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節分の半分は優しさでできています

オレには福田あきらのどこがいいのかさっぱりわからないのだが、彼女はやつのほうを選んだ。大学三回生だった去年の夏に出会ったから、たった半年の短いつきあい。

どんなカップルにもあるのかどうか知らないが、「別れの儀式」のようなものがある。未練を振りほどいて、これをもって、心の区切りをつける、そんな逢瀬。

彼女が選んだのは、節分の日の吉田神社での追儺式。吉田神社に行く前に、須賀神社に寄る。烏帽子装束の男性から、懸想文を求める。本来は恋文なんだろうが、別れていくオレの気持ちが読まれているつもりで渡すと彼女が言う。
ー鬼塚君、ありがとう。大切に、箪笥にしまっておくね。

彼女のやさしさは、オレが駄目で、福田を選ぶ、ということを直接は告げなかったこと。間接的に、それも、寂しい場所でなくて、追儺式の人ごみの中でオレに伝えたこと。
ー鬼は外。
そう、オレは彼女の心の外に去っていく。
ー福は内。
彼女が投げた豆は、そして京の寒空に消えていった。

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