Photo by
hitoyasumi_2
螺旋かいだん
あの日見上げた
空にのびる 青天井の螺旋かいだん
カーブの度に波打つ
深紅のドレスの長い裾
ずいぶん前に雲間を抜けたのに
まだ 上昇し続ける
君を追っている
私の身体はすでにからっぽで
風が吹いたら舞い上がりそうな軽さだから
このまま宇宙の藻屑になるのかもしれない
それでもいいと思ったんだ
目の前には君の姿が見えるから
空洞化した身体に息吹を注ぐ
どれだけの時が経ったのか
どれだけの夜を超えたのか
それすら わからない
私はどんどん 空洞化するのに
君はどんどん無敵になって
加速していった
そしてとうとう青天井の先に消えてしまった
ここから 見えなくなってしまった
息を吞むような空を仰ぐ
いつぶりだろうか
空腹を覚えた
君を見失ってしまった
もう私の視界に君はいない
ここから降りよう
もはや足の一部分も同然の靴を剝がしとって
落としてみた
地上についた音すら聞こえない
もう降りよう
この遥か上空から
君のいない螺旋かいだんから
あの地上に
エム
タイトルバックの 壮大な鱗雲は、hitoyasumiさんの作品をお借りしました。
