければならない。
さて、どうだ。
東西線の浦安駅まで自転車で行く。
さあ、どうだ。
ホームで走り回る翔流を抑えながら、もう一度さっきの工程を繰り返す。
たった1駅。葛西まで2,3分乗るだけなのだ…。
小学生になった翔流はホームで走り回らない。
電車で座った翔流は、電車が1駅止まる度に、あと何駅なのかを聞いてくる。
座れないと、私かパパの靴の上に座り込む。
誰にでも苦手はある。でも、ちょっとずつできるようになることもあるのだ。
あとがき
※経験したことを元に書いていますが、名前などはフィクションです!
たった1駅。行く先も病院だった。けれど、私にとっては小さな旅でした。
今は1時間くらいの距離でも、何個?って聞かれながらとりあえず行けるようになりました。それでも、今日の機嫌はどうかな?とか様子を見ながらの日もあります。
旅行ではないけれど、間違いく私たちにとっては旅なのです。
読んでくださり、ありがとうございます!
日常で感じたことや出来事を、お話としてお伝えしています。
それではまた、お会いしましょう(^^)
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読んで読んでPOP、書いて書いて物語!ありがとうございます(人*´∀`)。*゚+